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「いいお友達でいましょう」で2億円の損害賠償!? 実際に起きている驚きの訴訟とは。

  • 2023.2.23

1月31日、シンガポールの日刊紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」が、シンガポール出身の女性、ノラ・タンとその友人であるカウシガンの間で起きた信じがたい出来事を報じた。ふたりの波長には、もともとずれがあったようだ。

2月9日にシンガポール最高裁判所で予備審問が行われた。photography: Getty Images

シンガポール出身の女性、ノラ・タンが終わりのない訴訟バトルに巻き込まれてもうじき7カ月になる。彼女を訴えたのは、友人のひとりであるカウシガンという名の男性だ。シンガポール最高裁判所での審判に終結を待ち望んでいる彼女だが、いったい、どんな過ちを犯したのだろうか?

この男性はタンとの交際を望んでいたものの、彼女に「フレンドゾーンされ」、それがもとで「心的トラウマ」となったと主張している。「フレンドゾーン」とは、恋人になりたいと願う相手に対して「友だちのままでいよう」などと恋愛対象外通告を行うこと。

1月31日にシンガポールの地元紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」が報じたように、男性は彼女が「フレンドゾーン」したせいで「うつ状態」になり、人生に「ネガティブな影響を被った」として、女友だちに対してなんと300万シンガポールドル(約200万ユーロ、約2億8000万円)の損害賠償を求めているという。また、そのせいでこの間に「名誉が汚された」とも主張している。

脅迫状

ふたりが出会ったのは2016年。当初は順調に事が運んでいたが、2年前から関係が悪化し始めた。2020年9月、ノラ・タンは、カウシガンがふたりの友情にエネルギーを傾けすぎていると感じ、距離を取りたいと考えるようになった。「カウシガンにもっと自立して生きてほしいという思いから、彼女は交流の頻度を減らしたいと頼んだ」と地元紙は報じている。その結果、1カ月半近く経ってから、彼女の自宅にカウシガンの署名が添えられた手紙が届いた。もっと頻繁に会ってくれないなら法的手段に訴えるという内容だった。

多くの人は、話はここで終わるだろうと思うはず。手紙を捨て、忘れてしまえばそれで済む話だったと。ところが、「ザ・ストレーツ・タイムズ」が明かした当事者たちのやりとりからは、原告がかなり混乱した心理状態にあったことが窺える。「タンはカウシガンに道理をわからせようと試み、彼に対して実際に戸惑いを覚えているとショートメッセージで伝えた。カウシガンからの返信はひとこと、関係を深めるという自分の要望に合わせるか、“回復不可能な”損害を被ることを受け入れるかのどちらかだ、というものだった」

心理療法

脅迫によって恋に落ちるなど、あり得るだろうか?答えは明らかにノーだ。しかし、精神的に追い詰められた彼女は関係を深めることを承諾する。弁護士の助言に従い、ふたりで一緒に心理療法のセッションにも通った。「これでカウシガンも彼女が自分に愛情を抱いていないことを受け入れられるようになるだろう、と彼女は考えていた」。2年後の2022年、彼女はセッションはもう必要ない、いや無駄だと判断し、通うのをやめた。

カウシガンのしつこさに閉口したタンは、2022年4月22日にハラスメントを受けたという理由で被害届を出し、彼ときっぱり連絡を断った。すると相手はただちに、彼女が「関係を修復するという合意を破った」として警察に告訴し、2万2000ドルの損害賠償を請求した。しかしこの訴えはシンガポール裁判所書記官補佐によって棄却された。

2022年7月7日、カウシガンは再び彼女を告訴。今度は「心的トラウマ」を理由に告訴状を提出した。彼は、こうした有毒な関係のせいで、この間に取引先を失い、結果的に金銭的な損失を被り、まともに仕事をすることができなくなったと主張している。またこの一方的な関係を乗り越えるために通った心理療法のセッション費用も含め、彼女に対して300万シンガポールドルの損害賠償を請求している。今回は訴えが受理され、2月9日、シンガポール最高裁判所で審議が始まった。

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