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トイレットペーパー式の生理ナプキン「Egal」に注目、イノベーション賞も受賞

  • 2023.3.3
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「トイレットペーパーを持ち歩く人はいないのだから、生理用品を持ち歩く必要もない」。欧米の大学で導入が進んでいるロール式の生理ナプキンEgal(イーガル)とは。(フロントロウ編集部)

ロール型の生理用品「Egal(イーガル)」とは

月経を経験する人の、62%が生理用品がなくて店舗などで予定外の購入をしたことがある。79%が公衆トイレで生理用品が手に入らずトイレットペーパーや不衛生な代用品を使ったことがある。92%が公衆トイレに置かれた生理用品の販売機が空だったり、故障・詰まっていた経験がある。

フロントロウ編集部が注目するイノベーション「Egal(イーガル) 」は、そんな“必要なときに生理用品がない”という問題を解決するために生まれた商品。

「トイレットペーパーを持ち歩く人はいないのだから、生理用品を持ち歩く必要もない」という思いから誕生したEgalは、ロールタイプの生理ナプキン。1ロール40枚入りで、各個室内に設置するのだが、既存のトイレットペーパーのディスペンサーに入れることも出来れば、Egalのカスタムデザインのディスペンサーに入れることもできるという。

画像1: ロール型の生理用品「Egal(イーガル)」とは

トイレットペーパーと同じ仕組みなので、生理用品の販売機によくある詰まりや故障を回避できるうえ、各個室内に設置するため、トイレの便座に座っている状態で突然の月経に気づいたときでも、わざわざ一度外に出る必要はない。

画像2: ロール型の生理用品「Egal(イーガル)」とは

「EgalはEqual(平等)を意味します。トイレに生理用品を置くことは、男女の平等を意味すると私たちは考えています。結局のところ、生理は身体機能のひとつなのです。公衆トイレにはトイレットペーパー、タオル、石鹸、ティッシュがあります。なぜナプキンがないのでしょうか?」と、Egalの創業者で最高技術責任者のトム・デヴリンは語る。さらにEgalのCEOであるペネロペ・フィニーは、「生理が来て、必要な商品がないときの屈辱感やフラストレーションはよくわかります。非常にストレス値の高いことで、一日を台無しにしてしまうこともあります。私たちがEgalパッドで目指すことは、ユーザーが生産的で成功的な前進ができるように、自信を持って生理を管理できるよう必要な場所に存在することです」とした。

Egalの製品は2022年には、不織布の用途を拡大するようなイノベーションを表彰するHygienix Innovation Awardを受賞した。

アメリカの大学で導入続く、「生理の貧困」解決に各国が対応中

現在はパイロット・プログラムとして、ニューハンプシャー大学、バーモント大学、ウィリアムズ・カレッジで導入されているEgal。その他にも、マサチューセッツ州やロードアイランド州の一部の学校、さらにはイギリスの私立学校とルワンダの2校でも設置されているという。

画像: アメリカの大学で導入続く、「生理の貧困」解決に各国が対応中

そして世界では、公衆トイレでの生理用品無料提供を義務化する動きが進んでいる。

アメリカでは、20以上の州とコロンビア特別区が公立学校での生理用品の無料配布を義務化したか、資金を用意した。ミシガン州アナーバー市は、すべての公共施設での生理用品の無料配布を義務付けた最初の都市に。またカリフォルニア州では、職場や州の建物での生理用品無料配布を義務付ける法案が提出されている。

そして2022年にはスコットランドで、生理用品を必要とする人全員が無料で生理用品を使えるようにする法案が賛成112票と反対0票(棄権1票)で通過。国レベルでの取り組みとしては世界初となった。他にも、オーストラリア、イギリス、フランス、ニュージーランド、韓国のソウル市などで、同様の生理用品に関する法律の制定が見られている。

日本では2021年の内閣府の調査によると、希望者に無償で生理用ナプキンを配布している自治体の割合が79%の広島県をはじめ、全国500以上の自治体で生理の貧困に関する対応があるという。また、東京都、千葉県、大阪市などでは、公立学校トイレでの生理用品の無償提供が始まっているほか、2021年には政府が発表した「骨太の方針」に「生理の貧困」が初めて明記された。

厚生労働省が2022年に全国の18~49歳の女性3000人を対象に行なった調査では、1割弱の女性が“入手に苦労した経験が「よくある」「ときどき」”と回答。この数字は低所得世帯では、100万円未満で16.8%、100-300万円で11.6%、収入なしで13.2%と上昇する。

生理用品の入手は生理経験者が背負わされている大きな問題。今回のEgalが目指すように、トイレットペーパーのようにどんな時でも必要なときにそこにある、という社会づくりに期待したい。(フロントロウ編集部)

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