【声明全訳】ブルース・ウィリスが「認知症」と診断、病状が進行と家族が明かす

2022年にいくつかの健康問題と失語症を理由に俳優業からの引退を表明した俳優のブルース・ウィリスが、前頭側頭型認知症と診断されたことを家族が公表。（フロントロウ編集部）

ブルース・ウィリスが診断された「前頭側頭型認知症」とは？

『ダイ・ハード』や『アルマゲドン』、『シックス・センス』などの代表作で知られる俳優のブルース・ウィリスが、前頭側頭型認知症と診断されたことを家族が公表した。なお、2022年にブルースはいくつかの健康問題に加え、言語障害の一種である失語症の診断を受けたことがきっかけで俳優業から引退することを表明している。

アメリカを代表する医療機関メイヨー・クリニックによると、前頭側頭型認知症は、主に脳の前頭葉と側頭葉を侵す脳疾患の総称で、これらの脳の領域は一般的に人格、行動、言語に関連しているという。前頭側頭型認知症では、これらの小葉の一部が萎縮していく。兆候や症状は様々で、性格が劇的に変化したり、社会的に欠けた行動や衝動的な行動を取ったり、自己や周囲に対して無関心になったり、言語障害があらわれたり、脳のどの部分が影響を受けるかによって異なるそう。

診断結果を受けて家族が声明を発表

診断結果を受けて、ブルースの家族が米The Association for Frontotemporal Degenerationを通じて声明を出した。

以下、声明の全訳。

「この10ヵ月間、ブルースに愛情と思いやりを注いでくださった皆様に、家族としてこの場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。皆様の寛大な精神に圧倒されると同時に、大変感謝しております。私たち家族と同じくらいブルースを愛してくださっている皆様に、近況をお伝えしたいと思います

2022年の春にブルースの失語症の診断を公表して以来、ブルースの症状は進行し、前頭側頭型認知症であるというより具体的な診断が下されました。残念ながら、コミュニケーションの問題は、ブルースが直面している病気の症状のひとつに過ぎません。辛いことではありますが、やっと明確な診断がついたことに安堵する気持ちもあります。

前頭側頭型認知症は、私たちの多くが聞いたこともないような、誰もがかかる可能性のある残酷な病気です。60歳未満では、前頭側頭型認知症は最も一般的な認知症であり、診断を受けるまでに何年もかかるため、私たちが知っている以上に存在している可能性が高い病気でもあります。現在、この病気に対する治療法はありませんが、私たちはこの現実が将来的に変わることを望んでいます。ブルースの症状が進行するなかで、メディアの注目が集まり、より多くの認知と研究を必要とするこの病気に光を当てることができるようになればと願っています。

ブルースはつねに、自分の声を世の中のために役立てること、そして重要な問題に対する意識を公私ともに高めることを信条としていました。もし今日できることなら、彼はこの身体を衰弱させる病気と向き合っている人々とつながり、この病気がいかに多くの人々とその家族に影響を及ぼしているかを世界に伝えることで、応えたいと思っているはずです。

私たちは、に苦しむ愛する人を持つ家族のひとりであり、The Association for Frontotemporal Degenerationは、このような問題に直面している人々に、豊富な情報とサポートを提供しています。また、幸運にも前頭側頭型認知症を個人的に経験していない方々にも、時間をかけて前頭側頭型認知症について学んでいただき、できる限りThe Association for Frontotemporal Degenerationのミッションを支援していただきたいと願っています。

ブルースはつねに人生に喜びを見出しており、周りの人たちもそうなるように手助けをしてきました。その思いが、本人にも私たちにも伝わっていることに、大きな意味を感じています。この困難な時期に、私たちの親愛なる夫、父、そして友人であるブルースに対して皆さんが分かち合ってくれた愛に、私たちはとても感動しています。皆様からいただく思いやりと理解、そして尊敬の念が、ブルースが少しでも充実した日々を送るための支えとなるでしょう。エマ、デミ、ルーマー、スカウト、タルーラ、メイベル、エヴリンより」

ブルースの家族は長年にわたって緊密な関係を保ってきたことで知られ、最初に失語症と診断を受けて俳優業引退の決断を明らかにして以降、ブルースへのサポートを公言してきた。声明の最後には、現在の妻であるエマ・ヘミング・ウィリスだけでなく、元妻で俳優のデミ・ムーアや、デミとのあいだにもうけた3人の娘たちの署名もあった。（フロントロウ編集部）