1. トップ
  2. 「俺は、いろいろ、うまくいっている。」はずだった...無自覚なモラハラ夫が家族を失うまで<99%離婚 モラハラ夫は変わるのか>

「俺は、いろいろ、うまくいっている。」はずだった...無自覚なモラハラ夫が家族を失うまで<99%離婚 モラハラ夫は変わるのか>

  • 2023.2.19

「お前ってホント無能だよね よかったね 専業主婦になれて」
エリート夫に尊厳を踏みにじられた妻。もう耐えられない!

KADOKAWAから発売された『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』(著者:龍たまこ、原作:中川瑛)は、モラハラ夫に苦しめられる妻と、自身のモラハラを認められない夫の苦悩を、それぞれの視点から描いたコミック。変わりたいともがく、一組の夫婦の物語だ。

「ベッドで癒して...」 モラハラ夫の誘いにゾッッ

結婚して5年になる野沢夫妻。専業主婦の妻・彩は、エリート会社員の夫・翔(しょう)への愛情を失っていた。原因は、彩に対する翔の接し方にある。たとえば朝、お気に入りのジャムをうっかり切らしてしまうと、「...なんで買ってないの? 食パン食べれないよ?」と露骨に不機嫌になる。食卓にソースを出し忘れた時には......

「ねぇ なんでソース出てないの? 俺、目玉焼きにはソースって言ってあるよね」「あ......ごめんなさい」
「ハァァァ... ホント彩って何度言ってもわかんないよね そんなんじゃ社会に通用しないよ よかったよね 専業主婦になれてさ」

たかだかソースを出し忘れただけで能力を否定してくる。もちろん、それだけではない。「お前ってホント無能だよね よかったね 専業主婦になれて」「なにその服 もう少し体型戻さないと似合わなくない?(笑)」......。心無い言葉をたびたび浴びせてくる翔に、彩は疲弊しきっていた。

最初からこうではなかった。付き合いはじめた頃は優しかったし、同棲していた頃もお風呂掃除くらいはしてくれた。結婚から1年で妊娠がわかり、翔の強い希望もあって彩は仕事を辞めた。翔の態度がここまでキツくなったのは、子どもが産まれてからだった。

育児に追われ、暴言を吐かれる毎日。そんなある日、彩は翔から「なあ なんでそんな暗い顔してんの?」と注意される。そんな顔をされたら自分の疲れが取れない、と。夜泣きで寝不足だと告げると、まさかの言葉を投げかけられる。

「ふーん なら...ベッドで癒してくれてもいいよ?」

あまりに空気を読めていない誘いにゾッッとした彩は、思わずバッと強く拒絶してしまう。すると、翔は怒り狂った。彩はもう完全に、限界だった――。

「勝ち組」エリートサラリーマンの転落

モラハラ被害者の妻と、加害者の夫。ところが、翔の視点からは「俺は、いろいろ、うまくいっている。」という認識だった。

「少々どんくさいところがあるが気は優しい」妻と、かわいい娘に見送られて出社するのは気分がいい。以前、見送りに来なかった時は1週間ほど彩を無視して、分をわきまえさせた。自分は身を粉にして働いているのだから、「養われている身分」の彩がやるべきことを完璧にやれないのは気に入らない。

駅直結のひときわデカいビルの職場に出社する瞬間、自分が「勝ち組」であることを感じる。「俺はやれる もっともっと昇進してみせる」。今日のプレゼンはうまくいった。明日は久々の休みだし、たまには家族サービスでも...と、上機嫌で帰宅した。するとそこには、誰もいなかった――。

「どういうことだ?」。この時すでに「99%離婚」の状況になっていたことに、翔は気付いていなかった。彩は娘を連れて出て行ったのだ。なぜこんなことになっているのか、翔には皆目見当もつかない。

「モラハラ・DVをする人は一生変わることはない」。世間ではそう言われているという。はたして翔は、変わることができるのか。自身の加害性を自覚し、家族を再構築できるのか――。

元記事で読む
の記事をもっとみる