【渋谷】20世紀前半に活動したフランスの女性画家、マリー・ローランサンとモード@ Bunkamura　長期休館前、最後の展覧会！

「マリー・ローランサンとモード」が、Bunkamura ザ・ミュージアムで4月9日まで開催されています。

マリー・ローランサン プロフィール

マリー・ローランサン（1883-1956）は、20世紀のパリで活躍した画家です。アカデミー・アンベールで絵画を学び、ピカソやブラックとの交流から、初期にはキュビスムの影響色濃い作風でしたが後に、パステル調の淡い色調と優美なフォルムが特徴の女性的な作風になっていきました。パステルカラーで少女たちを描き出した夢のような世界は、多くの人々を魅了してきました。一方、詩人アポリネールとの運命的な恋と別れ、その後の亡命生活など、波瀾万丈の人生を送った女性としても知られます。

本展の見どころ­ー美術とファッション

マリー・ローランサンは1920年代のパリで活躍した女性画家ですが、同年代に同じパリで活躍したファッションデザイナーのココ・シャネルと同様にふたつの世界大戦に挟まれたパリの自由な時代を生きる女性たちの代表ともいえる存在でした。

展示風景 ※特別に許可を得て撮影しています。

本展覧会ではマリー・ローランサンの回顧展だけではなく美術とファッションの境界を交差するように生きた二人の活躍を軸に、時代を彩った人々との関係にも触れながらオランジュリー美術館やマリー・ローランサン美術館など国内外のコレクションから、約90点の作品が展示されています。

展示風景

シャネルの肖像画

当時パリの社交界ではローランサンへ肖像画を依頼する事が流行の一つでした。ココ・シャネルも肖像画を依頼しましたが出来上がりに満足せず、ローランサンも譲歩しなかったため本作を受け取ることはありませんでした。

マリー・ローランサン 《マドモアゼル・シャネルの肖像》 1923年 油彩/キャンヴァス オランジュリー美術館

展示風景

シャネルの軌跡と1910-1930年代のファッションを紐解く

シャネルのキャリアは帽子店を開業し、帽子デザイナーとしてスタートしました。当時のヨーロッパの社交界では女性は帽子をつけるのが通例で、羽などの仰々しい飾りが普通でした。シャネルのシンプルで装飾を抑えたデザインは高く評価され、やがて服飾にもデザインの幅を広げていきました。

ガブリエル・シャネル 《帽子》 1910年代 神戸ファッション美術館

1930年になるとシンプルなファッションよりも女性らしさが求められ、スカート丈は長く、女性的な曲線が好まれ、花柄などのモチーフも多く見られるようになりました。

マドレーヌ・ヴィオネ 《イブニング・ドレス》 1938年 島根県立石見美術館

当時デザインされたシャネルのドレスの展示もあります。時代を感じさせない洗練されたデザインですね。

左：ガブリエル・シャネル 《デイ・ドレス》 1927年頃 神戸ファッション美術館

展示風景

マリー・ローランサンの透明感のある色彩は1983年から30年以上にわたりシャネルのデザイナーを務めたカール・ラガーフェルド（1933-2019）のデザインにインスピレーションを与えたそうです。

マリー・ローランサン 《ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン》 1922年 油彩/キャンヴァス マリー・ローランサン美術館 © Musée Marie Laurencin

2つの「越境」

マリー・ローランサンとココ・シャネルの二人はともに1883年生まれです。1920年代のパリで二人が活躍していた当時、スペインからピカソ、アメリカからはマン・レイなど、世界中から多くの若者が「国境」を超えパリに集まり、その才能を開花させていました。美術、音楽、文学、そしてファッションなど、別々の発展を遂げてきた表現が、新たな総合的芸術を生み出すために、垣根を越えて手を取り合いました。その代表的なもののひとつがセルゲイ・ディアギレフ率いるロシア・バレエ「バレエ・リュス」です。フランスを中心に活躍したこのバレエ団は、「越境」の持つふたつの意味を体現する、まさに1920年代パリを象徴する存在でした。マリー・ローランサンとシャネルも、その活動に参加することで表現の幅を広げていきました。

会場ではマリー・ローランサンの優美な絵画の作品だけではなくココ・シャネルデザインのドレスなども展示されていますので美術とファッションの優美な世界観が感じられる展覧会です。