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子育て中の働く親たちが陥る「完璧な親症候群」から抜け出すには?

  • 2023.3.21
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絶え間なくあれこれ要求を突きつけられるワーキングマザーが、完璧になろうとする努力を捨て、ちょうど良いバランスを見つけるにはどうしたらいいのだろうか? 子育てのエキスパート、アン・ペミラがアドバイスをくれた。フランスの「マダム・フィガロ」がリポート。

完璧を目指すことをやめ、自分に適したバランスを見つけよう。photography: Getty Images

仕事を持つ親は常にプレッシャーを感じている。いつどこでもバーンアウトしそうだが、ないがしろにできることは何ひとつない。常に子どもの成長や教育などに注意を払い、仕事を通して自己実現とキャリアアップを目指さなければならない。つまり完璧でなければならないのだ。

これは大多数の働く親が自分に課している二つの“あるべき姿”。それにも関わらず、このテーマはタブー視されている。なんとかうまく切り抜けたいと誰しも思っているからだ。子育てのエキスパート、アン・ペミラはこの状況に危機感を感じ、『Le Syndrome du wonder parent. Travailler comme si on n'avait pas d'enfants et élever nos enfants comme si on n'avait pas de travail (完璧な親症候群。まるで子どもがいないかのように働き、仕事がないかのように子育てするということ)』(Éditions Payot)を上梓した。 ワーキングペアレントにとって心強い読書体験となるだろう。

謝ることをやめる。

フランスの労働人口の8割が子どもを持つ親であるに関わらず、産前産後休暇や育児休暇後の職場復帰は、母親にとっても父親にとっても困難を伴うことが未だある。ましてや、“子の看護休暇制度”を使うことに後ろめたさを感じない人は皆無だろう。上司にも子どもにも、さらに厳しいことに自分にも、完璧にやりくりできていることを証明しなければならない。バーンアウトすれすれであっても。

「まるで子どもがいないかのように働き、仕事していないかのように子育てするという絵空事のような日々を送るのは自分自信を苦しめることになります。家では罪悪感を感じながら過ごし、職場では無能でないことを周りに示しながら働く。つまり自分の力を証明し続けなければならないと感じているのです」と4児の母であり、15年間グローバル企業であるアクセンチュア社でコンサルタントを務め、その後子育てコーチとして独立したアン・ペミラは説明する。

「相談に来る人は常にプレッシャー、ストレス、罪悪感を感じながら暮らしています。どの場所にいてもベストを尽くそうとしますが、それは不可能なことなので挫折に直面してしまう。でもそんな状況について誰も口にしないばかりか、話すこと自体がタブー視され続けていることが、この症候群を育ててしまっています」。仕事を持つ親の生活が大変なのは、長い間仕事と私生活が真っ向から対立してきたからだ。特に、男女の差という視点から見た場合に、だ。

“べき”から逃れる。

「フランスでは完璧な親のイメージが主婦だけを対象にしなくなってから60年弱です。その間に、女性も仕事を通しての自己実現を行うようになりました」とアン・ペミラは著作の中で説明する。「赤ちゃんの世話をする男性はどんどん増えたし、保育園の送迎だけでなく保護者会の集まりなどにも出席するようになりました」。社会的進歩としては非常にポジティブなことだが、結果としてプレッシャーを二倍にしてしまった。しかし人々の思考は昔のままで、親に対する要求の多くが矛盾をはらむようになってしまった。

「女性の同僚が産休から復帰すると多くの場合、「子育てと仕事をどうやってマネージしていくの?」という質問が飛び交います。親切心から発せられる言葉ではありますが、結局はその責任を負うべきは女性という思いが前提となっているのです」。たとえば、「無理しなくていい」と上司が言ったにも関わらず、その上司から時間にかかわらずメールが送られてきたり、新たな目標が次々に設定されたりする。どっちなの?!

良いバランスを見つけること。

仕事を持つ親の困難な現状を描くだけでなく、アン・ペミラは著作で一つのメソッドを紹介している。あらゆる症候群にはそれに適した対処法があるのだ。

まず、家族生活と仕事をうまく両立させるには、完璧は存在し得ないということをはっきり理解すること(そしてそれを口先だけでなく、本当に思うこと!)。そして自分にとって一番大切なことに集中すると決意すること。自分を責めたり、正しいことをやっていないと感じたりすることをやめよう。「働きながら子育てをする中で、毎日、信じられないほどのことを成し遂げています。魔法のような解決法はありません。自分が心地よいと感じられる場所を見つけるには、工夫しながらもある程度の凸凹は受け入れなくてはなりません。良いバランスを見つけるには、自分の軸をしっかり保ち、優先順位をつけることに罪悪感を覚えないことです」

もちろん失敗することもあるだろう。でも失敗したとしても確固たる態度を保つことが重要だとアン・ペミラは言う。たとえば、書き終えなければならない書類があったため子どもの誕生パーティーが完璧でなかったとしても、それはそんなに深刻なことではないと割り切ろう。「17時に退社することに後ろめたさを感じたり、子どもを相手に自分を正当化したりするのはやめましょう。どんなに同僚たちみんなが手に入れたい資料があったとしても、自分も必要なら産休の後だからといって要求することを遠慮しないで。私たちの権利や希望する働き方は、自分たちで主張して手に入れるしかないのです」

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