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専業主婦が熟年離婚すると年金も半分けはウソ!年金分割の注意点

  • 2023.3.19

離婚を考えるとき、どうしても気になるのが離婚後の生活に直結する「お金」のことではないでしょうか。熟年離婚の場合は、「年金分割」について知っておくことが大切です。今回は、年金分割のポイントと注意点を簡単に解説します。

■離婚するときは「年金分割」ができる

離婚の際、結婚していた期間の厚生年金を2人で分ける「年金分割」という制度を利用できます。

長年に渡って専業主婦だった人が熟年離婚して「無年金状態」になるなど、年金保険料の納付額が少ない方が不利になる事態を防ぐための制度です。離婚時に2人の厚生年金の記録を分割し、納付額が多い方の年金記録を少ない人の方に分け与えることができます。

ただ、この制度は単純に「夫の年金の半額をもらえる」というわけではないので注意が必要です。

■「夫の年金の半額をもらえる」ではない

年金分割は「年金の金額を分ける」ものではなく、「年金保険料を納めた記録を分ける」ものだという点に注意が必要です。また、年金分割の対象は「厚生年金」だけです。

夫が自営業者など、厚生年金の加入歴がなければそもそも年金分割の対象外となります。夫が厚生年金に加入していても、国民年金(基礎年金)の分や結婚前に厚生年金保険料を支払っていた分は分割されません。

年金の分割割合も、「夫50%:妻50%」と決まっているわけではなく、2人の合意によって設定することもできます。

「実際に年金分割してみたら、自分の取り分が思ったより少なかった……。」ということも充分あり得ます。年金事務所で「年金分割のための情報提供請求書」を提出すれば、離婚後の年金の具体的な金額をシミュレーションしてもらえます。あらかじめ確認しておくようにしましょう。

また、年金分割は離婚の翌日から「2年」を経過すると請求できなくなるので要注意です。

■離婚する前に老後の生活をシミュレーションしよう

「年金分割があるから、夫の年金の半分はもらえる」と思い込んで離婚に踏み切ると、後から「こんなはずでは」という事態に陥ってしまうかもしれません。

年金は老後の生活を大きく左右する重要なものです。できる限り具体的な金額を把握して、離婚後の生活をシミュレーションしてから冷静に考えてみるのがおすすめです。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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