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エリザベス女王追悼でウィリアム皇太子が涙、戦争の話題禁止と指示のドイツ人監督がルールを破る【BAFTA】

  • 2023.2.20

2023年英国アカデミー賞授賞式が開催され、ドイツ映画『西部戦線異状なし』が新記録更新。エリザベス女王追悼のための時間も取られた。(フロントロウ編集部)

『西部戦線異状なし』がダークホースに

イギリスのロンドンで、2023年英国アカデミー賞の授賞式が開催。今年の最多受賞となったのはドイツ映画『西部戦線異状なし』で、7部門に輝いた。これは英国アカデミー賞における、言語が英語でない作品の史上最多受賞数となった。

『西部戦線異状なし』は来月に授賞式が開催されるアメリカのアカデミー賞でも9部門にノミネートされている。Netflixで2022年10月に配信に配信開始となった時には大きな話題にはならなかった本作が、各映画祭でダークホース的存在となっている。

英国アカデミー賞では、次いで、『イニシェリン島の精霊』と『エルヴィス』が4部門受賞となった。

『西部戦線異状なし』監督、戦争について話すなと言われていたが…

エーリヒ・マリア・レマルクによる同名小説を基にして7部門で輝いた『西部戦線異状なし』からは、エドワード・ベルガー監督も監督賞を受賞。受賞スピーチにおいて戦争について話さないほうが良いと言われていたそうだが、本作を映像化した監督が、戦争の歴史や現在の世界状況について見て見ぬふりをすることはなかった。

画像: 左からエドワード・ベルガー監督、主演俳優のフェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ。
左からエドワード・ベルガー監督、主演俳優のフェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ。

「どうしてこんなことが起こったのでしょう!?ありがとうございます。会場までの送迎車の中で、『何をしても良いが、戦争についてだけは話さないこと!』と言われましたが、そのルールについてはすでに破ってしまいましたね!この映画はチェコ共和国で撮影しました。スタッフの大半はドイツに2度侵攻された国であるチェコの人々で、多くのフランス人とドイツ人の俳優、そして1人のオーストリア人俳優と作りました。(1人のオーストリア人俳優は)主演のフェリックス・カマラーです。ありがとう。君なしでは、私たちはここにいません。カメラスタッフの中には、戦争で戦った祖父を持つイギリス人もいました。そして今日、ウクライナでまた別の戦争が起こっている。あと5日で(戦争開始から)1年になります。そこにヒーローはいません。どのような戦争においてもです」

エリザベス女王を追悼でウィリアム皇太子の目に涙

70年にわたってイギリスの君主として国民に慕われたエリザベス女王が2022年9月8日に死去したことを受けて、今年のBAFTAではエリザベス女王を追悼する時間も設けられた。会場では女王を追悼する映像とともに、女王が芸術文化の重要性について、「作家、俳優、映画制作者、ダンサー、ミュージシャンなど、芸術家の才能を通して、私たちは文化の大きさと、私たちが共有する人間性の要素を見ることができるのです」と語る音声が流された。

この時間にスピーチを行なったのは、映画『クィーン』でエリザベス女王を演じ、女王とのお茶会やパーティーにも参加したことのあるヘレン・ミレンで、ヘレンはリハーサルの時には泣いてしまったという。

彼女が、「女王陛下は難なく映画によって私たちを1つにまとめ、物語のなかに一体化してきました。女王陛下、あなたは私たちのリード・スター(※)です。BAFTAを代表して、私たちの映画・テレビ業界にしていただいたことすべてに感謝いたします」と語った際には、授賞式にキャサリン妃とともに出席していたウィリアム皇太子の目にも涙が見られたと、英Hello!は伝えた。
※「国を代表するスター」と「主演スター」という2 つの意味合いを持たせている。

画像: エリザベス女王を追悼でウィリアム皇太子の目に涙

キャリー・マリガンとケリー・コンドン、受賞者発表で間違い!

今年のBAFTAで助演女優賞にノミネートされていたのは、アンジェラ・バセット、ホン・チャウ、ドリー・デ・レオン、ジェイミー・リー・カーティス、キャリー・マリガン、そしてケリー・コンドン。受賞は『イニシェリン島の精霊』よりケリーとなったのだが、じつは発表時にハプニングも。

なんと、最初に受賞者はキャリーだと発表されてしまった!

助演女優賞のプレゼンターはろう者のトロイ・コッツァーで、彼が手話で発表した後に、手話通訳者が音声で発表したのだが、どちらが名前を間違えたのかは不明。何にせよ、キャリーにとっては残念な出来事だったのは間違いない。

画像: 左からキャリー・マリガン、ケリー・コンドン。
左からキャリー・マリガン、ケリー・コンドン。

『エブエブ』いじり、『セックス・エデュケーション』新人対決も

BAFTAにも、今年の映画賞を席巻している『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキャストは参加。ノリが良すぎて最高な60代として人気のジェイミー・リー・カーティスは、レッドカーペットのインタビュー中にインタビュアーが手につけてきた“ソーセージの手”でいじられる場面も。しかしジェイミーも「鼻をほじらなきゃ」と返す、さすがの余裕を見せていた。

また今年のライジング・スター賞では、『セックス・エデュケーション』のエマ・マッキーとエイミー・ルー・ウッドがライバルに。エマとエイミーは2021年の英国アカデミー賞テレビ部門最優秀コメディ女優賞でも同時にノミネートされた経験があり、この時はエイミーが受賞したが、2人とも最近では多くの映画に出演しており、今回はエマが受賞した。

(フロントロウ編集部)

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