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刺殺のトランスジェンダー少女、“死亡証明書の性別”を男性にするな!署名集まる

  • 2023.2.22

16歳のトランジェンダーの少女が、15歳の男女に刺殺された事件で、未成年である少女の死亡証明書の性別欄が男性とされることに、変化を求める声があがっている。

16歳の少女が15歳の男女に刺殺される

2月11日にイギリス中部に位置するウォリントンで、トランスジェンダーの少女ブリオナ・ゲイが刺殺された。彼女は16歳で、犯人は15歳の男女2人だと見られる。警察は、事件はヘイトクライムかどうかも捜査している。

複数の友人が、英The SunやMailOnlineなどに、ブリオナはいじめられていたと話した。まだ15歳の少年少女が、トランスジェンダーの少女を刺し殺したという事件はイギリスで大きな問題となっており、各地でブリオナを追悼するために人々が集まり、黙とうを捧げている。

画像: ブリオナやトランスジェンダーコミュニティに連帯するために集まった人々(2月15日にイギリスのロンドンで撮影)。
ブリオナやトランスジェンダーコミュニティに連帯するために集まった人々(2月15日にイギリスのロンドンで撮影)。
画像: 16歳の少女が15歳の男女に刺殺される

しかし、バーミンガムでトランスコミュニティとの連帯と、ブリオナへの敬意を示すために人々が集まった時には、顔を隠した人物が「くたばれLGBTQ。くたばれLGBTQの権利」と叫びながら乱入。また別の時には、トランスコミュニティのために活動する人物が街頭でインタビューを受けていた際に、通りがかったグループが「くたばれLGBT、お前ら全員くたばれ」と騒ぎ立てる様子を偶然カメラがおさえた。

世界各地でLGBTQ+コミュニティへのヘイトは深刻な状態となっている。トランスコミュニティの人々がどれくらい殺されているかについての正確な数字は、各国の警察との連携などが必要になってくるため出すのが難しいが、トランスジェンダーの俳優やアクティビストなど、当事者の多くはヘイトクライム被害の経験を明かしてきており、殺人とまではいかなくとも、嫌がらせなどは稀なことではない。

イギリス警察の発表によると、2020年から2021年で、トランスジェンダーの人々に対するヘイトクライムが記録された件数は16%増加。しかしLGBTQコミュニティに関する国の調査で、深刻な事件を経験したトランスジェンダーの人々で、通報しなかった割合は88%にのぼったため、記録されていない事件が多く起こっていると考えられる。

また、LGBTQコミュニティは同性愛者やバイセクシャル、ノンバイナリー、そしてトランスジェンダーなどを含むが、トランスジェンダーの人々は身体的脅迫、性的嫌がらせ、暴力などを経験する可能性が、他の当事者に比べて高いことが国の調査で明らかに。LGBTQ+コミュニティのための団体Stonewallの調査によると、2017年に職場で同僚や顧客から物理的に攻撃された経験のあるトランスジェンダーの人は8人に1人の割合だった。

未成年のトランスコミュニティを守るために、連帯が広がる

そんななか、ブリオナの尊厳を守るために、ある署名が立ち上がった。

画像: 未成年のトランスコミュニティを守るために、連帯が広がる

イギリスではGRC(Gender Recognition Certificate/性別認定証明書)というものがあり、出生証明書の性別を変更したり、結婚証明書における性別に、自分の性別を反映したりするために必要な書類。そして、死亡証明書に記載される性別においても、トランスジェンダーの人々が自分の性別を反映するためにはこれが必要なのだ。

しかし現在のイギリスの法律では、18歳以上でなければGRCを申請できない。そのため、このままだとブリオナの死亡証明書の性別は男性になる。

そこで現在、イギリス政府と議会のホームページにおける署名ページに、「死後の迅速な承認のために性別認定法(※)を改正してください」という署名が立ち上げられている。署名で要求されているのは、「GRCを持たずに死亡したトランスの人物の家族は、宣誓供述書をもちいてGRCを申請することができ、死亡証明書を再発行することができる」「末期の病気を診断されたトランスの人は、宣誓供述書をもちいてGRCを得ることができる」という2つ。
※The Gender Recognition Act (GRA/性別認定法)は、イギリスにおいてトランスの人々がどうやって法的に性別を変えたり、GRCを得たりするかについての法律。

イギリスでは、政府の公式ページに立ち上げられた署名は、1万筆以上で政府が何かしらの反応をする、10万筆以上で議会の議題として検討される、というルールになっている。ブリオナおよびトランスコミュニティのための署名は、現在までに1万2,000筆以上が集まっているため、今後、少なくとも政府が何かしらのコメントはすることになる。

(フロントロウ編集部)

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