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ヨシタケシンスケが描く「ぼくのためだけの地図」。行きつくところは...?

  • 2023.3.3
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ヨシタケシンスケさんの絵本デビュー作『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)は、学校から帰ってきた男の子がテーブルの上に置かれたりんごを見て、「実はりんごじゃないのかも?」「きょうだいがいるのかも?」「なにかの合図かも?」......と想像を広げていくお話だ。子どもから大人まで、考えることで世界の見方を変えられる絵本=「発想えほん」としてシリーズ化され、『このあと どうしちゃおう』などこれまでに4作が発売されている。

そしてこのたび、シリーズ最新刊『ぼくはいったい どこにいるんだ』が3月9日に発売される。

主人公のゆうくんは、お母さんの描いた地図を頼りにおつかいにでかける。でも、「このちず、サッパリわかんないな......」。立ち止まって考え込んでいると、通りかかったみーちゃんのママが地図を見て、「ああ、ナルホドね」となにやら書き込んでくれて......。

ちずがあれば、いま じぶんが
どこにいるかがわかる。

たからものが かくれているはず

今回、ヨシタケさんがテーマに選んだのは「地図」だ。自分が今いる場所を把握できたり、目的地までの道順を示してくれたり、情報を絵にして分かりやすくしたものが「地図」だとしたら、何かの仕組みや考え方の地図もあるかもしれない......とゆうくんは想像をふくらませていく。

部屋の間取りも、フロアマップも、世界地図も、太陽系を描いた絵も、みんな地図だ。それなら、自分のためだけの地図を、自分で作ってもいいんじゃないか。たとえば、「ぼくだけのヒミツのばしょのちず」や「きもちのちず」なんていうのもあるかもしれない。

そして、こんな地図も......。

ゆうくんの「ぼくのみらいのちず」は進むたびに分岐があるが、どのコースをたどっても「ぼくは ぼくらしく」なっていき、最終的には同じ「おとなのぼく」にたどり着く。そして、「どのコースにも、それぞれ たからものが かくれているはずだ」とゆうくんは考える。

子どもが読めば、未来にどんな「たからもの」が隠されているかワクワクするだろう。そして、「あの時、あっちの道を選んでいたら......」と後悔している大人が読めば、自分の選択に自信と勇気をもらえるはずだ。

ヨシタケさんは本作について、「地図っていろんなものがあるよね、いろんなものを絵にすることで分かることがあるよねっていうお話です」と紹介している。地図を作って自分を俯瞰して見ることで、自分の現在地を確認し、いちばん大切なものは何か、この先どうしたいのかに気づかされる。

ヨシタケさんらしいユーモアあふれるイラストの中に、「そのままでいいんだよ」という優しいメッセージが込められている。ぜひ、親子で一緒に楽しんでほしい。

■ヨシタケシンスケさんプロフィール
1973年、神奈川県生まれ。
独自の切り口と発想で次々と生み出す絵本は、読者を魅了しつづけている。これまで、MOE絵本屋さん大賞1位を7度受賞したほか、『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で第61回産経児童出版文化賞美術賞、『つまんない つまんない』(白泉社)の英語版『The Boring Book』で2019年ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞。世界で高い評価を得ている。また、「王様のブランチ」や「あさイチ」「情熱大陸」「世界で一番受けたい授業」など、テレビをはじめ多数のメディアにもとりあげられている。二児の父。

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