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「朝起きたら誰もいない」異常な家庭だとしても、母が好きだった

  • 2023.3.3

著者の魚田コットンさんの幼少期のエピソードを描いた『家族、辞めてもいいですか?』は、バラバラな家族の中でコットンさんがどんな日々を過ごし何を思っていたのかがていねいに描かれた作品です。今なら虐待やネグレクトと言われるようなことも、幼少期のコットンさんにとっては当たり前。そして母のことが好きでした。壮絶な日々を送ったコットンさんのリアルが描かれている『家族、辞めてもいいですか?』どうぞごらんください。

母は何もかも完璧で、崇拝していた

コットンさんにとって母は絶対的な存在。なんでも知っていて、きれいで仕事もバリバリこなす母。母はいつでも正しいとコットンさんは感じていました。あまりの憧れは、大好きというよりも、崇拝に近いような感情だったと振り返っているほどです。

母が好きなのはコットンさんにとってポジティブだったはずですが「絶対的な存在」という言葉には少しだけ怖さも感じます。

母が望む「私」にならなきゃ…

ある時、母と姉と3人で買い物へ出かけたコットンさん。そこである服に一目惚れします。緊張しながら母に見せると鼻で笑われ、自分を否定されたような気持ちに。完璧な母に否定的な言葉を言われ続けて育ったコットンさん。母が作った「センスがなく、容量が悪い、優柔不断な私」という型に、自らはまろうとしていました。

完璧な母の言葉は、時にコットンさんを呪いの言葉のように苦しめたのかもしれません。母が言うのだから…と何度も気持ちを飲み込んだり、抑えたりしていたのではないでしょうか。親であっても、子どもを傷つけていいわけではないのに、母には「コットンさんを傷つけている」という認識がなかったのでしょうか…。

朝起きると誰もいない、が日常だった

幼少期のコットンさんにとっての困りごとは、朝起きると家に誰もいない日があったこと。家庭によって考え方はそれぞれでしょうが、この時のコットンさんはまだ未就学児。1人でお留守番をさせるのは無理がある年齢に思えます。しかも、朝起きて誰もいないという状況は大人でも恐怖や不安を感じるものではないでしょうか。

トイレを我慢し、ひたすらテレビを見て過ごしていたコットンさん。母は、コットンさんの思いを知っていたのでしょうか。知っていれば、頻繁に1人にするような行動はできないのではと思ってしまいます。コットンさんは、1人でいるのがとても心細かったのでしょう。ある日、近所の友だちの家に駆け込みます。頼れる相手がいたのは良いことですが、友だちの母も驚きますよね。

身体的な虐待があるわけでなくても、精神的にじわじわと子どもにつらい思いを強いているように見える、コットンさんの親。読者として幼少期のコットンさんが心配になりつつ「家庭」という外から見えにくい場所でありえる、さまざまな虐待やネグレクトについて考えさせられる作品です。

『家族、辞めてもいいですか?』電子書籍も発売中

家族、辞めてもいいですか?
家族、辞めてもいいですか?

家族、辞めてもいいですか?

¥1,100〜(楽天市場)

著者:魚田コットン
出版:KADOKAWA

家族に翻弄された幼少時代から、自分の価値を見つけるまでの物語。

両親の離婚、子どもだけの生活、継父からの性的虐待、DV… 「あれ? ウチの家族って、もしかして普通じゃなかった?」 そう気づいたのは、大人になってからでした。
機能不全家族のリアルを描く、大反響のコミックエッセイ

著者:魚田コットン
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著者:こびと

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