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アカデミー賞授賞式迫る! ミシェル・ヨー、アジア系として史上初の主演女優賞受賞なるか

  • 2023.3.5
アカデミー賞授賞式迫る! ミシェル・ヨー、アジア系として史上初の主演女優賞受賞なるか
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 (C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

オスカー前哨戦では『エブエブ』圧勝

12日(現地時間)に発表を控える第95回アカデミー賞の最終投票が2日(現地時間)から始まった。

オスカー前哨戦は先週、作品賞と各俳優賞の行方に大きな影響を与える映画製作者組合(PGA)賞と俳優組合(SAG)賞が発表され、どちらも日本で3日から公開中の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下『エブエブ』)の圧勝という結果だ。

特にSAG賞では作品賞に当たるアンサンブル演技賞、ミシェル・ヨーの主演女優賞、キー・ホイ・クァンの助演男優賞に加えて、助演女優賞もジェイミー・リー・カーティスが受賞した。助演女優賞は同作のステファニー・スーも候補だったことから票が割れる可能性があり、それよりも『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のアンジェラ・バセットの受賞が確実視されていただけに、最終盤で『エブエブ』勢の加速がアカデミー賞の投票にどう影響するかが注目されている。

『エブエブ』のSAG賞4冠は同賞において史上最多の記録となった。アカデミー賞の投票権を持つ映画芸術科学アカデミー(AMPAS)俳優部門のある会員はアメリカの業界誌「Variety」誌上でこの結果について「あれは単なる勝利ではなく、ひとつのステートメントでした」とコメント。俳優仲間たちや多くの映画スタジオから「この映画が気に入られていないと聞き続けています」としながら、「私はそんな人たちに会ったことがありません。彼らはどこにいるのでしょうか? 彼らは明らかに投票者ではありません」と語る。

『エブエブ』はアジア系移民を主人公に、決して潤沢ではない予算の中でSF、アクション、コメディ、人間ドラマとあらゆるジャンルを1作に盛り込み、ヴィジュアルも趣向を凝らした意欲作。ダニエルズという監督ユニットが持つインディペンデント映画の心意気にハリウッドの未来を託そうと票を投じる会員は多そうだ。

今年のアカデミー賞は俳優部門にアジア系が4人ノミネートされたが、これも史上最多となる。主演女優賞にミシェル・ヨー、助演男優賞にキー・ホイ・クァン、助演女優賞にステイシー・スー、と『エブエブ』から3人、そしてブレンダン・フレイザーの感動的な復帰が話題の『ザ・ホエール』のホン・チャウも助演女優賞候補だ。

アジア系というアイデンティティが主眼でもある『エブエブ』組に対して、ホン・チャウが演じた主人公に寄り添う友人で看護師のリズはアジア系であることを前面に出してはいない。人種に関わらず重要な役を演じ、ノミネーションを獲得した彼女の存在にも注目したい。

主演男優賞は、前哨戦で熾烈な戦いを続けるブレンダン・フレイザーと『エルヴィス』のオースティン・バトラーのどちらかになりそうだが、こちらもオスカー会員が数多く所属するSAG賞を受賞したフレイザーがやや優勢となったようだ。

主演女優賞は、『TAR/ター』のケイト・ブランシェットの名演は絶賛されているが、ミシェル・ヨーのアジア系として史上初受賞の実現を望む会員は少なくないだろう。また、前哨戦で圧勝の助演男優賞候補のキー・ホイ・クァンをはじめ、ヨー、フレイザーらの受賞スピーチは、彼らが長年の苦労を経験して得たポジティブなメッセージが毎回大きな感動を呼んでいる。賞シーズンの締めくくりに、彼らのとびきりのスピーチを期待する票が集まりそうだ。

第95回アカデミー賞授賞式は日本時間の13日午前中からロサンゼルスのドルビー・シアターで開催される。

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