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また会いたいと思われる人間になりたい【女優・吉高由里子さんインタビュー】

  • 2023.2.25

美人百花に吉高さんが登場するのは5年ぶりとなるけれど、今回も変わらない陽のオーラでスタッフ一同ハッピーな気分に。「また会いたいと思われる人間になりたい」と言う吉高さんは、間違いなく「何度でも会いたい女優No.1」です!

人を観察しているとついツッコミたくなっちゃう(笑)

出典: 美人百花.com

――カラッとサバけてとびきり明るい。デビュー当時から取材させてもらっているが、10代から30代と年齢はもちろん立場も状況も激変しているはずなのに、吉高さんほど印象がブレない人も珍しい。この日の撮影もお茶目なポーズでおどけ、いたずらっ子のように笑う姿に「いつ会っても本当に変わらないですね」と言うと、間髪入れず「それって逆にヤバくないですか?」と笑う。そういうとこです、いつも和むのは。

「ずっと変わらないのは、変われないし変わりたくないのかも。私は『あの人みたいになりたい』っていう感覚がなくて。素敵だなって思う人はいっぱいいますけど、じゃあ、その人になりたいかって言うと『いや、大丈夫』って(笑)。それは10代とか20代はじめの若い頃にパブリックイメージがひとり歩きしすぎて、何者でもなくなったような経験をしたせいかもしれない。誰かに何かを言われるってことは、見てくれる人や認知してくれる人が増えたってことでうれしいけど、やっぱりうれしいことだけじゃなくて。そこに尾ひれが付いた勝手な想像が拡散していくのが怖かったし、悲しかったんです。でも、今はいい意味で麻痺してきたというか。世の中には勝手に言われていることを信じる人も信じない人もいて、それぞれが感じる〝吉高由里子〟が何人もいる。そう考えたら、こう見られたいとか無理に好かれようとは思わなくなった。イメージが良かろうが悪かろうが『こんなもんです、私は』ってスタンスの方が生きやすくなったんですよね」

出典: 美人百花.com

――とはいえ、吉高さんの好感度はすこぶる高い。その理由のひとつが愛のあるツッコミ。バラエティー番組でもこういう取材の場でも、周りの緊張を瞬時にほどいてしまうツッコミセンスは抜群だ。

「私はすごく人を観察しているとこがあって、見てるとついついツッコミたくなっちゃう。根が意地悪なのかな?(笑)でも『愛がある』って言ってくださるなら良かった。愛がなかったらただのパワハラになっちゃいますからね。ていうかこれ、女芸人さんじゃなくて女優のインタビューですよね? 女性誌なのにツッコミの話なんかして大丈夫? 私、呼ばれなくなりません?」

――いや、そんなとこが素敵(笑)。吉高さんに憧れる読者も多いのですが、ご自身はこれからどんな女性、どんな人で在りたい?

「軸にあるのは、また会いたいって思われる人間でいたいってこと。なのに『好かれようとは思わない』って言っていて意味わかんないですけど(笑)。例えば長生きはしようと思っても、あえてヘルシーな活動はしたくなくて。人生を好きに謳歌して結果、長生きできたらそれでいい。生きている間は心も体も目いっぱい使ってあげたいんです。だから傷つけたり傷つけられることがあっても『私ってこういうことでヒリヒリするんだ』とか、うれしいも悔しいも悲しいもかき集めてちゃんと感じたい。それが人として生まれた醍醐味、楽しみかなって思うんですよね」

痛みを経験したぶん優しくなれていたらいいな

出典: 美人百花.com

「ラブストーリーは苦手なんです。恥ずかしいんです。好きとか愛しているって言う自分も苦手だし、それが地上波で全国に流されるなんて恥ずかしすぎます(笑)。でもド直球な恋愛ドラマに出る年齢でもなくなってきているから、もっと楽しんでいこうかなと。自分の中のドキドキを探そうって思っています」

――ドラマ「星降る夜に」で吉高さんが演じるのは、音のない世界で生きる歳下の一星(北村匠海)と恋に落ちる産婦人科医・鈴。ふたりはキャンプの夜に初めて出会うのだが、鈴は飲みすぎて吐き、眠りこけてしまう。

「ロマンティックなストーリーが始まるかと思いきや朝、起きたら最悪な事態になっていて。(吐いた後だから)顔にネギとか枝とか貼られたのは初めてだなって思いながらやっていました。でも、久々の連ドラの現場ってことで緊張して全身筋肉痛。私、実はすごく緊張する方で、(制作発表の)舞台とかでも『肩にアンモナイト埋まってます?』ってぐらいカッチカチだったんです。でも、そう見られなくて損しているんですよね(笑)」

出典: 美人百花.com

――しかも、このドラマは恋愛だけでなくお仕事ドラマであり、命を扱う物語でもある。医療用語をはじめ気を使うシーンも多いとか。

「医療現場って左利きでも右利きに直されるらしいんです。私も普段左利きなのでハサミの持ち方とか難しいですし、先ほど出産オペシーンのリハーサルをしてきたんですけど、医療機器を持つのも初めてなので緊張しました。でも、自分もこうして生まれてきたのかなと思うと不思議な感覚。健康で生きていられるのは奇跡的なことだなって、今もちょっとふわふわしています」

――でも吉高さんは19歳のとき、事故でICUに入るほどの命の危機を経験している。

「救急車も4回ぐらい乗っているんですけど、しぶとく生きていますね。痛い思いをしても人って忘れてしまいがちだし、だから女性は次の子供を産めるって言いますけど、私も自分が痛みを経験したぶん優しくなれていたらいいなって思います」

――吉高さんは人懐っこく相手の懐に入るイメージがあるが、実際は「懐に入れてくれる」人。その懐は深く大きく、すっぽり包まれるように温かい。いつ会っても魅力され、好きにならずにいられない最大の理由はそこにある。

Profile

吉高由里子(よしたかゆりこ)

1988年7月22日生まれ。2006年デビュー。『花子とアン』『東京タラレバ娘』『最愛』など数々の話題のドラマや映画に出演。2024年大河ドラマ『光る君へ』の主演も決定している。

Information

ドラマ「星降る夜に」

出典: 美人百花.com

感情を忘れて孤独に生きる産婦人科医・鈴が出会ったのは音のない世界で生きる遺品整理士・一星。「命の始まり」と「命の終わり」をつかさどるふたりが10歳差の恋を育んでいく、大人のピュアラブストーリー。

出演:吉高由里子、北村匠海、ディーン・フジオカ他

テレビ朝日系列にて毎週火曜日よる9時から放送

掲載:美人百花2023年2月号「幸福美女図鑑」

撮影/鮫島亜希子(nomadica) スタイリング/金順華 ヘアメイク/竹下フミ 取材・文/若松正子 再構成/美人百花.com編集部

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