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鈴木亮平さん、大人の色気で話題も「僕にはコントロールできません」

  • 2023.2.12

ドラマに映画にと話題作への出演が続く俳優・鈴木亮平さん。2月10日には新作映画「エゴイスト」の公開があった鈴木さんはもうすぐ40歳。現在の心境やコロナ禍以降の仕事への思いを聞きました。

40歳は人生の折り返しというイメージ

――今年の3月で40歳になります。年齢の重ね方で意識することはありますか?

鈴木亮平さん(以下、鈴木): 40歳を迎えることは、30歳になったときよりも重く受け止めています。僕自身は40歳は人生の折り返しというイメージがある。そろそろ本格的に自分が人生で成し遂げたかったことに舵を切らなければ、間に合わないぞ、と。
僕は海外が好きですが、この先、1年に1回旅行に行ったとしても、何カ所に行くことができるか――。諦めることと、すべきことの取捨選択をしていかなければならないと思っています。

――演じる役に関しても、優先順位を決めていく?

鈴木: そうですね。この先に何本、自分が関われるだろうか、と考えると大事に選んできたいと思いますね。

2022年10月期のドラマ「エルピス―希望、あるいは災い―」(関西テレビ制作、フジ系)の斎藤正一役は、 これまでの僕にはあまりなかった、少し陰のある大人な役。このような、社会的に責任のある役が増えていくのは、一方で楽しみ。

ただ、自分の幅が足りていなければ、役に置いて行かれてしまうことも起こる。だからもう、嘘はつけない。自分の器の大きさを問われる役が増えるだろうと思うと、わくわくするのと同時に、身が引き締まる思いもありますね。

朝日新聞telling,(テリング)

――「エルピス」で演じた政治部のエリート記者・斎藤は、「大人の色気がある」とも話題になりました。

鈴木: そう言っていただけるのは光栄なことですが、脚本と演出の力なんです。衣裳1つとっても、斎藤の役は完璧にスーツを着こなしていなければならないから、オーダーして体にぴったり合うスーツを作ってくださった。しかも脚本家の渡辺あやさんの書かれる台詞の書き方が、色っぽいんですよ。

大人の色気って何でしょうね。ある年齢を過ぎたら、それはこれまでどう生きて来たのか、ということしかないような気もします。それがうまく出れば色気になるでしょうし、悪いほうに転べばいやらしくもなる。それは少なくとも僕にはコントロールできません。そもそも、「色気を出そう」と意識している人は、色っぽくないですもんね。難しいですね(笑)。

朝日新聞telling,(テリング)

故郷の景色を見ると…

――コロナ禍以降、ドラマや映画の現場の変化はありましたか?

鈴木: 「いつ撮影が止まるか分からない」「この作品を撮り終えられるか分からない」といったプレッシャーが常にあります。自分が感染してしまったら、現場が止まって、放送や公開ができなくなる可能性もある。その緊張感はかなり大きいですよね。

そんなコロナ禍以降で、1つ1つの仕事に対して、責任を持って演じていきたいという思いはますます強くなりました。たくさんの人に見てもらいたいというのは、最低限。それに加えて自分の作品や演技が社会にどんな影響を与えるのかを含めて考えて、演技をしたり、仕事を選んだりしていきたいと思っています。オファーを頂いたからやる、のではなくて、役の背景にあるものも今後は背負っていきたいですね。

――映画「エゴイスト」の中では、ゲイである自分の姿を押し殺しながら思春期を過ごした故郷に帰るシーンがありました。鈴木さんご自身は?

鈴木: 僕は兵庫県西宮市で生まれ、都会の埋め立て地が見える海のそばで育ちました。今は親以外には会わないですが、時々は帰省しています。いいことも悪いことも、その記憶は風景が持っていますよね。故郷の景色を見たときに、きゅんと胸が締め付けられるような思いはあります。
視線の先に都会の埋め立て地が見える、というのが我が街の原風景なので、東京で言うと、天王洲アイルや品川の奥あたりの港の風景にきゅんとします。都会的なコンクリートの堤防に波がゆったり打ち寄せている感じ……。

朝日新聞telling,(テリング)

「挑戦」を気軽に勧められなくなった

――20代後半から40代前半のtelling,読者の女性の中には、「やりたいことが見つからない」「一歩を踏み出せない」という人も多いです。鈴木さんからアドバイスをするとしたら?

鈴木: 難しいですね(苦笑)。僕が20代の頃は、「失敗なんて本来ない。それすら成功へのステップなんだから、挑戦してみればいいじゃないか」と気軽に言えました。

でも、人それぞれの環境があり、状況もある。「努力すればいいじゃん」と言うのは簡単ですが、事情があって努力をできない人だっている。そもそも、努力を続けられないタイプの人も……。僕自身も、続けられる努力と、続けられない努力、そして向き、不向きがあります。ピアノなんか、一度習ってはみたけれど、両手で演奏する必要が出てきた時点で、「あぁっ!!」となって、全然続かなかった(笑)。

だから、年々こうしたアドバイスができなくなってきています。無責任なことは言えませんので、個々人が、自分にできることをやっていくしかないのだと今は考えています。

■尾越まり恵のプロフィール
ライター/株式会社ライフメディア代表。福岡県北九州市生まれ。雑誌、WEB、書籍でインタビュー記事を中心に取材・執筆。女性のハッピーを模索し、30代はライフワークとしてひたすらシングルマザーに密着していました。人生の決断を応援するメディア「わたしの決断物語」を運営中。

■家老芳美のプロフィール
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。

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