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日本人侮辱で炎上中のThe 1975マシュー、じつは深い日本愛と過去の発言

  • 2023.2.15

The 1975のマシュー・ヒーリーがポッドキャストで日本人などを侮辱するトークに加担したとして炎上し、マシューに説明を求める声が多くあがっている。そんなマシューはこれまで日本への愛をたびたび語ってきた人物である一方、歯に衣着せぬ物言いから炎上することも多かった。(フロントロウ編集部)

The 1975のマシュー・ヒーリーが出演したポッドキャスト番組が物議に

現在のイギリスの音楽シーンを代表するロックバンド、The 1975でフロントマンを務めるマシュー・ヒーリーが、出演したポッドキャスト番組『The Adam Friedland Show』で日本人を侮辱したとして炎上している。

画像: The 1975のマシュー・ヒーリーが出演したポッドキャスト番組が物議に

コメディアンのアダム・フリードランドとニック・ムレンが司会を務めるこの番組は、テレビでは放送できないようなブラックジョークや皮肉満載のトークを展開するのが売りなのだが、マシューが出演した2月10日配信のエピソードでも、マシューを含めた3人で様々なトピックに関して際どいトークが展開されることに。

ハワイ系の人々のアクセントをからかったり、女性の月経を笑いのネタにしたりと問題発言が相次いだのだが、番組では日本についての話題にもおよんで、日本についても揶揄する発言が飛び出したことで、ここ日本でもソーシャルメディアではファンの間でマシューに説明を求める声があがっている。

番組では、日本人のアクセントを揶揄する場面や、日本の歴史に触れる場面などがあった。内容は「【騒動解説】日本人を侮辱したと批判、The 1975マシュー・ヒーリー出演のポッドキャスト番組が炎上中」で詳報している。

The 1975にとって大きな意味を持っている日本

番組を受けて、SNSの一部ではマシューに「反日」という言葉が使われているが、実際には、マシューと彼のバンドThe 1975はこれまでに深い日本愛をたびたび示してきた。

番組で「これから日本ツアーに行くんだ」とマシューが語っていたように、The 1975は4月に東京や横浜、名古屋、大阪をまわる日本ツアーが控えている。4月24日から始まるツアーは、ヘッドライナーを務めた昨年のサマーソニック以来となる来日公演なのだが、昨年のサマーソニックはThe 1975にとって、コロナ禍以来初めてとなる、約2年半ぶりの公の場でのパフォーマンスという、大きな意味を持っていた。

画像: The 1975にとって大きな意味を持っている日本

パンデミックによって中止を余儀なくされた2020年のスーパーソニックでヘッドライナーを務める予定だったこともあり、ライブ活動へのカムバックの場としてここ日本を選んだThe 1975だが、バンドにとって日本はとても大切な場所であることで知られている。

The 1975は2020年にリリースした『仮定形に関する注釈』に収録されている「Guys」で、バンドとして初めて来日したときの思い出にトリビュートを捧げて、「僕らが初めて日本へ行ったときのこと/あれは今までで最高のことだった/またできたらいいね」と歌っている。

Setlist.fmによればThe 1975はこれまでに日本で13公演を行なっており、これはバンドがこれまで公演を行なってきた国のなかでは、7番目に多い公演数となっている。

日本文化からの影響をたびたび公にしてきたマシュー・ヒーリー

また、マシュー自身は日本文化からの影響をたびたび公言しており、英Rolling Stoneによればマシューの自宅には「日本の禅風の庭」があるほか、唇には「WABI SABI(侘び寂び)」というタトゥーを入れている。

画像: ©️The FADER

また、海外メディアとのインタビューでも何度も日本への愛について語っており、2016年に米Billboardとのインタビューでは日本の「大ファン」だと語ったほか、2020年にカナダのBeatRouteとのインタビューに応じた際には、「服をゲットするという目的のためだけに日本へ行ったことがある」とも語っている。

SNSでの炎上は数知れず、一方で社会問題に声をあげてきたマシュー・ヒーリー

マシューは社会問題に積極的に声をあげてきたアーティストの1人だが、歯に衣着せぬキャラクターゆえに、そのやり方が疑問視されることもたびたびあり、炎上したのも今回が初めてではない。2020年には、マシューによる一連の問題発言をThe 1975のファンがまとめたツイートがバズったこともあった。

マシューの発言が問題視された例の1つとして、2020年5月に黒人男性のジョージ・フロイド氏がアメリカで警察官によって首を膝で抑えられたことによる窒息が原因で亡くなり、Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター/黒人の命には価値がある)運動が世界的に巻き起こったときにマシューがツイートした投稿がある。彼はこの時、バンドの楽曲「Love It If We Made It」のミュージックビデオのリンクをツイッターに投稿したのだが、“便乗して再生数を上げることに事件を利用するのか”と一部から批判が寄せられることに。マシューはこのことがきっかけで、一度アカウントを削除した。

しかしながら、マシューがこの楽曲のビデオを投稿したのには理由があった。この楽曲には、「(黒い色素である)メラニンを商品にしながら 黒人を窒息させる」という、黒人たちのカルチャーを利用しながらも差別が蔓延していることを批判する歌詞が含まれている。奇しくも、ジョージ・フロイド氏が亡くなった事件よりも前にリリースした歌詞の内容が現実とリンクすることとなったこの楽曲のMVを投稿した理由について、マシューは2022年に英NMEとのインタビューで次のように述べている。

「『勘弁してくれよ。僕が金稼ぎのために使ったわけじゃないのは分かるだろ。YouTubeで再生されても0.5ペンス(約0.8円)しか稼げないんだからさ』っていう感じでした。僕が言いたいのは、『これについては深く考えた』ということで、みんなが何日も『何か言ってくれよ!』っていう感じだったから、『僕としてはこう考えています』って提示したに過ぎません」。

また、2019年にアラブ首長国連邦のドバイで公演を行なった際には、コンサートの最中に男性ファンにキス。同国では同性愛は犯罪とされており、マシューはそれに抗議するためにキスをしたと当時話題になったのだが、この時にも、“マシューは出国すればいいが、キスの相手となった男性は逮捕されてしまうリスクがある”という批判が一部から寄せられることとなった。

画像: SNSでの炎上は数知れず、一方で社会問題に声をあげてきたマシュー・ヒーリー

加えて、マシューはここ日本でも社会を変えるような行動を起こしている。マシューは2020年、「あなたの出演条件に、女性とノンバイナリーのパフォーマーが出演者のX%(理想は50%です!)を占めるフェスティバルにしか出演しないという条件を加えてください!」と自身に呼びかけたジャーナリストからのお願いに応じる形で、今後はそのようなフェスティバルにしか出演しないことを表明。

マシューは実際にその指針を守っており、2022年に日本のサマーソニックでヘッドライナーを務めた際には、サマーソニックにもジェンダー比のバランスに関してリクエスト。サマーソニックを主催するクリエイティブマンで代表を務める清水直樹氏が現代メディアに明かしたところによれば、マシューから「女性アーティストの比率を高めて欲しい」という要望があり、フェスティバルとしてそれに応えたという。

マシューやThe 1975はこれまでに、他にもメンタルヘルスや気候変動、女性の中絶の権利など、様々な社会問題について声をあげてきたことで知られている。

最新ツアーでバンドメンバーから発言を遮られたことも

最近ではソーシャルメディアでの発信が炎上することは少なくなっているが、来日公演も行なう最新ツアーでの、マシューのステージでの言動がファンを心配させたことも。

現地時間1月23日に英リーズのファースト・ダイレクト・アリーナで公演を行なった際には、「これを言っても人種差別主義者とはならないと思うのだけど、マジで...」とMCで話し始めたところで、マシューにそれ以上は発言をされないようにバンドメイトたちが演奏を始めて、MCを遮るという場面があった。

このようにさまざまな騒動を経てきたが、今回のポッドキャスト番組はとくに問題だとして炎上している。一方で今回は、The 1975ファンの“らしさ“も見える一件となった。The 1975は、社会問題に積極的に声をあげてきたからこそ、人権や差別に真摯に向き合うファンが多い。そのため、今回のポッドキャストへの出演に関しても、好きなアーティストだからと言ってかばうのではなく、きちんと説明を求める声がファンから多くあがっている。日本への愛を公言してきたという関係性があるからこそ、日本のファンは来日公演の前に何かしらの声明を求めているが、マシュー本人やバンド、レーベルはこの件に関して現時点ではコメントを発表していない。(フロントロウ編集部)

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