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【世界の立入禁止スポットvol.12】数奇な運命を辿り再生した〜南アフリカ・ポンテシティアパート〜

  • 2023.2.19

南アフリカと聞くと、「希望峰」や「テーブルマウンテン」といった自然豊かな場所が思い浮かぶかもしれませんね。そんな南アフリカ・ヨハネスブルグのダウンタウンには、数奇な運命を辿る「ポンテシティアパート」があります。ここはかつて立ち入ることができない非常に危険な建物でした。今回は、ポンテシティアパートが建設された当時から現在までの道のりをご紹介します。

 

 

高級住宅として建てられた

1975年に建設されたポンテシティアパートは、54階建ての高級住宅でした。当時は円筒形の超高層ビルで、ヨハネスブルグのランドマークでもあったのです。また、アパルトヘイトの時代でもあり、白人専用の住宅でした。

ポンテシティアパートの特徴は、中央部分が吹き抜けになっていること。建物の中央からは空を見上げることができます。そのユニークな建築デザインが注目を集めました。

アパルトヘイトの撤廃により状況が一変する

南アフリカは、1991年にアパルトヘイトを撤廃し、1994年に民主政権を発足。対話による人種対立解決と融和の象徴の国になりました。しかし、それには混乱がありました。裕福な白人たちは治安が悪化したヨハネスブルグの中心街から郊外へ移り始めたのです。

これにより、人種による人口構成が変化し、ポンテシティアパートの治安も悪化しました。そして、ついにゴミの収集や電気などの公共サービスが停止されます。

その後、ギャングがポンテシティアパートを不法占拠。勝手に人々に部屋を貸し出すようになり、麻薬や武器、盗品の売買、売春が蔓延り、「世界一高層のスラム」と呼ばれるように。最大1万人もの人たちが、この建物で暮らしていたそうです。

ゴミが吹き抜けの5階まで積もっていた

エレベーターが止まっていたため、高層階の住人はゴミを中央の吹き抜けに投げ捨るようになり、5階くらいの高さまで(15階や17階までという説も)ゴミが積もっていました。そのゴミの中には野良猫の死体も混ざっていたとか。さらに、高層階から飛び降りた人間の死体があったという話もあります。いずれにしても、不衛生な環境であることは間違いなく、巨大なネズミも住んでいたようです。

2000年代初頭にリノベーションを開始

ヒルブロウ地区の風景

2001年にこの建物を所有する不動産業者がリノベーションを開始。ギャングを追い出しました。それと同時に、18カ月かけて吹き抜け部分に積み上がったゴミも撤去しました。そして、建物の改修が終わり、現在はアーティストや会社員、その家族などが暮らす、厳重なセキュリティが敷かれた住宅に。ここで暮らす人たちは、この地域にお金をもたらしているそうです。

しかし、ポンテシティアパートがあるヒルブロウ地区は、一時期に比べ治安が回復したとはいえ、安全とはいえないのが現実です。もし訪れる機会があったら、最新の信頼できる情報を必ずチェックしてくださいね。

ポンテシティアパート

住所:Towers, Berea, Johannesburg, 2198 South Africa

[参考]

INDEPENDENT/Ponte City travel guide: How Johannesburg’s notorious towerblock cleaned up its act

Sunday Times/The full Ponte: Take a tour of a Joburg icon

[All photos by Shutterstock.com]

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