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「あなたたちはそのままで完璧」オーロラが日本語で何度も伝えてくれた愛【ライブレポ】

  • 2023.3.1
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オーロラが単独としては約3年ぶりとなる来日公演を2月17日に東京の豊洲PITで開催。日本語で何度も愛を伝えてくれた公演の模様をレポート。(フロントロウ編集部)

オーロラが語った「あなたたちは綺麗です」というメッセージ

「日本では、みなさん感情を自分の内側に隠してしまいますよね。自由を感じるためには、ちょっとばっかりのお酒が必要なことも。ここでは、自分らしくあって大丈夫です。私はいつだってみなさんを愛しています」。自分のライブ空間を自身が統治する“クイーンダム=女王の国”になぞらえ、そこでは誰もが歓迎されることを公約にしているオーロラは、2月17日に東京・豊洲PITで開催した単独来日公演の序盤に、チケット即完で約3,000人を集めたフロアに向けてそう呼びかけた。

画像: オーロラが語った「あなたたちは綺麗です」というメッセージ

2021年に開催されたスーパーソニックで来日して、コロナ下において海外アーティストとして最も早く日本でパフォーマンスしてくれたアーティストの1人となったオーロラだったが、彼女は2023年のツアーをこの豊洲PITでの日本公演からスタート。彼女がいかに日本という国を大切な場所として捉えてくれているかを実感することとなった。

定刻を10分ほど過ぎた頃にステージに登場して、「Churchyard」からこの日をライブをスタートさせたオーロラ。冒頭に記した言葉の通り、国民が“感情を内側に隠してしまいがち”なことも知る日本通であるオーロラは、1時間強にわたるこの日のライブで、何度も何度も、日本語でファンに向けて優しい愛の言葉を語りかけてくれた。冒頭の言葉は、ドラムを効かせたライブならではのアレンジで2曲目に披露された、「Blood In The Wine」のパフォーマンスの後で届けられたもの。

1曲目から立て続けに見事な歌声を聴かせて、歌声で早くも空間を掌握してみせたオーロラは2曲目を終えると一度観客と向き合って、「ありがとうございます。こんばんは。あなたたちは綺麗です」と日本語で挨拶。ちなみに、「あなたたちは綺麗です」という言葉はオーロラが最も好きな日本語で、以前フロントロウ編集部がインタビューした際に、「私が最初に習った言葉の1つでもあるの。というのも、できるだけ早くファンのみんなに伝えたいって思ったから。みんなすごく綺麗なんだもん」と教えてくれた。

力強いスピーチを披露したオーロラ

アーティストとしてオーロラがすごいのは、MCではチャーミングな笑顔で優しくオーディエンスに温かいメッセージを投げかけながら、曲のイントロが鳴った瞬間に、その佇まいや振り付け、そして唯一無二の透き通った歌声で、楽曲の世界観を体現してしまえるところ。それはまさしく楽曲がオーロラに“憑依”するという言葉でしか表現しようのないもので、「みんなのための曲。愛されていると感じてほしい」という優しいMCの後で披露された「Heathens」も、何度か転調する緩急のある構成を完璧に乗りこなしながら、圧巻の表現力でパフォーマンスしてみせた。

画像1: 力強いスピーチを披露したオーロラ

この日は、溢れんばかりの日本のファンへの愛からか、前半はほとんどの楽曲が終わるたびにMCを挟むという構成になっていて、「この曲もみんなのための曲だよ。たくさん泣いてしまう人のための曲」というメッセージの後で披露したのは「All Is Soft Inside」。この次には、「泣いてもいい」という歌詞を歌った後で日本語で「そうですね?」とオーロラ自らが合いの手を入れた「The River」へと続いたのだが、自分のライブ会場では“感情を自由に表現していい”と語るオーロラの優しさは、楽曲のメッセージにこそ表れている。オーロラが自分の感情を包み隠さずに楽曲で表現し、それをステージの上で体現してくれるからこそ、観客は安心して自分の感情に身を委ねることができる。

涙を肯定してくれる2曲に続いて披露された、フェスティブな「Daydreamer」では、この日初めて手拍子が起きる。オーロラが祝福するのは喜怒哀楽すべての感情であり、聴く者たちの悲しみを肯定しながら、お祭りのような楽しい楽曲で前を向かせてくれるのである。

ライブはここで、“プレゼント受け取りタイム”に突入。改めて「よろしくお願いします」と日本語で挨拶したオーロラは、自分へのプレゼントを手にしたファンたちをフロアに見つけると、「ありがとう〜!」と日本語で感謝を伝えながら、その一つ一つを受け取り、ステージの上で嬉しそうに受け取ったプレゼントをお披露目する場面も。「あなたたちは、そのままで完璧です」と、改めて日本語でメッセージを伝えたオーロラは、ここに集まったファンが「ちょっとばかり人と違っていても、相応しい場所がないと感じていようと、ゲイでも、自閉症でも」関係ないと英語で力強く語った上で、さらにこう続けた。

「みんなに知ってほしいのは、私たちには存在している理由があるということ。私たちは他の人とは違うように生まれているのだから。それこそが私たちが存在している理由。私たち全員が違うということが、この地球で最も美しいこと。それが大切なんだよ」

画像2: 力強いスピーチを披露したオーロラ

「次はどれだけみんなのことを愛しているかについての曲」というMCを経て、ギターとコーラスのみというシンプルな構成で披露した、文字通り“愛のために存在している”というタイトルの「Exist for Love」では、最後の「愛してる」と歌うパートを何度も繰り返してファンへの愛を伝えたオーロラ。続く「A Temporary High」もそのままアコースティックでパフォーマンスをして、最新作『ザ・ゴッズ・ウィー・キャン・タッチ』に収録された音源とは違ったアレンジを聴かせた後で、イントロだけで歓声があがることとなった、コロナ下で再ヒットして話題になった2015年リリースの楽曲「Runaway」のパフォーマンスへと続いた。

最後は日本語でのコール&レスポンスも

しっとりとした楽曲のセクションを終えて、ほとんど間髪を入れずに披露したのは、環境問題へのメッセージを歌った力強い「The Seed」。社会的なメッセージもたびたび発信してきたオーロラのそうした側面が伝わる1曲にして、彼女のディスコグラフィで最もパワフルな1曲でもある。この曲では、パフォーマンスが終わるまでオーロラにライトがフォーカスすることはなく、いかにそのメッセージを大切にしているかが伝わってきた。

画像1: 最後は日本語でのコール&レスポンスも

圧巻の歌声で「The Seed」のフィナーレを飾り、この日一番の大歓声が湧いた後でこちらもパワフルな「Soft Universe」を披露して会場に熱気を溜めたオーロラは、続く「Queendom」で再びフロアを祝祭ムードに。この曲の前にMCこそなかったが、“女王の国”を意味するタイトルのついたこの楽曲はまさにオーロラの代名詞とも言えるもので、ここではカラフルなライティングに照らされながら、途中でファンから受け取ったレインボーフラッグも掲げてみせる。「私のクイーンダムにはあなたの家がある」と歌いながら、集まった全員を改めて歓迎してくれた。

本編を締めくくったのは、茶目っ気たっぷりにオオカミの鳴き真似を披露して、「みんな今日はありがとうございます! 愛しています! おやすみ!!」という日本語のMCの後でパフォーマンスされた「Running With the Wolves」だった。

画像2: 最後は日本語でのコール&レスポンスも

観客からのアンコールを受けてステージに戻ったオーロラは、「私には治療薬は必要ない」と歌う「Cure For Me」をパフォーマンス。すべての人たちの自分らしさを肯定してくれる1曲だが、オーロラはここでも、改めて日本語で「あなたたちはそのままで完璧です!」と観客にメッセージ。「みんな、(日本語で)『私は完璧です』って言って!」「あなたは完璧!」と呼びかけて、オーロラらしいコール&レスポンスで観客の自己肯定感を最大限に高めてくれた。

最後は「ありがとうございます! 私の友だち!」と日本語で語ってファンとの友情を確かめて、「Giving In To The Love」のパフォーマンスで締めくくったオーロラ。自分の感情をありのままに詰め込んだ楽曲を、それを完璧に体現するパフォーマンスで司りながら、聴く人たちを全面的に肯定してくれる彼女の優しさは、この日、何度も繰り返し伝えてくれた「あなたたちはそのままで完璧です!」という日本語のメッセージに集約されていた。

その姿勢はオーロラがずっと一貫して持っていたものだが、単独来日公演としては約3年ぶりというブランクを経て、久しぶりに日本のファンにそのメッセージが直接届けられることとなった。誰もが歓迎してもらえる、オーロラ女王が君臨するクイーンダムをまた訪れられる日が今から待ち遠しくて仕方ない。(フロントロウ編集部)

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