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「人に迷惑をかけたくない」は危ないかも。ひとり老後の人付き合い、何が正解?

  • 2023.3.14

一人暮らしの高齢者が増えている現状。自分一人で老後を過ごすことを想像すると、不安なイメージがある人も多いかもしれない。

そんな老いや孤独に対する精神的な不安を解決してくれるのが、『老いも孤独もなんのその 「ひとり老後」の知恵袋』(明日香出版社)だ。精神科医の保坂隆さんが、一人暮らしの高齢者によくある悩みや生活を楽しむ知恵について、実際の事例とともに紹介している。

今回は、本書の第2章「シニアの人づきあいには独特なコツがある」から抜粋し、定年後、「ひとり老後」を過ごしながら交友関係を広めていきたいときに意識すべきポイントを紹介したい。

コミュニティづくりに力を入れる自治体も

1つめのコツは、「SOS」を発信できる相手を見つけておくこと。一人暮らしをしているシニア世代の人の中には、「人に迷惑をかけることだけは絶対にしたくない」と頑なな人が少なくないという。

著者の保坂さんは、そのような人に対して「病気のときだけは例外と考えましょう」と、アドバイスしている。「困っているの、手を貸して......」と助けを求めたほうが、周りもいたずらに心配しなくて済むのだそう。そんなふうに、困ったときに「助けて!」と言える人を確保しておきたい。

逆に、相手が窮状を訴えてきたときは、快く相談に乗る。そんなふうに持ちつ持たれつの関係を築くことが、シニア同士のつきあいでは大切だという。

しかし、実際にそのような親しい関係になれる人とどのように関わりを持てばいいのだろう。そこで覚えておきたいのが、地域のシニア受け入れ態勢を活用することである。

地域で仲間をつくりたいと思っていても、いざリタイアして一人暮らしを始めると、どうしていいかわからない......そんな人を地域に受け入れようと、最近では自治体が積極的に活動しているそうだ。

「これまで、働きづめなどで地域とは無縁の生活を送ってきた人でも、スムーズに地域デビューを果たし、身近に仲間がいることを楽しむようになれる態勢は整いつつあるのです」

本書で挙げられている例として、東京都武蔵野市が2000年から始めている「お父さんお帰りなさいパーティ」のほか、東京都日野市の「百草団地ふれあいサロン」がある。このサロンは団地の空き店舗を利用したもので、入室料は100円。お茶、コーヒーがおかわり自由で、毎日いろいろな人が入れ替わり訪れ、おしゃべりや将棋を楽しんだり、新聞を読んだりしているそうだ。

ためしに、住んでいる地域の自治体のホームページを覗いてみるのはどうだろう。興味を持てるイベントやコミュニティに参加してみることで、思わぬ交流のきっかけになるかもしれない。

■保坂隆さんプロフィール
ほさか・たかし/1952年山梨県生まれ。保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。著書に『精神科医が教える 心が軽くなる「老後の整理術」』(PHP研究所)、『精神科医が教える 60歳からの人生を楽しむ孤独力』(大和書房)など多数。共著に『あと20年! おだやかに元気に80歳に向かう方法』(明日香出版社)がある。

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