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3/8は国際女性デー、健康的な心でいるためにできることは【心の専門家・臨床心理士が解説】

  • 2023.3.8
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国際女性デーとは?

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近年、この時期になると聞かれるようになったワード【国際女性デー】。しかし、「一体何の日?」と思っている方も多いのではないでしょうか。国際女性デーの起源は、1904年のアメリカ・ニューヨーク。この頃のニューヨークでは、女性労働者に参政権がありませんでした。参政権のない女性労働者たちが、自分たちの労働条件の改善を要求してデモを起こしたことがきっかけとなり、その後1975年に国連がジェンダーの平等と女性のエンパワーメントをする日として、毎年3月8日を国際女性デーと定めました。最近では、日本でも様々なイベントが行われています。

女性を取り巻くメンタルヘルスの問題

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女性のメンタルヘルスを考える上で、ジェンダーは切っても切れない関係にあり、筆者自身もカウンセリングやヨガクラス、プライベートなど様々な場面でそのことを感じる機会は少なくありません。

ジェンダーが原因で起きる問題の例として、ハラスメントやDV(ドメスティック・バイオレンス)といった関係性の暴力が挙げられます。ハラスメントやDVの問題は日本でも深刻であり、それによって心に傷を抱える女性が多いのも事実。また、ジェンダー・バイアス(女性は〇〇であるべきなど)によって、自分の希望する生き方をすることが難しく、それによって自分の生き方に迷うといった声も聞きます。そして、女性のメンタルヘルスの問題はジェンダー以外にも様々なことが。例えば、月経時にまつわる精神的症状(PMSやPMDD)、うつ症状(マタニティーブルー、産後うつ、更年期うつなど)などです。これらは急激なホルモンバランスの変化や、結婚・妊娠出産・更年期などのライフイベントの変化の影響によるもので、女性だからこそ起きると言える問題。女性は男性に比べて心も体も揺らぐ機会が多いという背景があるからこそ、心の健康とうまく付き合っていくことが大切だと言えるでしょう。

自分の心とうまく付き合っていくためのヒント

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心の健康を維持していくために大切な要素が【レジリエンス】と【バウンダリー】。レジリエンスとは、『回復力』と訳されたりしますが、ストレスな出来事に陥ったりしたとしても、うまく適応していく力のことです。残念ながら、ストレスがまったくなくなるということはありません。だからこそ、ストレスを感じる出来事に遭遇しても『なんとか乗り切っていく』という視点を持つことが必要なのです。バウンダリーとは、自分と他者とを区別する心の境界線のこと。この境界線がしっかりしていると、健康的な人間関係を築くことができます。

しかし、女性は古くからのジェンダー観(「男性に従うべき」、「子育ては女性の仕事」など)によって、NOが言えない、自分がどう思うかよりも周囲からの評価を気にしなければいけないといった環境に置かれやすいので、無意識に境界線が薄くなりがち。境界線が薄いと、相手の問題が自分の問題にすり変わってしまったり、その逆のことも起きやすくなります。健やかな心でいるために、しっかりした境界線を持っておきたいもの。次の項目では、レジリエンスやバウンダリーを育むのに役立つ知識をお伝えします。

女性のメンタルヘルスに役立つ、6つのこと

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(1)アサーションを意識したコミュニケーション

アサーションとは、【自分も相手も大切にする】コミュニケーションのこと。一方的に自己主張する、あるいは自分の意見を隠すのではなく、相手の意見を尊重しながら、伝えたいことをしっかりと伝える姿勢が大切です。アサーションが習慣化すると、ストレスを感じる機会が減る、あるいは人間関係をスムーズにしてくれるといったメリットが。

(2)思考のパターンを変えてみる

「~すべき」「~に決まっている」といった思考は、多くのストレスを生み出します。もし、いろんなことにストレスを感じているならば、自分の中が『べき思考』で支配されていないか振り返ってみると良いでしょう。

(3)必要なサポートを得たり、安心できるつながりを持つ

頑張って自分の力で乗り越えようとしても、なかなか難しいこともあります。そんな時に何かあったときはサポートが得られる、自分の気持ちに共感してくれるなど、自分にとって安心できるつながりを持っておくのはとても大切なこと。家族や友人、あるいは趣味のつながりなど、自分が安心できるつながりを探してみて。また、近しい関係の人のサポートではうまくいかなそうな時には、専門家や専門機関の力を借りることもひとつ。近しい人とは違う第三者の視点で、困り事について一緒に考えてくれるので、勇気を出して相談してみて。

(4)自分を労ること

ストレスとうまく付き合うには、ネガティブな感情に支配されないことがキーとなりますが、それに役立つのが心理学で注目されている【セルフ・コンパッション】です。セルフ・コンパッションとは、自分に優しくし、労りや慈しみの気持ちを向けること。ネガティブな出来事や気持ちはどうしても否定しがちですが、セルフ・コンパッションでは、「辛かったね」「大変だったよね」と優しい声かけをし、その時の感情を受け止めます。そうすることで、感情に支配されずに過ごすことができるように。

(5)呼吸を意識して生活すること

現代女性は仕事にプライベートに、日々を忙しく過ごしている人が多いと思います。多忙な日々の中で、気づけば呼吸が浅くなっているということはありませんか? 呼吸が浅い状態が続くと、体の緊張を強め、不安や恐怖、緊張などのネガティブな思考を活性化させがち。逆に深い呼吸ができていると、副交感神経を優位にさせるので心も体も落ち着いて過ごすことができるので、普段から呼吸することを意識してみて。

(6)自分の内側の声を聞く習慣を

『自分にとって必要なことは何か』『自分にとって心地よいことは何か』など、自分の心の声に耳を傾け、それを受け止める習慣を身につけていきましょう。ストレスが高まっている時、人との境界線が薄くなっている時は、自分にとって必要なことよりも相手のニーズの方を優先しがちに。普段から自分の内側の声を聞くようにしてみて。

女性こそメンタルヘルスのケアを

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ライフイベントやホルモンバランス、ジェンダーなど、女性を取り巻く問題は様々であり、一生をかけて付き合っていかないといけないもの。こうした問題は社会の構造を変えていくことも不可欠ですが、残念ながらすぐには変わらないという側面も。そういった中で私たちができることは、セルフケアなど自分で行える範囲のことを実践していくことなのだと思います。そういった取り組みをしていくと、自分だけでなく周りの人たちにも良い影響を与えることも。国際女性デーを機に、自分の心や身体の健康について一度立ち止まって考える機会になってくれると良いと思っています。

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