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「日本人は平均3000万円の貯金を残して死ぬ」つまらない人生を送る"ただの貯金持ち"を今すぐやめる方法

  • 2023.3.30
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若いころから節約や貯蓄をする習慣は身に付けたほうがいいのか。不動産コンサルタントの午堂登紀雄さんは「貯蓄自体が目的になってしまうと、スケールの小さい、つまらない人生を送るリスクが高まる。20代のうちは、収入のほどんどを自己投資に充ててもいいくらいだ」という――。

※本稿は、午堂登紀雄『人生の正解をつくるお金のセンス 17歳までに知っておきたい「使う」「貯める」「稼ぐ」「守る」「増やす」の考え方』(技術評論社)の一部を再編集したものです。

貯金箱
※写真はイメージです

・登場人物
【慶太】…しっかり者の17歳、現在高校2年生。バスケ部と弁論部をかけもちしている二刀流。高1の頃はパパの真似をしてアプリを開発・販売していたこともあり、将来は起業を目指している。
【パパ】…慶太のパパにして、会社経営者。家計はすべてパパが握っている。将来は慶太も和泉も起業してほしいと考え、お金の面で困らないよう、いろいろ伝授に余念がない。
【穣一】…パパの姉の子で、現在25歳の会社員。パパからは甥、慶太からは従妹にあたる。根はマジメで、パパのことを尊敬しており、よく相談に乗ってもらっている。

20代のうちは貯金しなくていい?

【パパ】「穣一くん、いらっしゃい、久しぶりだね」

【穣一】「就職活動のときはお世話になりました。お礼に伺うのが遅くなってしまってすみませんでした」

【パパ】「いやいや、忙しいのは何よりだ。そういえば穣一くん、先日メールで家を買おうかどうか迷っているって言ってたけど、もう決まったのかい?」

【穣一】「いやあ、欲しいとは思うんですが、頭金とか諸経費とか必要で、なかなかお金も貯まらなくてですね……もうしばらく時間がかかりそうです」

【パパ】「まあ、穣一くんの年齢であれば、マイホームは急ぐ必要もないし、無理に貯金なんてしないで全部使い切ってしまってもいいぐらいだよ。子どもがいるわけでもないし」

目的のない節約貯金は思考停止と同じ

【穣一】「えっ、全部!? でも、同期の中には、もう300万円も貯めたっていうヤツもいたりして、ちょっと焦りますよ。まだ就職してから3年なのに」

【パパ】「どうかなあ。そういえば雑誌やウェブのコラムなんかでも、『20代で2000万円貯めた人の習慣』とか『年収300万円でも10年で1000万円貯める方法』といった特集が組まれることがあってそれなりに人気らしいけど、貯金ってそんな大切なのかねえ」

【穣一】「何かあったときの備えは必要ですよね」

【パパ】「まあね、たしかにゼロじゃ余裕がなくなるだろう。病気になって働けなくなることもあるし、突然会社が倒産とかリストラとかいう可能性もある。だから貯金はあったほうが望ましい。でも、特に理由もなく貯金そのものが目的になってしまうと、それはただの思考停止だ」

日本の銀行帳に10万円、現金が記録されている
※写真はイメージです
安心と引き換えにつまらない人生を送るリスク

【慶太】「思考停止って、どういうこと?」

【パパ】「たとえば、野菜を食べることは大切だけど、それは何のためかというと、そもそも健康維持が目的のはずだろう? なのに、健康にいいからといって野菜ばかりを食べていれば、栄養バランスが崩れる。つまり『その行為の本来の目的は何か』に立ち返って考えることが大切なんだ」

【穣一】「本来の目的、ですか」

【パパ】「安心を得ることと引き換えに、もっと楽しい経験をすることなく人生を終了してしまうリスクについて、もっと敏感になっておかなきゃ。日本人は平均して、約3000万円の貯金を残して死ぬらしい」

【慶太】「え、そんなに!」

高い買い物は使い倒してこそ価値がある

【パパ】「たとえば、豪華客船で世界一周旅行をするのにかかるお金は300万~500万円ほど。自分のカフェバーをオープンさせるのだって、1000万円もあれば可能だ。つまり、自分の可能性を広げる経験が充分にできるほどの金額を残し、人生を楽しむことを先送りしたまま生涯を終えていく人がとても多いってことだ。とてももったいない、と感じないかい?」

【穣一】「そう言われれば、たしかに……」

【パパ】「ガソリン代がもったいないからといって、マイカーに乗るのを控える。電気代がもったいないからといって、エアコンを使うのを控える。高かった毛皮のコートが汚れるのが嫌だからと、クローゼットの中にしまっておく。たしかにそういう判断もあるかもしれないけど、冷静に考えてみると、乗らない車、使わないエアコン、着ないコートの存在価値ってなんだろうって、疑問に思うんだよね」

【穣一】「たしかに、乗らないマイカー、使わないエアコン、着ないコートって、そもそも持っていないのと同じですよね。せっかく買うときに大きな出費をしたのに。だったら徹底的に使い倒さないと、もったいないって感じますね」

節約貯金ばかりでは魅力的な人間にはなれない

【穣一】「でも、節約貯金って、常識みたいになってますよね」

【パパ】「お金を貯めようと節約貯金をすることは、いま使えるお金を少なくするってことだよね。結果として、自分ができることの幅や深さをわざわざスケールダウンさせることと同じだろう?

『お金がもったいないから本を買わない』
『お金がもったいないから勉強会に行かない』
『お金がもったいないから旅行にも行かない』

そんな生活を続ければ、たしかにお金は貯まる。でも、それでその先いったいどれほど魅力的な人物となるか、僕は疑問なんだよね」

図書館の机の上の本をクローズアップします。
※写真はイメージです

【慶太】「たしかに、父さんもよく言ってるよね。自分の幅を広げるものは3つある。人と会うこと、旅をすること、本を読むことだって」

ただの「貯金持ち」はスケールの小さい人生を送る

【パパ】「たくさんお金を持っていれば『お金持ち』なのかもしれないけど、ただお金を貯めこんでいるだけであれば単なる『貯金持ち』に過ぎない。ただの貯金持ちは、多種多様な経験を積んでいない。だから、トラブルにも弱い。堅実であるがゆえに冒険したことがなく、“つまらない”ことが多い。私の偏見かもしれないけどね。いずれにせよ、節約貯金ばっかりしていると、スケールの小さな人生となるリスクをはらんでるってことだ」

世界地図
※写真はイメージです

【穣一】「たしかに、その同僚は貯金が趣味みたいな感じですね。昼食も手作り弁当だし、会社が終われば毎日一直線に家に帰ってて、『付き合い悪い』って言われてます。でも、そうは言っても老後の備えも必要ですよね」

【パパ】「老後が不安なら、老後も稼ぎ続けられる自分になることが一番確実で安心の方法だ。穣一くんの年齢だと、職業人生はあと40年以上続く。老後から人生が始まるわけじゃないし、現役時代が輝いてないと老後も輝かないんじゃないかな」

【慶太】「父さんがいつも言っている、『投資と消費と浪費』を区別しろ、ってことだね?」

【パパ】「そう。投資とは、株や不動産とかではなく自己投資のこと。消費は、日常の生活必需品。浪費は、単なる自己満足や見栄のための出費だ。特に20代は仕事で最も成長する大事な時期だから、ほとんどを『自分への投資』に充てるべきだよ」

20代は節約貯金よりも経験値を増やすべし

【穣一】「でも、そんなに使うところありますかね? 資格を取るとか?」

午堂登紀雄『人生の正解をつくるお金のセンス 17歳までに知っておきたい「使う」「貯める」「稼ぐ」「守る」「増やす」の考え方』(技術評論社)
午堂登紀雄『人生の正解をつくるお金のセンス 17歳までに知っておきたい「使う」「貯める」「稼ぐ」「守る」「増やす」の考え方』(技術評論社)

【パパ】「仕事をするのに不可欠だったり、昇進昇格に必要な資格なら取らなきゃいけないけど、『何かに備えて』なんていう漠然とした動機なら必要ない。社会人に必要なのは、テキストを読んで問題を解くという受験勉強の延長のようなものではなく、スキルや能力とか目に見えない仕事の実力に直結する勉強だよ」

【穣一】「さっき慶太くんが言っていたような、本を読むとか、勉強会に参加するとかですか?」

【パパ】「それもあるし、海外旅行も日本との違いを考察する勉強になる。優秀な先輩や上司を酒食に誘って話を聞くことも自己投資だ。一方、パッケージツアーだったら、ガイドブックに載っている名所をなぞるだけの“確認旅行”になってしまう。ただ会社の同僚と飲みに行って上司の愚痴を言うだけなら浪費だ。だから、投資的なお金の使い方を意識する必要がある」

【穣一】「つまり、20代は節約貯金よりも、まず自分の経験値を増やせということなんですね。そうか、全部使い切れってそういうことなんですね」

午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビ二エンスストアチェーン本部を経て、戦略系経営コンサルティングファームで経営コンサルタントとして勤務。現在は起業家兼個人投資家としての活動に加え、講演や執筆活動もおこなっている。『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『いい人をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)など著書多数。

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