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街の交差点の隠れ家イタリアン「Ristorante SUGIYAMA」で華やかな料理に舌鼓

  • 2023.4.4

金沢・野町広小路の交差点は市内でもその歴史は古く、交通の面から見ても主要な場所。犀川を渡り繁華街へと続く大通りと、寺町やにし茶屋街など観光スポットが軒を連ねる通りが交わる大きな十字路で、金沢市民にとって一度は通ったことのある誰もが知る場所です。

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ことりっぷ

その交差点の角に立つ2017年に誕生した「安藤芳園堂ビルヂング」は、このエリアのシンボル的な存在。街に馴染む落ち着いた佇まいでありながら、格子を施したスケルトンのファサードやアールに模られた窓から灯りが漏れ、ノスタルジックな雰囲気を漂わせています。その灯りの一つが、2階に店を構える「Ristorante SUGIYAMA(リストランテスギヤマ)」。一見飲食店が入っているようには思えないこの場所に、地元の食通たちが集うイタリアンレストランがあるのです。

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入口の扉を開け、厨房の横を通って案内されたのは窓からの光が差し込む明るい空間。ブルーとホワイトを基調とした爽やかな印象です。加賀五彩の一つでもある藍色の壁には通常和食店で使われるような和紙の壁紙を使用しているといいます。全体を和の趣が主張しないデザインにすることでイタリアンレストランの空間として成立し、その斬新な雰囲気が食事への期待を膨らませていくようです。

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「Ristorante SUGIYAMA」のランチは3種類。気軽に楽しめるパスタコースと、メインの肉料理が追加されたコース。さらにグレードアップメニューも用意され、シーンや一緒に訪れる相手に合わせて選択できます。それぞれに前菜が数品。この日、その中の一つとして提供されたのはマグロのタルタルをつめたパートブリックです。黒いクレープを、直に手で巻いて頂きます。

この料理に使用される店舗ロゴの入った器は、石川県に本社を置く陶磁器メーカー「NIKKO」とのコラボで生まれたもの。廃棄タイルをアップサイクルしたサスティナブルな食器です。この器から着想を得て、料理のクレープ生地には、以前は廃棄されていた焼き茄子の皮が使用されているといいます。見た目の華やかさだけでなく、今の時代をとらえた、ストーリーのある一皿です。

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美しい気泡の入ったガラスの器に盛られたのは、石川県の奥能登で栽培される大きな原木しいたけ「のとてまり」を使った温製のパスタ。元の大きさが分かるようスライスされたしいたけは、そのサイズ感だけでなく食感や凝縮された旨みにも驚くはずです。仕上げにのせたシジミの出汁の泡で更に旨み成分をプラスした豊かな味わいのパスタに心躍ります。

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同店の店主、杉山裕太郎さんは金沢市出身。幼い頃にイタリアンのシェフになりたいと決意した杉山さんは人生の様々な場面で、自身でレストランを営むことを主軸にあらゆる選択をしてきました。高校時代には“料理人になるために”デザイン科のある学校へ進み、自身のアートセンスを磨いたとか。当時学んだプロダクトやインテリアデザインの知識は、料理でも大切なものづくりにおける構成力や色彩感覚が身についただけでなく、店づくりをする上での設計や空間づくりにも生かされています。

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修業時代には、パティスリーで働いた経験も。前菜からデザートまで、コースの全てを自身で作ることを考え、当初はスイーツを学ぼうと地元のパティスリーの扉を叩きました。しかし、現在ではその経験がデザートだけでなくコース全体に反映されているといいます。同店のコースでは、クレープやタルト、パンナコッタなどスイーツを連想させるようなものを料理として昇華させ、杉山さんならではのスタイルで食事の時間を楽しませてくれます。

県外のレストランでも研鑽を積んだ杉山さんですが、独立の地は生まれ育った金沢でと決めていました。自身にとっての金沢の風景がこの交差点だったと話し、このビルへの出店はまさに理想的だったとか。繁華街の中心からは少し離れたこの場所に、わざわざ訪れる価値があると知る感度の高い人たちが、今日も「Ristorante SUGIYAMA」の席を埋めています。

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