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和田明日香さんレタスとキャベツは同じと… 『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』を出版

  • 2023.3.7
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手軽でおいしいと評判を呼び、発行部数は25万部となったレシピ本『10年かかって地味ごはん。』の続編となる『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』(主婦の友社)を上梓した料理家で食育インストラクターの和田明日香さん。かつては「興味もなかった」という料理との出会いや、新刊で伝えたいことなどを聞きました。

──現在は料理家として活躍されています。22歳で結婚を決めるまで料理はほとんどしていなかったとか?

和田明日香さん(以下、和田): そうなんです。実家にいて親が出してくれるごはんを食べていれば生活できたので、料理をしようとは思っていなかったですね。正直、興味もなかったです。

当時は、レタスとキャベツは同じもので、産地によって呼び名が変わると思っていましたし、しじみ・あさり・はまぐりは、同じ貝で獲れたときのサイズによって名前が変わるものだと認識していました、出世貝だと……。電子レンジでゆで卵を作ろうと思って爆発させたこともあります。こうしたエピソードは無限にありますね(笑)。

──料理に取り組むようになったきっかけを教えてください。

和田: 結婚したら夫の母が、料理愛好家の平野レミさん。家にレミさんの本がズラズラと並んでいて、「すごい人だったんだ!」と知り、この状況でまったく料理をしないのはどうなんだと――。当時、妊娠していたこともあり、安心できるものを納得のいく調理方法で食べて、お腹のなかにいる子を育てたい、とも思いました。これらが料理を始めたきっかけです。

朝日新聞telling,(テリング)

「始めてみたら、料理は面白い」と思った

──楽しさに目覚めたのはいつですか。

和田: 始めてみたら、おもしろいなと思いました。包丁で同じ形に野菜を切り揃えたり、調味料の組み合わせによって味の違いを出したりも楽しかった。お湯に鰹節を入れて出汁ができるなんてことは、想像してもなかったので、「これがお蕎麦屋さんのあの味になるんだ!」みたいな感動もありました。あらゆることが発見でしたね。

──2021年に出されたレシピ本『10年かかって地味ごはん。』は発行部数25万部を超えたそうですね。支持されている理由を、ご自身はどう考えていますか。

和田: これだ!というものはわからないんですよ(笑)。発売のタイミングがよかったとは思うのですが、自分の履歴書のつもりで出した本なので。ただ、この本をきっかけに私のことを知ってくれる方がいたことは、とてもうれしかったです。

──3月3日に2冊目のレシピ本『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』を出版されました。この本を通して伝えたいことは?

和田: 2冊目なので何かバージョンアップさせたり、新しい企画を入れたりした方がいいのかなと思ったんですが、今回はしていません。1冊目を出してから2年が経ちますけど、この間に私が作ってきた料理は何も変わっていない。家のごはんって代わり映えしない。作り続けていく同じ料理の中にこそ、家族の歴史が詰まっている。そう思ったので、1冊目と同じように出すことにしました。

『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』より

「じゃがいもの芽を取る」って?

──新刊はどんな方に手に取ってもらいたいですか。

和田: 料理を始めた頃の私は「じゃがいもの芽を取る」とレシピ本に書いてあっても、どこが芽なのか、どのようにして取ればいいかさえ分からず、ネットで検索していました。その度に、レシピ本から突き放されているような気持ちになって……。

だから私の本では、昔の自分がつまずいたポイントを丁寧に説明するようにしています。今までレシピ本に見放されるような思いをしてきた方たちに、手に取ってもらいたいですね。

──日々、主菜と副菜など何と何を組み合わせればいいかという「献立」の悩みもあるかと思います。楽しく考える秘訣はあるのでしょうか。

和田: 一汁三菜や野菜と肉のバランス、メインが和食ならおかずも和のものを……などと、みんな真面目に考えすぎているのかな。それも大切ですが、「こうしなきゃ」という気持ちより、自分が食べたいものを作って並べたほうがいいと思うんですよね。

家のごはんは誰も見ていない。だから、グラタンと味噌汁が並んだっていいし、作るのが面倒なときは買ってきてもいい。汁物だけでも自分で作ると食卓に我が家の味が入る、という感覚が私の中にはありますが、それもできるときだけでいい。理想という名の幻想は全部、捨てちゃいましょう。

朝日新聞telling,(テリング)

無理な日は手を抜く!

──「昔は料理が楽しかったけれど、子どもが生まれてからは仕事みたいになっている」「家族が喜んでいるかどうかが気になる」といった声もあります。

和田: 家族が喜ぶかどうかを考えるのは一旦、やめるといいと思います(笑)。手間暇かけて凝ったものを出すけど、疲れている“お母さん”と、インスタント食品が多いけれど、楽しく過ごしている“お母さん”なら、後者の方が子どもにとっては、うれしいはず。私も無理な日は、手を抜いていますよ。

──3人のお子さんがいらっしゃいますが、子育てと仕事をどう両立されていますか。

和田: そもそも「両立」とは思わないようにしています。子育てと仕事は、私にとって自転車の両輪。前輪だけ回っても後輪だけ動いても前に進まないんですよね。

家のことばかりしていると、「誰も喜ばないのに、自分ばかり頑張っているのでは?」とモヤモヤしちゃう。一方、仕事ばっかりしていると、子どものケアができなかったり、成長に立ち会えなかったりして自分を責めちゃう。だから、自分のために両方を欲張ってやることで、気持ちを満たしているんだと思います。

■長谷川佳織のプロフィール
編集・ライター。ヘルスケア、ライフスタイル、キャリア系媒体などを経て、ウェブ編集者歴は10数年。現在は、ビューティや女性の健康にまつわるテーマを中心に取材・執筆。「心も体もすこやかに」をモットーに、日々アンテナを張っています。

■家老芳美のプロフィール
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。

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