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「人間に残される仕事はこの3つだけ」Chat GPTを試して至った"残る仕事・消える仕事"の最終結論

  • 2023.3.22
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AI技術が進むことで人間の仕事はどう変わるのか。業務改善のコンサルティングを行う岡田充弘さんは「私はこれまで講演先などで『人間がする仕事は、改善、創造、交渉、しかなくなる』と言い続けてきたのですが、まさにその状態が急速に現実化しようとしています」という――。

ホログラム画面を見ているアジア人女性
※写真はイメージです

2022年12月に米のオープンAI社が公開した対話型AIを活用したインターネット検索サービス「Chat GPT(チャットGPT)」が、大きな話題を呼んでいます。なんとなくイメージが思い浮かばない人は、チャットボットの進化版だと思って下さい。

凄いのは話題性だけでなく、利用者が2カ月で1億人を突破するなどその拡散力です。あまりに急速に広まったため、同サービスの実態が正しく理解されておらず、良し悪し様々な噂がたっています。現状だとむしろ不安の声の方が多いかもしれません。

そこで今回は、Chat GPTに人々が期待すべき点と懸念すべき点とを区別した上で、この先消えるであろう仕事、残るであろう仕事について掘り下げていきたいと思います。

消えるのは再現可能な知的労働っぽい仕事

まず多くの人が気になるのはChat GPTによって消える仕事でしょう。自分の仕事が奪われるのではないかと。その問いについては、残念ながら半分は事実です。それは、予想通りになるのが半分、予想外の結果になるのが半分という意味です。

中にはAppleの「Siri」やAmazonの「Alexa」が登場した時くらいに思っている人がいるかもしれませんが、私はChat GPTの影響力はそれらを上回り、また継続的に性能改善されていくと見ています。さらには類似サービスも多数出てくることが予想されるため、産業としては形を変えながらグロース(成長)していくと考える方が自然です。

具体的には、知的労働の比較的ベーシックな部分が置き換わっていくことになります。

例えば、文章作成であれば、「要約」「校正」「文字起こし」などはChat GPTがやってくれるので、インタビュアーや編集者、ライターなどの仕事にも何らか影響を与えるはずです。その影響が、実際に仕事まで奪うのか、それとも仕事を楽にしてくれるかは、その人がカバーする仕事の範囲やレベルにもよるでしょう。言われたことだけやるような、単純な作業に甘んじている人であれば、とって変わられる可能性は高いと言えます。

問い合わせや受付業務は置き換えられていく

また、プログラミング領域におけるコーディング作業についても得意領域なので、世の中のノンコードの流れと合わせて、利用用途として加速する可能性は大きいでしょう。

これにより、コーダーと言われるプログラムを書く人の仕事は置き換え可能になるため、言われたことを単純にコード化するだけの人は、仕事が減っていくでしょう。如何にその人なりの付加価値を出せるかが問われます。厳しい世界ですね。

さらには、現在でもチャットボットの形でサービスは存在しますが、今後ますますお問い合わせや受付業務などは、置き換えられていくことでしょう。特にコールセンターや店舗窓口などでは、この人口減社会においては率先して導入せざるをえないでしょう。また、これまではパソコン画面やスマホ画面でのやりとりが主体でしたが、今後は街角に設置されたサイネージ上での利用も広がっていくことが予想できます。これにより、デパートや商業施設、ホテルなどで受付案内の職に従事されている方々にも、何らか影響があるかもしれません。

人間に残る仕事は3つだけ

消える仕事がなんとなくイメージできたら、こんどは残る仕事が気になることでしょう。

消える仕事が連続的で何らか規則性があるものであるとするならば、残る仕事は非連続でより人間味あふれる仕事になります。

また、1を2にするような仕事は消えていくかもしれませんが、0から1を創るような創造的な仕事は残るはずです。

私はこれまで講演先などで「人間がする仕事は、改善、創造、交渉、しかなくなる」と言い続けてきたのですが、まさにその状態が急速に現実化しようとしています。

職種で言えば、アーティストや芸人、俳優のような、個性が強みになるような世界であれば、そう簡単には置き換えられないことでしょう。ただそれも、クセの少ない単純なパーソナリティであれば、個性学習の技術が進んでAIがキャラクターを自動生成するような世界が絶対に来ないとは断言できないところが何とも怖いところです。

ちなみに現時点ではChat GPTが作るジョークの出来に私は眉一つ動きませんでした。やはりユーモアのセンスが熟成するまでには、まだ少し時間がかかるようです。みなさん今のうちに何を磨いておくべきかは、もうお分かりですよね?

ユーモアのセンスはまだまだ
図表=筆者作成
Ghat GPTの活用方法

ここまでは既に世の中に存在する仕事を基準として、消える仕事、残る仕事についてお話してきましたが、ここからはChat GPTがこれからどのように使われるべきか、といった未来の話をしていきます。まず用途としては大きく3つあります。

それは「基本リサーチ」「ドラフト作成」「異視点の抽出」です。

「基本リサーチ」では、Googleのようなキーワード検索とは異なり、対話型検索と呼ばれる、より人間とのやりとりに近い形で欲しい情報を入手することを目指します。

調査・分析作業などで、素早く全体像を捉えたい場合などに、概要や背景、関連情報などバランスの取れた文章を作成してくれるので大変便利です。

間違った内容をもっともらしく回答してくる

一つ気になるのは、リサーチの頭に「基本」を付けた理由でもあるのですが、現時点でChat GPTの回答精度が限定的なようで、リサーチ対象によっては間違った内容をもっともらしく回答されてしまうケースもあります。

たとえば、私が経営する謎解きゲーム企画会社、クロネコキューブについて尋ねてみたところ、完全に運送会社のクロネコヤマトさんと間違っている様子でした。2度ほど訂正を促すメッセージを送って、ようやく正されましたが、まだまだそのレベルであることが認識できたのと、正解と不正解を混ぜてもっともらしく回答してくるところが、逆に現実社会とも似ていて少し恐ろしく感じました。

なので、何でも鵜呑みにしてしまわないよう、特に自分が知らない分野については、Chat GPTの回答に対して、別途裏とりをしておいた方がいいかもしれません。

リサーチ用途における回答精度には注意が必要
図表=筆者作成
提案書作成のドラフト作成に活用

次に「ドラフト作成」です。論文や提案書の基本構成をまとめる時などにChat GPTを使うと、Googleのような検索エンジンと違って、文脈に沿った文章を作成してくれるのでとても助かります。

ただ、先ほどもお伝えした通り、現時点では回答精度にムラがあるため、ドラフト作成くらいで考えておくのが良いでしょう。ドラフトが出来たら内容の裏とりを行い、さらに自分独自の視点を付け加えるなどして、成果物を完成させていくことをお勧めします。

また、ドラフト作成という意味では、文章以外にもプログラミングにも使えます。単純なコーディングであれば簡単にこなせてしまえるので、初級ベルのIT技術者の仕事は、将来Chat GPTに置き換えられていく可能性も否めないでしょう。

視野が広がる使い方

最後は「異視点の抽出」です。一瞬Chat GPTと異視点ってどういう意味? と思われた方もいるかもしれません。

文字通り、自分とは異なる意見、気づいていない視点を引き出すためにChat GPTを使おうという試みです。なので、あえて意見の分かれる問い、オープンクエスチョンを投げかけてみるのです。

たとえば、「AIは人の仕事を奪うという意見についてどう思う?」といった感じです。

オープンクエスチョンで異視点の抽出を狙う
図表=筆者作成

回答はもちろん想定内のものもあるのですが、中には珍しい回答が得られる場合もあります。異なる意見に触れる、複数の視点を持つことは、自分の引き出しや視野を広げることにつながります。個人的にも、この「異視点の抽出」が最も気に入っている用途かもしれません。これらはGoogleのようなキーワード検索からは得られない体験であり、ちょっとした博学の友人と雑談しているような錯覚にさえ陥ります。もしかすると、Chat GPTがあれば飲み会の回数が減るかもしれませんね。

以上、話題のAIチャットボット「Chat GPT」についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか?かつてインターネットの登場によって知識の民主化が起きましたが、今回のAIチャットボットの登場は知恵の民主化を一気に進める可能性を秘めています。それは、従来型の教育システムで培われた人間の知性が、人間が作ったアルゴリズムに代替されていく未来社会をすら想起させるものです。水増しされた知性が溢れる世の中で、いかに自分らしくいられるか、感性を研ぎ澄ませていられるか、そんなことが今まさに問われているような気がします。

岡田 充弘(おかだ・みつひろ)
クロネコキューブ代表取締役
外資系コンサルティング会社を経て謎解き企画会社『クロネコキューブ』を設立。700にもおよぶパソコン時短ワザを集めてマニュアル化している。著書に『爆速パソコン仕事術』(ソシム)『結果もスピードも手に入る 神速スマホ仕事術』(すばる舎)『やりたいことを全部やれる人の仕事術』(PHP研究所)『やめるだけで成果が上がる仕事のムダとり図鑑』(かんき出版)『ビジネスマナーと仕事の基本 ゆる図鑑』(監修)(宝島社)ほか。

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