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「循環する経済の仕組み」お金の教科書Vol.15 #リアルボイス

  • 2023.3.4
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毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「循環する経済の仕組み」です。

循環する経済の仕組み

宮﨑順子さん 暮らしに身近なお金に関する知識やノウハウを、中立・公正な立場から提供する金融広報中央委員会で企画を担当。情報サイト「知るぽると」や、無料eラーニング講座「マネビタ」で発信中。

地道奈子(じみち・なこ/28歳・派遣社員) 既婚・子なしのDINKS。つみたてNISAは2年前にスタート。貯まったポイントを使った投資など、自分ができる範囲で楽しむのが得意。

お金は「経済の血液」。循環することが大切。

奈子:昨年末から、私たちの生活に大きな影響があるニュースが多くないですか? 物価高が続く一方で、給料は上がらない。はたまた、「そろそろ家を買おうか…」と、夫と話していたら住宅ローン金利の引き上げの噂を耳にしたり。あふれる情報のせいか、少し混乱しています。

宮﨑:無理もありません。「物価」「賃金」「金利」は、私たちの生活に大きな影響を与える3つの要素ですからね。

奈子:まさに!

宮﨑:お金は「経済の血液」ともいわれ、世の中を循環することで経済活動を支えています。

奈子:でも今、そのバランスが崩れている?

宮﨑:「物価」「賃金」「金利」は、需要と供給のバランスにより変動することは、ご存じですよね。

奈子:例えば「物価」なら、買いたい人が売りたい人よりも増えれば上がる、ってことですよね。

宮﨑:その通りです。

奈子:「賃金」も、求人が働きたい人よりも増えれば上がるというのも、肌感覚で知っています。

宮﨑:「金利」もお金を借りたい人が多ければ上がるわけです。もちろん、需要と供給だけでなく、海外情勢や為替、金融政策など、他の影響もあります。経済全体でみると3つは相互に連関していて、好景気と不景気はこの3つを観察することでわかります。

奈子:日本はずっと不景気な気がしますが…。しかも、長い間デフレでした。私の給料も、この5年間は、ほぼ横ばい(涙)。

宮﨑:ただ、それに対しては、日本銀行は金融緩和政策を行い、現在は物価が下がり続けるデフレを脱した状況ではあります。

長く続いたデフレから急激なインフレへ。

奈子:すみません、そもそもなんですが、インフレかデフレかは、何で判断するんですか?

宮﨑:物やサービスの値段の変動、例えば「消費者物価指数」で判断できます。日本銀行は、消費者物価が前年比で安定的に2%上昇することを目指し、大規模な金融緩和政策を継続してきました。

奈子:それで給料が上がれば、いいインフレですよね。某大手アパレルの給料が大幅に上がったニュースには、今後に期待がもてそうな気がしました。でも、物価の上昇がこのまま続いても、給料が変わらなかったら…。そう考えると怖いです。

宮﨑:人口減少や高齢化など、構造的な要因に加え、コロナや海外情勢など、予測不可能な出来事もあるので、先のことはわかりません。ただ、現実の経済や市場を理解することは、将来に備えるための出発点になります。「物価」「賃金」「金利」の仕組みは、頭に入れておくといいですよ。

「物価」「賃金」「金利」の仕組みを把握しよう!

【物価】商品やサービスの値段
商品やサービスを買いたい人(需要)と売りたい人(供給)とのバランスで決まる。物価は2022年12月まで16か月連続で前年同月より上昇中(※総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年12月分」参照)。

【賃金】提供する労働の値段
労働力を雇いたい人(需要)と提供したい=働きたい人(供給)とのバランスで決まる。給与所得者5245万人の平均給与は433万円。正規496万円、非正規176万円(※国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」参照)。

【金利】貸し借りするお金の値段(使用料)
お金を借りたい人(需要)と貸したい人(供給)とのバランスで決まる。通常の銀行より運営コストが抑えられることから、金利が低めに設定されているネット銀行でローンを組むユーザーも、増加傾向に。

私たちの生活の行方を見定めるには、3つの要素の動きを正しく理解すること!
「物価」「賃金」「金利」は常に一定ではなく、変化していくもの。将来のことはわからなくても、日々のニュースに耳を傾け、アンテナを張っておくことが大事です。

次回は、2340号(2023年3月15日発売)掲載予定です!

※『anan』2023年3月8日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・一寸木芳枝

(by anan編集部)

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