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テレ朝『リエゾン』最終回、発達障害児の行方不明エピソードに当事者親が思うこと

  • 2023.3.18
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毎週金曜よる11:15~0:15(※一部地域で放送時間が異なります)放送のテレビ朝日系・金曜ナイトドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』。第8話は最終回。あっという間に最終回を迎え寂しく感じています。この記事は、5歳でADHD・広汎性発達障害と診断された息子との12年間を発信しているインスタグラム「発達障害と共に生きる」家族のコミュニティ「そらあい」のSHI-・ママに寄り添う発達凸凹育児アドバイザー(@_so_ra_ai_)が、『リエゾン-こどものこころ診療所-』を視聴しての思いをつづります。

「突然わが子がいなくなった」信じられない光景

ドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』、最終回は第7話の続きのエピソードでしたね。今回も発達障害児の親の視点からお話します。

ドラマに登場する優実(ゆうみ)ちゃんは自閉スペクトラム症のある女の子。夜、突然家を飛び出してしまいます。何とか無事に保護しますが、家から出た理由が「お母さんに会いに遊園地に行く」という理由。そこにはどう言った思いが隠されているのでしょうか。

今回の優実ちゃんの行動のように、わが家でも実際に、ADHD・広汎性発達障害の診断を受けた息子が5.6歳のころ、2回ほど朝起きたら姿がなかった経験があります。こう言うと「親として何をしているんだ」と言われるかもしれませんが、当時は毎日必死で疲れ果てていました。

結果、息子はどこにいたか。それは「保育園の玄関前」と「前日に約束をしていた病院付近」でした。前日の夜、息子と「明日になったら病院に行こうね」そう約束をしたところ、目が覚めた息子は、1人で病院へ行ったのです。家族総出で息子を探し、やっと見つけたときは泣いて抱きしめました。息子の頭の中には「起きたら病院」という言葉が入っていたのでしょう。無事だったからこそ良かったものの、親が予測できないできごとが起きることを痛感しました。

ドラマをごらんになった保護者の方には「わが家ならどうするか」を考えてみてほしいと思いました。

子どもが「死」を理解すること

障害を抱えていなくとも、小さい子どもが死を理解するのは難しいように思えます。

ドラマでは、遊園地でのお父さんと子どもたちのやり取りは涙なしには見られない場面でした。優実ちゃんの「お母さんには、もう会えません」「お外では泣きません」「大きい声は出しません」このフレーズの1つ1つが胸に突き刺さります。事故で亡くなったお母さんの死をまだ理解しておらず、おばけ屋敷に行けば会えると思った優実ちゃん。会いたかったお母さんにもう会えないとわかった瞬間は、とてもつらかったでしょう。

わが家でも、子どもたちと出かける前には「大きい声を出しません」「お父さん、お母さんから離れません」「お店の中は走りません」そう毎日毎日声をかけながら事前対応をしています。優実ちゃんの言葉の裏には親の努力あることが伝わり、必死に感情をこらえ頑張っている優実ちゃんにグッときて、涙が止まりませんでした。

こうした優実ちゃん、同行した弟それぞれに「頑張ったな」と声を掛けるお父さんにも感動しました。1人での子育ても大変さがわかるからこそ、お母さんの死を乗り越えて子育てをするお父さんにも、無理せず吐き出す場があると良いですね。

大人が思う以上に、子どもは成長していく

ドラマのラストの佐山先生のセリフ「子どもは大人が思っている以上に、日々いろいろと吸収して生きていく」という言葉に共感しました。本当にそうなんです。障害があるからわが子にはわからない、と思っているのは「大人」で、実は子どもは常に何かを感じ、吸収しながら生きています。そこを忘れてはいけないんですよね。

ドラマの優実ちゃんのお父さんが言っていたように、私も息子を「障害があるからと、どこかで諦めていた」という面がありました。診断を受けた息子を見て、この先の未来が一瞬にして「真っ暗」に。この先この子はどうなってしまうのか。そんな漠然とした不安に襲われました。

親として、障害のあるわが子の将来を「悲観」してしまいがちですが、1年1年歳を重ね大きくなるわが子を見ていると「この子が何もできないと決めつけていたのは自分自身だった」そう感じるのです。将来、誰に助けてもらいながら、この子は生きていく。「この子のには、この子の人生がある」と、今は心から感じます。

子育てへのメッセージが詰まったドラマでした

今回のドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』はたくさんの親の思いに寄り添ったドラマだったのではないでしょうか。中には厳しい意見もあったかとは思いますが、全てが全ていいようにはならないにしても「とってもわかりやすく、思いを理解しやすい。また、感情がグッと胸の中に入り込む」ドラマだったと思います。

息子が小さいころはなかなかメディアに目を向ける余裕もなかったのですが、こうして年月が過ぎながらメディアでも発達障害が取り上げられるようになったことは、とても大きなことだと思っています。

実際に今このとき、しんどい思いで生活している子どもたちがいることは事実です。「学校の先生に理解されない」「その子に合った支援が受けられない」「病院に行きたくても、なかなか予約が取れない」「家族に理解されていない」などなど、厳しい状況は現実なのです。

ドラマの中で佐山先生がお話されていたある言葉に「ハッ」っとさせられました。その言葉とは「忙しさや仕事は言い訳にはならない。子どものころの心の傷は一生癒えることはない」。この言葉です。子育ては24時間フル稼働。親として余裕がないこともあります。だからこそ「力を抜ける時間」あるいは「休める日」、「自分が自分に戻れる時間」を作ることを大切したい、他の親にもそうしてほしいと思います。その心の休息が自分にとっても、わが子にとっても良い時間になるはずです。

ドラマは最終回になりましたが、これからも子どもたち、そして親に寄り添う場所は必要ですよね。私自身、インスタグラムを通じた発達障害の子を持つ親の支援をこれからも続けていこうと強く思いました。

著者:☆そらあい☆SHI-

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