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『100ぴきかぞく』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第352回】

  • 2023.2.23
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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。

『100ぴきかぞく』 古沢たつお/作 大日本図書 1540円

2月22日は、「にゃん(2)にゃん(2)にゃん(2)」で猫の日。 猫の絵本はたくさんたくさん、数えきれないほどありますが、今回は一冊だけで猫まみれになれるこちらをご紹介。 『100ぴきかぞく』は、98匹の猫の子どもたちと、おかあさん、おとうさん家族のお話です。

今日はみんなで、おばあちゃんとおじいちゃんのおうちへ遊びに行く日です。 まずは歯を磨いて、顔を洗いましょう。 といっても、そこは100匹いますから、洗面所はとてもにぎやか。 逆立ちしているハッピー、それを写真に撮るパシャ、歯ブラシを手に歌うマイク、歯磨きしながら本を読むページ、歯磨きしないでおにぎりを食べているモグ。 (これでもまだ、5匹だけですよ!)

さあ、次は洋服に着替えます。 おそろいのワンピースにそれぞれのネックレスでおめかししたチャームとキラリ、ぬいぐるみにもお着替えさせてあげるホカ、お着替え中にポテトチップを食べちゃうチップ、お着替えしないでまだ夢の中のネム。 実際の場面にはこの20倍の猫がいて、みんな違うことをしていますから、もう、ずーっと眺めていられます。

朝ごはんを食べて、電車に乗って、おばあちゃんとおじいちゃんのおうちに着いたら、畑仕事をして、それから銭湯へ。 どの場面にも100匹(もしくはそれ以上)の猫がいて、最初はそれだけでびっくりするのですが、前見返しにある全員の絵と名前をもとに「この子はここにいて……」と探していくと、だんだん1匹ずつがクリアに見えてきます。 それは全員の個性が、しっかり、はっきりしているから。 本が好きな子は歩きながらも本を読んで、笛が好きな子は朝から晩まで笛を吹いて。 泣いている子はずっと泣いていて、怒っている子はいつも怒りんぼ。 1匹ずつを探す内に、「その子たちが24時間ありのままでいられる家族、いいなあ」なんてほんわかした気持ちにもなるのです。 そして何より、こんなにぎやかな家族をいつもおだやかに見守る、おかあさんとおとうさんに感服です!

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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