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1日11分の早歩きが、早死にのリスクを抑える?

  • 2023.4.7

イギリスで大規模に行われた調査の結果が2月28日に発表された。それによると、短時間であっても運動をすることによって心臓の病や癌などによる早死のリスクを減らせるとのこと。出不精な人にも希望を与えるものだ。

photography: iStock

一日に8時間以上座ったままの姿勢で過ごすと、私たちの身体は直接影響を受け、肥満、糖尿病、心血管疾患などのリスクが高まってしまう。この悪循環を断ち切るには身体を動かすことが必要だと健康の専門家はこぞって言う。もちろんそれは周知の上ではあるが、ではどのように動かすのがベストなのか。

ジョギングやジムでの強度なトレーニングが苦手な人でもご安心を。短時間であっても、少しでも運動をした方が、まったく動かさないよりはるかに効果があるそうだ。イギリスで行われた大規模なメタ分析で(科学誌 The British Journal of Sports Medicineが2023年2月28日に掲載)そのことが判明したのだ。この調査を行ったケンブリッジ大学とクィーンズ大学ベルファストの研究者によれば、一日最低11分間歩いていれば、早死のリスクを1割減らせるとのことだ。

少しだけ踊る、自転車に乗る、あるいは早歩きをする。

科学者たちは運動と平均寿命の関係を探った196の研究を入念に調べてこの結論に達した。これはいままでこのテーマを対象に行われた最大規模の研究であり、約3千万人の医療データを集計するものだった。

調査対象となった人たちの運動の量と時間、そして生活の質の関連性が調べられた。結果として判明したのはすでにわかっていること、すなわち1週間に150分の適度な運動をしている人は、まったく運動をしていない人にくらべて早死にのリスクが31%低いということだ。

同時に最低限の運動の効果についても調査がなされた。ここでもやはりポジティブな結果が出た。適度な運動を行う時間が週75分以下であっても、すなわち一日11分程度でも、心血管疾患のリスクを17%減らし、あらゆるタイプの癌のリスクを7%減らすことができる。研究チームによると、適度な運動とはダンス、自転車、テニス、ハイキング、早歩きなどを含むとザ・ガーディアン紙は伝えた。

健康増進のための小さな一歩。

対象となったサンプルの量や調査の科学的厳密さにもかかわらず、このメタ分析には大きな限界がある。運動と早死にについての相関関係を示してはいるものの、因果関係までは立証できていないからだ。ワシントンポスト紙は、遺伝や社会・経済的階級を含む他の要因もこの結果に大きな影響を及ぼしているはずだと解説している。その上、このメタ分析で使われたいくつかの調査は自己申告制であったため、信憑性が落ちる。

とはいえこれらの結果は励みになるし、運動へのハードルを下げてくれるものであると、調査の責任者であり公衆衛生の研究者であるレアンドロ・ガルシアはワシントンポスト紙に語った。「小さな変化が続くのは好ましい出発点だし、健康に良い効果をたくさんもたらします。会社から少し離れた場所に車を駐車する。階段を上るように心がける。子どもと一緒にリビングで踊る。理想を言えば、まずは毎日11分の適度な運動からスタートし、この量をこなせそうになったら、推奨されている1週間に150分を目指してみましょう」と彼はアドバイスする。「いずれにせよ、少量の運動はまったくしないより確実に健康に良いのですから」

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