夫と結婚前、浮気を疑ったことがありました。デート中でもお構いなしに、彼に頻繁に連絡をしてくる女性がいて、怪しい関係なのではと思ったのですが……?
「みどりさん」って誰?
夫とまだ恋人同士だったころ、彼の浮気を疑ったことがあります。きっかけは彼のスマホに届いた新着メールの通知。そこには「新着メール1件・みどり」と書かれていました。女友だちかなと深く考えないようにしていましたが、1週間後のデート中に「みどり」という女性から着信があったのです。
「ちょっとごめん」と席を外した彼の後ろ姿を見て、浮気かもしれないと感じ「これから修羅場が待ってるのかも……」と不安な思いを抱いてしまいました。彼が戻ってくるまでの数分間は、とても長く、変な緊張でどっと疲れたのを今でも鮮明に覚えています。
「みどりさん」の正体
どのように声をかけようか考えあぐねていると、彼が戻ってきました。そして、「ごめん、今のおばあちゃんからの電話で」と言うのです。私は「え?おばあちゃん?」と驚き、拍子抜け。目を丸くしている私に、彼はおばあちゃんとの関係性を話してくれました。
どうやら彼のご両親は共働きで祖母のみどりさんが親代わりとなって彼を育ててくれたそうです。彼女は「おばあちゃん」と呼ばれたくないという思いがあり、その考えを尊重して名前で呼んでいるのだとか。一度でも彼を疑ってしまった自分の愚かさを反省すると共に、そういえばお互いの家族や生い立ちについてまだまだ知らない部分が多いな、と気付かされた一件でした。それから、お互いの家族の話をする機会が増え、より深い絆を感じられるようになって、結婚に至ったのです。
みどりさんとの出会い
結婚の挨拶のために初めて彼の実家を訪れた際、ついに「みどりさん」と対面しました。とてもやさしい方で、しばらく歓談したあと「○○さんって、観劇が趣味だと聞いたんだけど」と話しかけてくれて、「実は私もミュージカルが大好きなのよ」とにっこり笑いかけてくれました。緊張で固い表情のままでいた私の様子を見て、適切なタイミングで話題を振ってくれたみどりさん。一気に和やかな雰囲気になりました。
そして帰り際に、みどりさんからリボンのかかった小さなプレゼントを渡されました。開封してみると、人気ブランドとコラボしたミュージカルの劇場オリジナルグッズが入っていたのです。みどりさんのセンスの良さに、私は心撃ち抜かれました。結婚後は一緒に観劇に出かけたり、ときにはお料理を教えてもらったりと、今では私もみどりさんのトリコです。
はじめは浮気疑惑から始まった「みどりさん」との関係。しかし、その出来事があったおかげで彼との絆が深まり、素敵な家族の一員になれました。これからも彼を育ててくれた周囲の人との絆を深め、いろいろなことを学ばせてもらえる生活を大事にしたいです。
著者/井上佐和子
作画/ちゃこ
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ベビーカレンダー編集部/ムーンカレンダー編集室