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話題のロール式生理ナプキン「Egal」のCEOに取材― 生理用品の提供は「トイレットペーパーと同じように考えるべき」

  • 2023.3.23
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「トイレットペーパーを持ち歩く人はいないのだから、生理用品を持ち歩く必要もない」。欧米の大学で導入が進んでいるロール式の生理ナプキン「Egal(イーガル)」がここ日本でも話題になっている。そこでフロントロウ編集部では、日本の消費者からの疑問をEgalのCEOであるペネロペ・フィニー(Penelope Finnie)にぶつけてみた。

「Egal/イーガル」 トイレットペーパーのような生理用品

「EgalはEqual(平等)という意味です。私たちは、すべての身体機能を平等に扱うべきだと考えています。 トイレットペーパーを持ち歩く必要がないのに、なぜ生理用品を持ち歩く必要があるのでしょうか?」。Egal(イーガル)のCEOであるペネロペ・フィニー氏は、Egalの理念をフロントロウ編集部にそう明かす。

画像1: 「Egal/イーガル」 トイレットペーパーのような生理用品
画像2: 「Egal/イーガル」 トイレットペーパーのような生理用品

アメリカで誕生した「Egal(イーガル)」は、トイレの各個室に設置するロール式の生理ナプキン。Egalの特製ディスペンサーに入れることもできるが、既存のトイレットペーパーホルダーにも設置できるため、導入しやすい。とくにホルダーが2つある個室では、すぐにでも設置できる。

Egalの生理ナプキンは羽なしタイプ。薄いが吸水性が高く、4~6時間ほど吸収力が持続するという。羽つきも検討したものの、型抜きした後に製造上の無駄が生じるため、商品のサステナビリティを考えたうえで、羽なしで統一することにしたという。

ロールタイプである利点は複数ある

画像: ロールタイプである利点は複数ある

Egalをロールタイプにした理由は、トイレットペーパーのように、それが必要とされているトイレの個室内に常にあることを目指したからだった。

アメリカでは、公共のトイレに生理用品の販売機がある場合は、手を洗うエリアに壁付けのものが設置されている場合が多い。しかしEgalによると、92%が公共のトイレにある生理用品の自動販売機が詰まっていたか、壊れていたか、あるいは空だった経験があると回答したという。

一方、当たり前だが、トイレットペーパーは各個室に設置されており、定期的に補充もされる。生理用品もそれと同じようにしたい、というのがEgalの思いだ。「(生理用品は)個室内で必要とされるため、個室内に設置できるものであることが重要でした」と語ったフィニーCEOは、「トイレを清掃する人にとって、トイレットペーパーを補充するときに一緒に補充できる商品であることで、補充され続ける可能性が高くなります」と続け、トイレットペーパーと同じ形態にすることで、トイレの個室内に簡単に設置できるようになり、トイレットペーパーと一緒に補充される、ということを狙ったことを明かした。

さらに、ロール状になっていることには「輸送時の梱包や重量が大幅に軽減される」という利点もあるそう。

費用の負担は企業や学校?それとも行政?

画像: 費用の負担は企業や学校?それとも行政?

現在Egalは、ニューハンプシャー大学や、バーモント大学、ウィリアムズ・カレッジのほか、マサチューセッツ州やロードアイランド州の一部の学校、さらにはイギリスの私立学校とルワンダの2校など、学校を中心に導入されてきている。そういった場所では、自治体と学校のどちらが負担をしていることが多いのだろうか?

「両方のケースがありますね。 アメリカでは、州によって費用を行政が負担したりしなかったりです」と、フィニーCEO。実際にアメリカでは州によって制度が異なり、現在は、20以上の州とコロンビア特別区が公立学校での生理用品の無料配布を義務化、あるいは資金の用意をしている。

とは言え、フィニーCEOは「やはり、これはトイレットペーパーと同じように考えるべきだと考えています。学校や企業は、何も考えずにトイレットペーパーの費用を支払っていますよね」と、“生理用品をトイレットペーパーのように提供しよう”という理念を繰り返した。

窃盗の心配はしているのだろうか?

フロントロウ編集部が2023年3月3日にツイッターでEgalを初紹介したときに、日本のツイッターで懸念点として挙げる人が多かったのが、商品の窃盗の可能性。それについて、フィニーCEOは心配ないとする。

「トイレットペーパーと同じように、その製品が常にそこにあることを皆さんが分かってくだされば、盗まれることはないと思います。 最初のうちは見たこともないものだから持っていくかもしれませんが、いつもそこにあることが分かると、それもなくなります。 また、ディスペンサーにはロックがかかっているので、1ロール丸ごと持っていかれることもありません。ちなみに、1ロールはトイレットペーパーのようにかなりかさばるので盗みにくいですよ」

画像: twitter.com
twitter.com

また、日本のツイッターでは衛生面を心配する声もあったが、Egalの生理ナプキンはすべて個包装になっているうえ、専用ディスペンサーを使っている場合は引き抜くまでディスペンサーの中に入った状態。トイレットペーパーもむき出しになった常体のものを使うわけだが、個包装になっている分、トイレットペーパーより衛生的と言えるかもしれない。

導入している学校で好反応、生理の貧困対策にも

Egalはもともと、The Boston Globe紙のジャーナリストであるステファニー・エバート氏(Stephanie Ebbert)が執筆した、生理用品に対する平等なアクセスに関する記事に着想を得ている。エルバート氏はこの記事で、生理用品を公共のトイレに置くための地方や国の取り組みを取り上げており、その記事を製品開発のプロである夫のトム・デブリン(Tom Devlin)に見せながら、活動家たちが生理用品をトイレットペーパーと同じように普及させるべきだと考えていると話したという。

このアイディアをもとに、デブリン氏によるEgalの開発が始まった。デブリン氏は当時、ロール状の吸水製品の開発にすでに着手していたそうで、妻の言葉をヒントに、トイレットペーパーのようにロール状の生理用品を開発。そして特許を取り、友人であり、Ask Jeevesの立ち上げメンバーだったペネロペ・フィニー氏(Penelope Finnie)に会社のリードをお願いしたという。

画像: Egal 創業者のトム・デブリン(左)とCEOのペネロペ・フィニー(右)。
Egal 創業者のトム・デブリン(左)とCEOのペネロペ・フィニー(右)。

生理の貧困問題や生理用品への平等なアクセスの話から生まれた製品なだけに、Egalが月経経験者たちを不条理なハードルから解放することは開発側にとっても重要だという。フィニーCEOは先に導入している学校での反応について、「学生や関係者には、(生理用品が)トイレの各個室内で提供されていることが喜ばれています。 プライバシーと尊厳が保たれますから。また、(生理の貧困を理由とした)職場や学校での欠席も減ります」と明かした。

日本にも発送している!

日本への発送については、Egalの公式サイトから問い合わせをすれば(英語のみ)対応可とのこと。詳しくは以下のリンクからチェックしてみて。

https://padsonaroll.com/customer/account/create

(フロントロウ編集部)

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