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エンヤが7年ぶりにニュー・アルバム発表

  • 2015.11.27
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11月20日に、エンヤの約7年ぶりのアルバム、そしてアデルの約4年ぶりのアルバムがリリースされました。今回、この2人のシンガーの新作を2回に分けてご紹介していきます。

エンヤというと、冬になると必ず聴きたくなるほど、この季節が似合うシンガーに思えます。透き通る歌声には1年を振り返って心を鎮めたい時や、新年の良きスタートを願う時にふさわしい清らかな響きがあり、また時空を超えた深遠な世界に引き込まれてしまうような神秘性も兼ね備えています。

今年54歳になるエンヤ。変わらぬ美しさです。

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■ アイルランドの古城に住むエンヤ

このアイルランドの歌姫は1988年にアルバム『ウォーターマーク』でメジャー・デビューし、「オリノコ・フロウ」、「オンリー・タイム」、「ワイルド・チャイルド」などヒット曲多数発表してきました。これまで全世界で累計7,500万枚以上セールスしているほど。日本でも第59回NHK紅白歌合戦に特別企画として出演したほど人気が高く、これまで映画やCMにも多くの楽曲が使われてきました。

以前にもこのコラムに書きましたが、彼女はアイルランドの古城に住んでいることもあって、どこか超越していた独自の時間軸を持っているようです。古城に住んでいると「妖精と話している気分になることがあるの」といい、城内の一番のお気に入りは階下にある一室だそう。「城は丘にあるので、ある窓から外を見ると地階に感じるけど、同じ部屋の他の窓から見ると崖の上になっているので、上階に感じるの。それが居心地いいの」と、話していました。また、アイルランドの都市ダブリンから離れた静かなエリアに住むことで自分なりの生活スタイルをキープしているのかもしれません。あととても旅行好きなので、気分転換というか、自分を新しい環境に置くことを楽しんでいるのだと思います。

「オンリー・タイム」2000年のヒット曲。

■ 気持ちの切り替えはとても大切

前に日々の生活で心がけていることを聞いたところ、普段から睡眠をたっぷり取ることに気を遣っていて、そのためには「問題を持ち込まないこと。スイッチ・オフできる習慣を身につけること。私にとってそれは本を読むことなの。毎日忙しいと、本を数章読んだりして、時には逃避する時間が必要なの」と話してくれました。

人生を楽しむコツに関しても、「あえて日本人の皆さんに言いたいわ。もちろん働くことも大切だけど、気持ちの切り替えもとても大切よ。働きすぎるということは燃え尽きることがあるし、それはクリエイティヴなエネルギーも弱めてしまう。私の場合、スタジオで仕事に集中するけど、終わったら自分の気持ちの切り替えをしているの。そのバランスが大切だと思うわ」と語っていました。

日頃のことは小さい手帳にメモするけれど、音楽が日記そのものなので、日記はつけないそう。そして先の予定まで立てていたら、「ワクワクする気持を失ってしまうので、立てないことにしているわ」とも話していました。完璧主義者のようでいて、自由なところは思い切り自由にしているようです。

今回、前作『雪と氷の旋律(And Winter Came...) 』(2008年)から7年もの時間が空いたのは、次に向かうテーマが見つからなかったため。また、しばらく長期休暇を取っていなかったので"アーティストであることを完全に忘れたい"とリフレッシュ休暇を取っていたためだそう。"時代に忘れられないように!"と焦ることなく、マイペースで活動するあたりもエンヤらしいです。

■ 最新作はいろいろな旅がテーマ

そしてそろそろ曲作りに取り掛かろうとした時に、長年のパートナーである作詞家のローマ・ライアンから、今回のアルバムタイトルとなるダーク・スカイ・アイランドの話、すなわち「完璧な夜空を見られるようにするため、なるべく光で島を汚染しないようにと指定された、史上初の"光害フリー島"」であるサーク島の話を聞き、それが曲作りのインスピレーションになったそう。

ネット上に公開されたアルバム『ダーク・スカイ・アイランド』のサンプラー

エンヤは今回のアルバムについて、「とてもバラエティに富んでいて、"旅"という言葉が適している内容です。サーク島への旅、感情における旅や、宇宙への旅がテーマとなっている曲もあって、それぞれがかなり違った作品になっています」と説明。ローマ・ライアンが"エンヤが歌いやすい言語を音の響きに合わせて創作して考案した"という言語ロクシャンでの歌も「ザ・フォージ・オブ・ジ・エンジェルズ」「ザ・ロクシャン・ゲイツ」の2曲あり、それはケルト神話やロマンチックなものに惹かれるエンヤのファンタジーな世界を音楽から堪能できる楽曲になっています。

そもそもロクシャンは、ローマが映画『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)の主題歌となった「メイ・イット・ビー」の歌詞を書くにあたって、映画の原作である『指輪物語』の著者J・R・R・トールキンが編み出した架空の言語エルフ語を研究しているうちに、造語に興味を持ったことから生まれたもの。今回収録された2曲は過去のアルバムに収録されていたロクシャン語の歌と関連を持たせていることもあって、そのあたりのストーリー展開も興味深いです。

「ソー・アイ・クッド・ファインド・マイ・ウェイ」エンヤの長年のプロデューサー、ニッキー・ライアンの母親が数年前に亡くなり、彼女に捧げたという、母親がテーマになっている歌。

■ ポップでポジティヴな曲調が印象的

ラテン語で歌う「サンクタ・マリア」と「アストラ・エ・ルナ」は、子供の頃から讃美歌を歌うのが大好きだったというエンヤの原点を想起させるナンバー。

今回のアルバムを聴いて思うのは、サウンドの色彩が明るく鮮やかで、よりポップにポジティヴに感じるナンバーが多いこと。なかでもリードトラックとなった「エコーズ・イン・レイン」では、「テーマとなっているのは、自分が期待していることや、それがうまくいく時のこと。サビで歌っている"アレルヤ"は、そういった全てが完璧で満足している自分がいる時に得るエモーションや考えを呼び起こすのに、ぴったりな言葉だと思うわ」とエンヤ自身が資料の中で説明しているように、力強さまで感じさせる楽曲になっています。

「エコーズ・イン・レイン」

ポップで明るいエンヤのストーリー性豊かな入魂の作品。満天の星空の光を感じるように制作したアルバム『ダーク・スカイ・アイランド』は、この冬を前向きに過ごすのに欠かせない1枚になりそうです。

最新アルバム『ダーク・スカイ・アイランド』。

*To Be Continued

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