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ダニエル・ラドクリフが自分をLGBTQを理解・支援する「アライ」と呼ぶことをためらう理由

  • 2023.4.4
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ハリー・ポッター役でおなじみのダニエル・ラドクリフは以前からLGBTQ+の権利擁護を公言しているが、自分をLGBTQ+を支持・理解する「アライ(Ally)」と呼ぶことをためらっているという。ダニエルが明かしたその理由とは。(フロントロウ編集部)

ダニエル・ラドクリフがトランスジェンダー&ノンバイナリーの若者と対談

映画『ハリー・ポッター』シリーズで主人公のハリー・ポッターを演じた俳優のダニエル・ラドクリフが、LGBTQ+の人々を支援する慈善団体ザ・トレヴァー・プロジェクト(TheTrevor Project)が手がける『Sharing Space(原題)』シリーズで、トランスジェンダーおよびノンバイナリーの若者6人と座談会に参加し、ジェンダー多幸感(※)やジェンダー代名詞の尊重、自己発見、本物のアライシップとは何かなどを話し合った。
※自分のジェンダーを肯定されたことで得られる幸福や心地よさ。

ちなみに、2010年からザ・トレヴァー・プロジェクトの支援者であるダニエルは、2020年に『ハリー・ポッター』シリーズの生みの親であるJ.K.ローリング氏のトランスジェンダーをめぐる発言が炎上した際にも、「いくつかのメディアはこの一件をJ.K.ローリングと僕の対立のように描きたがるかもしれませんが、そうではありませんし、大切なのはそういうことではありません」と前置きしたうえで、「トランスジェンダーの女性は『女性』です。これに反する意見は、トランスジェンダーの方々のアイデンティティや尊厳を傷つけ、この問題についてジョー(※ローリング氏の愛称)や僕よりも遥かに専門性を有する医療の専門家たちのあらゆる助言と対立するものです」と、同団体を通じてローリング氏の主張に反論する声明を出すなど、LGBTQ+コミュニティに寄り添ってきたことで知られる。

画像: ダニエル・ラドクリフがトランスジェンダー&ノンバイナリーの若者と対談

番組のなかで、「多くの人たちがトランスジェンダーの若者について議論を行い、ニュースでもその話題をよく耳にしますが、実際に当事者である若者たちから直接話を聞くことは非常に稀です」、「結局のところ、トランスジェンダーの若者について語るのであれば、実際に彼らの声に耳を傾けるのが最も有効的なのではないでしょうか」と、当事者から話を聞くことの重要性を説いたダニエルは、「善意のつもりで『君たちはまだ若い。大きな決定を下すにはまだ若い』と言われることについてどう思いますか?」、「君たちがアライだと思っている人たちはどのような人ですか?」といった質問を若者たちに投げかけ、彼らの意見にじっくりと耳を傾けた。

また、トランスジェンダーの若者たちと話をするなかで、ダニエルは自身も含まれるであろうLGBTQ+を理解し支援する「アライ(Ally)」という言葉に若干のためらいがあることも明かした。

ダニエルが自分を「アライ」と呼ぶことをためらうワケ

LGBTQ+コミュニティの支援活動によって「アライ」と呼ばれることも多いダニエルだが、「アライ」という言葉やその使われ方について、次のような疑問があるという。

「『アライ』という言葉に対する僕の奇妙で小さな問題について、先ほど少し話しましたが、誰かが自分をアライだと自称するのを聞くと、僕はいつも『怪しいな』と思ってしまうんです」

なお、軽い気持ちで「アライ」という言葉を使っている人たちがいるのではないかという疑念から、自分を「アライ」と呼ぶことをためらってしまうというダニエルだが、強い志を持って支援活動を行なっている人たちが大勢いるのも事実であることから、「この言葉には本来の意味があり、それをとても力強く体現している人たちがいます」と付け加えた。

画像1: ©︎The Trevor Project/YouTube
©︎The Trevor Project/YouTube

ダニエルから話を聞いた複数の参加者が、「アライ」という言葉や「アライ」と呼ばれる人々についてそれぞれの考えを述べた。ダニエルと似たような考えを持つメテオ・ルイスは、「(アライを名乗るであれば)私たちが考えるようなアライシップに本当の意味で踏み込む必要があると思います。それは、相手の立場になって理解するということです。ほとんど場合、私たちは自分の目線でしか物事を見ておらず、相手の目線に立って物事を見ることがないからです」とコメント。

ディアティ・ザ・ウェイは、「このコミュニティでは、たとえアライであっても、私たちにとって何が心地良くて、何が境界線なのかをちゃんと伝えなければなりません。アライと呼ばれる人たちが最初に考えるのは、『私はあなたのことを信じています。あなたが見てほしいようにあなたのことを見ます。自分は間違うはずがありません』ということです。(アライ=味方になるということは)相手を尊敬することではなく、説明責任を負うということです。誰かを傷つけたり、誰かの気分を悪くさせたりしてしまったときに、腰を据えて誤ちを認めることができなければ、トランスジェンダーやシスジェンダーはもちろん、誰にとってもアライであることはできないのです」と述べた。

画像2: ©︎The Trevor Project/YouTube
©︎The Trevor Project/YouTube

さらに、ダニエルがシスジェンダーやストレートの人たちがアライになるために知っておくべきこと、取り組むべきことは何かを問いかけると、参加者たちは相手に対する「優しさ」と、これまでに得た知識を捨てて、新しく学び直す「アンラーニング」と答えた。

なお、この番組はThe Trevor ProjectのYouTubeシリーズ『Sharing Spaces』の第1弾で、The Trevor Projectの公式YouTubeチャンネルで公開中)。全編英語だが、YouTubeの自動翻訳機能をオンにすれば日本語字幕つきで観ることができる。(フロントロウ編集部)

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