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秋田県・横手市300年の伝統〈梵天祭〉、ブルーノ・タウトが絶賛した〈横手のかまくら〉

  • 2023.3.19
秋田県・横手市、梵天祭りの様子
秋田県・横手市、梵天祭りの様子

「ジョヤサー!ジョヤサ!」。掛け声と法螺貝の音色が響き渡り、勇壮に練り歩く人々の活気に満ちたエネルギー。しんしんと舞い散る真っ白な雪景色の中、年に一度賑わいを見せる秋田県・横手市の祭りだ。

梵天を背負いながら、潔く駆け抜けていく祭人たち。

秋田県は山岳地帯や豊かな水に恵まれ、稲作が盛んに行われてきた。〈梵天(ぼんでん)祭〉は五穀豊穣、家内安全、商売繁盛など様々な願いを込めて毎年2月17日、旭岡山神社に奉納する行事で、約300年の歴史があるといわれている。

秋田県・横手市、梵天祭りの様子
各地区の作品を審査する梵天コンクールも開催される。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子

梵天の見どころはその頭飾り。5mを優に超える丸太の先に、しめ縄や干支飾りなど色彩豊かな意匠を凝らした飾りが掲げられる。

武田信玄をイメージした頭飾り。
しめ縄飾りも手作り。

地元の参加者は「こつこつと半年ほどかけて皆で作りあげた。雪深い冬にはなかなか会うことができない町内の人々に、今年は完成を見せながら山の神社まで奉納することができる。春に向けて活気が湧いてくる」と語り、〈ぼんでん唄〉を歌いながら練り歩く。

秋田県・横手市、梵天祭りの様子
優美さ、そして豪華さが特徴で、重さは30 ㎏以上にもなる。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子
足元は足袋の上からわら草履を履いて、雪道を駆け抜ける。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子
重さでバランスを取るのも至難の業。熟練したメンバーが若手に教えながら進む。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子
腰に付けているのは法螺貝。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子
山の神社奉納へ向かう途中、通りに連なる梵天。
地元の人々も応援。小さな応援団は未来の祭人?

夜には〈横手のかまくら〉が幻想的な光を町中に灯す。水神様をまつる小正月行事で、約450年の歴史があるといわれている。

夜のかまくら
高さ、幅ともに2m を超える大きさのかまくらには、10人入れるサイズのものも。

ドイツの建築家ブルーノ・タウトは昭和11年にかまくらを見て、メルヘンの世界を絶賛し、彼の著書『日本美の再発見』にそのときの感動を伝えている。

すばらしい美しさだ。これほど美しいものを私はかつて見たこともなければ、また予期もしていなかった。これは今度の旅行の冠冕(かんべん)だ。この見事なカマクラ、子供たちのこの雪室は!…子供たちは甘酒を一杯すすめてくれるのである。こんな時には、大人たちはこの子たちに一銭を与えることになっている。ここにも美しい日本がある。

『日本美の再発見』ブルーノ・タウト著 (1962/2/20)

秋田県・横手市、梵天祭りの様子 かまくら
蓑を纏う童子(秋田の方言で、わらしこと読み、子供の意味)。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子 かまくら
子供たちがかまくらの中で「はいってたんせ」と甘酒を振る舞う。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子 かまくら
小学生たちがひとつひとつ手作りしたミニかまくらも。

祭の期間中、市内各所にできる大きなかまくらの中では、甘酒やおもちなどを食べながら、夜が更けるのも忘れ“話っこ”に花が咲く。

大きく美しいフォルムをスコップ一つで整えるかまくら職人に話を伺った。

「祭りの時期につくり続けて15年以上になる。直前につくり、数日でなくすのはもったいないけれど、子供から大人まで皆が楽しんでくれているのを見ると嬉しい」

秋田県・横手市、梵天祭りの様子 かまくら
蛇の崎川原には、3,500個ものミニかまくらが灯る。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子 かまくら
昼間のミニかまくら。
秋田県・横手市、梵天祭りの様子 かまくら
スコップでかたちを整えるかまくら職人。

中に入ってみるとその温かさにもほっこりとする。約450年の伝統を誇る幻想的なかまくらは、夜になるとライトアップされ、雪景色をやさしく照らす。

躍動とエネルギー。祭りは活気に満ちている。参加するのもよし。見るのもよし。日本を再発見する伝統の祭りに、あなたも足を運んでみては?

Information

一般社団法人 横手市観光協会

HP:https://www.yokotekamakura.com/

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