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カルチャーの社会問題を考える『inch magazine』。文化の裏に潜む、小さな声を拾う

  • 2023.3.9
雑誌『inch magazine』編集者の菅原祐樹と前田和彦

文化の裏に潜む、小さな声を拾う

「様々なカルチャーの社会問題を考える、ということをやりたかったんです。例えばラップにしても、彼らが何を表現しているのか、背景を知ったうえで聴くとより楽しめると思って」。

編集を手がける菅原祐樹さんは、70年代の『宝島』が担ったようなアメリカ文化に肉薄する役割を『inch magazine』で引き受けようとしている。青春を過ごした90年代のインディー誌の影響も大きい。「9.11の後、『米国音楽』がNY特集を組んで堂々と戦争に反対したんです。

編集者の川崎大助さんにその頃の話を聞くと“どの雑誌も対岸の火事みたいな感じだったけど、僕は向こうに友達がいたから”。これこそインディペンデントの良さだなあと」。9.11から21年が過ぎた今、自らの手でNY特集を敢行。

同じく編集者の前田和彦さんはこう話す。「イラクからの帰還兵の話、漫画家・近藤聡乃さんの移民としての物語など、文芸でもジャーナリズムでもないところから小さな声にフォーカスしたい」

『inch magazine』

雑誌『inch magazine』表紙
2021年4月創刊。issue 01ではラッパーの仙人掌による短編小説、翻訳家の押野素子によるエッセイなどを掲載。アートディレクションは坂脇慶が担当。次号NY特集号は2022年内刊行予定。ペーパーバックで携帯に便利。1,320円。
雑誌『inch magazine』中面
ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤーの著書に触発された特集「フライデー・ブラック」では、関わりのある若者たちが実体験を。

profile

菅原祐樹、前田和彦(『inch magazine』編集)

すがわら・ゆうき/ウェブメディア「VICE japan」の記者などでも活動。
まえだ・かずひこ/本の雑誌社に勤務する傍ら、編集に携わる。

Instagram:@inch.mag

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