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【平間壮一×甲斐翔真×八木アリサ】ミュージカル『RENT』を語る!

  • 2023.2.26

『RENT』は1996年にオフブロードウェイで初演、同年にブロードウェイに舞台を移してからは12年4ヵ月にわたって上演され、連続上演5140回というロングラン公演記録を残した大人気ミュージカル。シアタークリエでの上演は今回が7回目です。【レントヘッド】と呼ばれる熱狂的なファンを持つこの『RENT』には、今ミュージカル界でも将来を嘱望される人気の役者さんが揃い踏み!

今回は数々の主演舞台作品を持つ平間壮一さん(マーク役)、先日千穐楽を迎えたばかりの『エリザベート』でルドルフを演じた甲斐翔真さん(ロジャー役)、そしてVOCEではモデルとして本誌にも多数登場している八木アリサさん(ミミ役)の3名にお話を伺いました。前編ではそれぞれが『RENT』の再演にかける想いを熱く語っているので、ぜひ注目を。

やり残した場所に到達したい、今回の『RENT』

──3人が揃った撮影はとても楽しそうでした! 仲の良さが伝わってきてキュンキュンしました。

甲斐翔真さん(以下、甲斐さん)

アリサはモデルだから、もう表情がさすが(笑)! カメラマンさんにも「ロジャーとマークはもう少し表情を……」って言われちゃったし(笑)。


平間壮一さん(以下、平間さん)

全員事務所が同じだからね。なんか、こういう撮影楽しいなって、単純に思っちゃった(笑)。


──さて、東宝版としてシアタークリエで6回目の上演だった2020年の『RENT』はコロナ禍に見舞われ、開幕したものの途中から公演がすべて中止になってしまいました。2年越しで再上演となりましたが、その感想を教えてください。

平間さん

今回皆がどういう形で集まったかについては、まだそれぞれ聞けていないのですが、自分がお話をいただいたときは「また同じキャストが集まれれば嬉しいな」と思っていました。結局まったく同じメンバーで集まることはできませんでしたが、前回から引き続き出演するキャストとはまた会えて良かったと思いましたね。


──中止になったとき、“やり残した感”みたいなのはありませんでしたか?

平間さん

いっぱいありましたね。日本版のリステージをしてくれたアンディ・セニョールJr.が来日できなかったことも自分としてはとても残念でしたし、自分一人で何かできるわけじゃないのに「どうにかしなきゃいけない」って変に力が入ってしまっていたというか……。今回はもう少しラクにいられたら、と思っています。


八木アリサさん(以下、八木さん)

私は前回がミュージカル初出演だったんです。そこから別のミュージカルの場を踏んでもなくて、今回もオーディションを受けなおさせてもらったんです。


平間さん

そうだったんだね。


八木さん

はい。前回は“やり残した”というか、全然辿り着けなかった感じだったので、今回改めて『RENT』に出ることで、何かを掴めたらと思います。この2、3年でたくさんの舞台に出演している皆さんがよりパワーアップして集まってきているから(笑)、追い付け追い越せ!で頑張りたいです。


甲斐さん

2年前、皆が一つの方向を見て頑張っていこうとしていたときに、その場がすべてなくなってしまったので、僕がこの話をいただいたときはもう「ぜひ!」という感じでした。あのとき到達できなかった場所に、今回は辿り着けたらいいなって。


八木さん

本当にそう思う!


甲斐さん

僕もそうだし、きっと皆もそうだと思うんですけど、2年という月日はとても大きくて……。それぞれ2年間で色々な経験をしてきたからこそ、今回の『RENT』はもっともっと深いところまで行けると思うんです。しかも新しいメンバーも入ってくれたので新しい刺激もあります。


3人のポートレートビジュアルもチェック!

『トムとジェリー』から、より“大人の魅力”を出せそうな予感

──お稽古はどうですか?

甲斐さん

先日もキャスト全員で歌う『La Vie Boheme(ラ・ヴィー・ボエーム)』というナンバーの稽古をしたのですが、アンディも何も言わないので、「空気が出来ているんだな」という感じがしていますね。とにかく稽古が楽しくて(笑)。


平間さん

でも2年前に作り上げていた人物像や役柄とは、今回は違ってきていますね。作り変えるというよりは、どちらかというと“上乗せ”という感じなんです。新しいものをどんどん重ねていくイメージが強いですね。


甲斐さん

僕が決めているのは“前の台本を絶対に開かない”ってこと(笑)。それは過去の自分に頼ってしまうことになるので、そうじゃなくて、この2年間積み重ねたことで今の台本を読み解いたほうが結果的にいいんじゃないかと。現に、アンディの『Light My Candle(ライト・マイ・キャンドル)』の演出が2年前とは全然違っていて。


平間さん

へー! そうなんだ!


甲斐さん

そう! 全然違うんです。2年前はもっと子どもっぽいというか、ロジャーとミミの若い感じがあったんですが、今回はもっとたくさん経験を重ねてきた男女が遊び合うような演出を受けて、「ああ、僕も歳を取ったのかな」と(笑)。アンディから見たらルックスや僕の印象も変わっているんでしょうね。


八木さん

分かる! アンディはとにかく私たちを“見ている”という感じがありますよね。私たち自身が持っているものを見て演出を変えてくださるので、そこに身を委ねている感覚。確かに前回の『Light My Candle』はトムとジェリーみたいだったかも(笑)。


甲斐さん

そうそう(笑)。わちゃわちゃしてたよね。


忘れがちな“今”を再認識できる作品

──『RENT』は1989年〜91年のニューヨーク・イーストヴィレッジを舞台に、1996年に初めてオフブロードウェイで上演されたミュージカルです。VOCE読者は生まれてない人も多いでしょうし、当時をまったく知らない人もいます。改めて『RENT』の魅力を教えてください。

平間さん

今の時代だったら、『RENT』という作品は生まれないかもしれませんね。


──同感です。今はHIVポジティブだとしてもいい薬がありますし、LGBTQも以前よりはもっと身近です。

八木さん

私はほかの舞台を経験していないので比較はできないのですが、自分にウソが付けない作品だと思っています。世界中で愛されている作品だからこそ、世界中にいろんなマークやロジャー、ミミがいて、とっても“広さ”を感じられるミュージカルというのが魅力だと思いますね。


平間さん

『RENT』を観たことがない人には、ぜひ足を運んでほしいと思います。『RENT』のどこが好きなのかは、観る人によってまったく違うと思うんです。ミュージカルナンバーが好きという人はもちろん一定数いると思うのですが、この作品の“刺さる”部分が観客側の状況によって違うというか。きっと「『RENT』が大好き!」という人も観るたびに違うシーンが刺さるんじゃないかな。


甲斐さん

それ、分かります!


平間さん

僕は4回出演させてもらっていますが、その4回とも感じるところが違うんです。エンジェルとマークというふうに役が違うから刺さる部分が違うというのではなくて、僕たちが歩いている人生の瞬間瞬間に刺さるというか――。そこが魅力なんじゃないかなと思います。病気が描かれているけれど、そこだけじゃないですからね。


甲斐さん

VOCE世代の女性たちにどう響くでしょうね……。エイズやLGBTQの話題ではあるものの、『RENT』はやはり「結局は愛だよね」とか「過去でも未来でもなく、大事なのは“今”」という話です。だから過去ばっかり振り返っちゃう人や、未来に起きるかもしれないことを不安に思ったりする人は、この作品を観て「今の自分はどうだろう?」と思うんじゃないかな。今の自分が、“納得できる自分”なのかどうか、それを自分に問いかける作品だと思います。


八木さん

そうだよね。「今を生きよう!」っていうテーマだから。


甲斐さん

“今”って忘れがちじゃない? 「今、自分がどうしたいか」というのを、今の現代人は特に忘れがちだと思うんです。携帯があり、思い出を簡単に残せて、未来もすぐに検索できる。でも「今は?」となると、振り返る瞬間はあまりないんですよね、実は。


平間さん

今にフォーカスするって難しいよね。「今」って言った瞬間にもう過ぎているんだから。


甲斐さん

そうそう。だから、“今”を見つめ直すきっかけになればいいなと思います。そうだなぁ、せっかくVOCEの女の子たちに届くなら、「今の自分はキレイかな」って。「未来の自分よりも今キレイかな? どうかな?」、「過去はこうだったけど、今はどうかな」って。一生懸命VOCEに振ってみたけど……、ちょっと無理矢理だった(笑)? でも、本当に『RENT』を観て、そういう気持ちになってくれれば嬉しい。


八木さん

(笑)。きっとVOCEの女の子たちに“刺さる”と思うよ!


甲斐さん

ありがとう(笑)。人生は“今”の積み重ねでしかないんです。その“今”を大事にしなかったら、過去も未来もない。すごく深い作品だと思います。


ワイワイガヤガヤと盛り上がった前編はココまで! 『RENT』には4回目の出演となる平間さんが落ち着いたお兄ちゃん的に会話を引っ張り、ロジャー役の甲斐さんが熱く語る――。ミミ役の八木さんがミュージカル界の先輩二人の言葉を聞き漏らすまいと、真剣な眼差しでお二人を見つめる様子がキュート。後編では稽古場の様子や読者に向けたスペシャルメッセージも公開しますので、お楽しみに!

PROFILE

平間壮一(Soichi Hirama)
北海道石狩市出身、1990年2月1日生まれ。2007年『FROGS』にて舞台デビュー。その後、数々の演劇・ミュージカルに出演。2015年『WASABEATS』では自身のダンスを活かし、世界一のタイトルを獲った共演者に引けをとらないダンスパフォーマンスで観客を魅了。同年、舞台『RENT』にドラァグクイーン・エンジェル役として出演。ダンスで培った体現をもって女性らしさを見事に演出し話題を集めた(2017年の再演にも出演)。2017年、劇団☆新感線『髑髏城の七人-Season月<上弦の月>』に出演。福士蒼汰演じる主人公・捨之介と絆を深める霧丸役を演じ、持ち前の運動力で迫力あるアクションを披露し観客を圧倒した。その後も着々と舞台・ミュージカル界での実績を積み、2018・2019年『IndigoTomato』での主演ではサヴァン症候群の青年を巧みに演じ切り、話題をさらった。2020年、2023年『RENT』マーク役、2021年『イン・ザ・ハイツ』ウスナビ役、2022年『The View Upstairs』など主演作品での活躍も続き、『クラウディア』、『キングアーサー』、『ヘアスプレー』と話題作にも立て続けに出演。

甲斐翔真(Shoma Kai)
東京都出身、1997年11月14日生まれ。2016年に『仮面ライダーエグゼイド』のパラド/仮面ライダーパラドクス役でデビュー。テレビだけでなく映画界にも進出、活躍の場を広げる。初舞台を踏んだ2020年の『デスノート THE MUSICAL』をきっかけに、同年に『RENT』のロジャー役、翌年は『マリー・アントワネット』のフェルセン伯爵役、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役(主演)などに出演、ミュージカル界でスターダムを一気に駆け上がる。2022年〜23年にかけてはミュージカル『エリザベート』にてルドルフ役に抜擢。今夏には『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』への出演を控えている。

八木アリサ(AlissaYagi)
北海道札幌市出身、1995年7月31日生まれ。2008年より雑誌「nicola(ニコラ)」モデルを経て、2011年より雑誌「ViVi(ヴィヴィ)」の専属モデルを10年務め2022年2月号をもって卒業。現在はsweet、ar、VOCEなどにモデルとして出演するほか、映画やテレビドラマ、広告などにも多数出演。女優としても活躍の場を広げている。舞台はミュージカル『RENT』が初舞台。2020年に続き、2023年版もオーディションを受けて合格、見事ミミ役を獲得する。今年秋には映画『レディ加賀』の公開を控えている。

【Information】

ミュージカル『RENT』
シアタークリエ 2023年3月8日(水)~4月2日(日)
料金:¥11000(全席指定・税込) エンジェルシート:¥5000

登場人物/CAST
【マーク・コーエン】花村想太/平間壮一 (Wキャスト)
【ロジャー・デイヴィス】古屋敬多(Lead)/甲斐翔真 (Wキャスト)
【ミミ・マルケス】遥海/八木アリサ (Wキャスト)
【トム・コリンズ】加藤潤一/SUNHEE (Wキャスト)
【エンジェル・デュモット・シュナール】百名ヒロキ/RIOSKE (Wキャスト)
【モーリーン・ジョンソン】佐竹莉奈/鈴木瑛美子 (Wキャスト)
【ジョアンヌ・ジェファーソン】塚本直
【ベンジャミン・“ベニー”・コフィン3世】吉田広大
チャンへ 長谷川開 小熊綸 ロビンソン春輝 吉田華奈 Zinee

〈八木アリサさん衣装〉ブレザー¥52800(参考価格)、スカート¥33000(参考価格)/ガニー(ganni.com) ピアス¥34100/スワロフスキー・ジャパン(スワロフスキー・ジュエリー)(0120・10・8700) ブーツ¥79200/マックスマーラ ジャパン(マックス アンド コー)(0120・030・535)

撮影/SHITOMICHI 取材・文/前田美保 ヘアメイク/菅野綾香(平間壮一さん分)、☆MIZUHO☆(Vitamins)(甲斐翔真さん分)、岡田知子(TRON)(八木アリサさん分) スタイリスト/岡本健太郎(平間壮一さん・甲斐翔真さん分)、中村璃乃(八木アリサさん分)

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