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激務の中、夜10時半からの職場飲みに参加すべきか…人材育成コンサルタントの納得の回答

  • 2023.3.31
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職場の飲み会は「飲みニケーション」として行くべきなのか。人材育成コンサルタントの松崎久純さんは「あなたが飲み会をする人たちと仲良くして、組織でうまくやっていきたいなら、とことん付き合いをすべきです。一方で、将来のために貴重な時間を使う人たちと付き合いたければ、そのようにすべきです」という――。

職場の飲み会は今後もなくならないのか

職場に飲み会をするのが好きな人たちがいて、頻繁にお誘いがかかり、正直かなり迷惑しています。飲みニケーションが大事ということですが、そんなことを言う人たちほど、お酒を飲んで話すのが好きなだけに思えます。昔に比べれば少なくなっていると聞きますが、職場の飲み会は、今後もなくならないのでしょうか――20代前半の会社員の方からの相談です。

ここでは、ビジネスの接待などでお酒を飲む機会ではなく、同じ職場の人たちで行われる、いわゆる「飲み会」についてお話をしたいと思います。

接待などの飲酒を伴う社交については、しかるべき立場の人であれば、その作法は学んでおきたいものです。

私がかかわっていた経営後継者向けの学校でも、実際にバーへ赴いて行われる「社交のためのお酒のたしなみ」を教えるクラスは人気がありました、一通りのマナーを知ることは、多くのビジネスパーソンにとって有益でしょう。

しかしながら「飲み会」については、相談者の方のように、悩みの種になっていることも多いようです。

バーで乾杯する3人のサラリーマン
※写真はイメージです
頻繁な飲み会の開催は実害がある

よく聞くのは、こんな話です――飲みニケーションが大事という人は、自分が飲んで気分よくなりたいだけ。付き合わされる人がどんな気持ちなのか、気にしていない人がほとんど。飲みに行きたくない人まで誘うのは、一体どういう神経のなせる業だろうか。

こういう面は、実際にあるのではないかと思います。

「仕事終わりに飲みに行けば、帰りが遅くなります。当然、家族にも影響があります。それにもかかわらず、なぜ頻繁に飲み会を開催したがるのでしょう」と、実害があることを訴える人もいます。飲みニケーションが大事という人たちに、相当に不信感を抱いているように聞こえます。

飲み会が苦痛だと思う人もいる

飲み会を開催する人は、おそらく全員に声を掛けないといけないのでしょうが、彼らの中には、確かに飲まない人の気持ちがわからない人もいるようです。

お酒を飲むことそのものが嫌いで、飲み会に付き合うのは苦痛にしか思えない。こういう人たちは数多く存在します。そこで飲みニケーションなどと言われても、やはり迷惑なのでしょう。

コミュニケーションが大事だというので、何か意味のある話をするのかと思えば、酒に酔って話し、上司や組織の悪口を言っているだけ――それでさらに飲み会が嫌いになる。こんな人も多いのではないでしょうか。

ベッドサイドに書籍と眼鏡と目覚まし時計
※写真はイメージです
飲み会が人の体調を狂わせると知っているか

私自身もメーカー勤務時代に、所属していた事業部で頻繁に行われる飲み会には、閉口していました。

何をおいても、私は帰宅が遅くなるのが好きではありませんでした。夜に一人でぼんやりする時間が必要なタイプだからです。

特に何をするわけではないのですが、就寝するまでの間に、1人で考え事をしたり、リラックスする時間がほしいのです。

これが、そうでない人には理解してもらいにくいのです。

旅行へ行ったり、職場の合宿などで、誰かと相部屋で寝るときに、さっきまでお酒を飲んだりして話していたかと思えば、次の瞬間には寝入っている人がいます。

そして朝起きると、またすぐ元気に話をはじめます。

私などは、そうして夜遅くまで会話をしたら、すぐに寝付くことはできません。寝不足になって、朝は目を覚ましても、しばらくはボーッとしています。

飲み会で帰宅が遅くなっても大丈夫な人は、こうした感覚とは縁がなく、飲み会が人の体調を狂わせるとは考えていないように思えます。

もともと職場で飲み会を開催する風習があることが、世界の常識から見れば普通ではないのですが、日本には今日でもそうした慣行があり、相談者のような若い方を悩ませているのは、あまりに不思議なことです。

夜10時半からの飲み会についていけない

私が米国で働いていたときの話ですが、取引先を訪問すると、数年前まで、日本で大企業に勤めていたという日本人の方がいました。

その企業を退職され、米国に移住してこられたのですが、その理由は「(勤務していた)日本企業の慣行についていけなかったから」というものでした。

「みんなすごく忙しい。だけれど飲み会はやるわけ。みんなが仕事を終えると遅い時間になるから、飲み会がはじまるのは夜10時半からとか」

その人が「夜10時半から飲み会っておかしいでしょ! そう思いませんか」と訴えていたのを鮮明に覚えています。

「それで終電に乗れずに、みんなタクシーで帰るんですよ。でも翌朝8時には、全員がネクタイをして出社してきている。もうついていけないと思いました」と。

日本を離れた動機の一つとして、そんなエピソードを語られていました。

黄色いドアと青いドア
※写真はイメージです
大切にすべきは「職場での付き合い」か「自分の時間」

相談者の方は、現在悩んでおられると思いますが、「飲み会」というテーマを通じて、これから誰を友達とするのか、選択を迫られていると考えてみてください。

職場での付き合いを優先するのか、自分の時間を大切にするのかという選択です。

あなたが飲み会をする人たちと仲良くして、組織でうまくやっていきたいなら、とことん付き合いをすべきです。

本当はイヤでも、そこで出世をしたければ、飲み会がくだらないと言っている場合ではありません。率先して飲み会を盛り上げるくらいのつもりで、会社生活を送るべきです。

同じ職場でも、時間の経過とともにメンバーが変われば、そうした風潮も変わることがありますから、そのときまでと割り切ってというのも有り得るでしょう。

一方であなたが、飲みニケーションが大事と言う人たちでなく、もっと時間を大切にして、将来のために貴重な時間を使う人たち(あるいは、そういうご自分自身)と付き合いたければ、そのようにすべきです。

自分自身に対して意思表示することが必要

私たちは、時には、はっきりとした意思表示が必要です。

たとえば社会人として、就業時間後に大学院で学ぼうと決めたら、夜のお供はしていられないと宣言することになるでしょう(本当にそうするときには、伝え方には十分に気をつけないといけませんが)。

そのときには飲みニケーションの人たちが、あなたの決意をすんなりと認め、応援してくれるとは限りません。

彼らは相変わらず頻繁に飲み会を行って、それに参加しないあなたのことをわるく言うかもしれません。

しかしながら、ここで大事なのは、彼らがあなたの言動についてどう感じるかではなく、あなたが自分の時間をどう使いたいかを彼らに(そして誰よりもあなた自身に対して)はっきりと意思表示することです。

どっちつかずの中途半端で、飲みニケーションの人たちも満足させられず、自分自身も不満タラタラというのは感心しません。そうした姿勢でいると、飲み会は悩みの種であるまま、変わることはないでしょう。

社会人をやっていれば、たまにはくだらない誘いもあることを承知し、悩んでいる飲み会のことについては、今の状況が、今後それをどう扱うかを決めるよい機会だと捉えましょう。

そして、それは飲み会をする人たちの顔色を見て決めることではなく、あなたがご自分自身との話し合いで決めることだと認識したいところです。

バーで乾杯する3人のサラリーマン
※写真はイメージです
後輩から誘ってもらえる先輩を目指す

しかし、そんなあなたにも会社の中に、一緒に飲みに行きたいと思う人はいるのではないでしょうか。

上司や先輩にも、お酒を飲みに、あるいは食事に連れていってもらい、話を聞かせてほしいと思う人がいるはずです。

私もメーカー勤務時代には、(相手が偉い立場の人すぎて実現しませんでしたが)どうやって事業を大きくしたのか、若い頃はどんなことを考えておられたのかなど、ぜひゆっくり伺ってみたいと思う人がいました。

私たちも、できれば後輩から、飲みに連れて行ってほしいと思われる先輩になるのを目指したいものです。

それが実現したときは、そうした後輩との飲み会を有意義に感じることができるでしょう。

松崎 久純(まつざき・ひさずみ)
サイドマン経営・代表
もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』『英語で学ぶトヨタ生産方式』など多数。

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