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弁護士は見た!引っ越しの退去時に請求された現状回復費は払わなくていい?

  • 2023.2.12

敷金の支払いが求められる物件に入居する際、退去時にお金が戻ってくるのか疑問に思ったことはないでしょうか?また、退去時に大家さんから原状回復費として予想外に高額な請求をされて困った経験がある人もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、現役弁護士が退去時のトラブルとその対処法について解説します。

■退去時にかかる費用

賃貸借契約が終了した場合、借主には原状回復義務が生じます。原状回復義務とは、部屋を借りた後に生じた損傷を、借りる前の状態に戻さなければならない義務のことをいいます。

では、日焼けして変色した壁紙、経年劣化で入ったヒビ、床につけた傷、たばこのヤニなどはすべて借主が元に戻さないといけないのでしょうか。民法621条では、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。」とされており、通常の使用で生じた損傷については、賃借人の原状回復義務には含まれないとされています。

■退去時のよくあるトラブル

退去時に、原状回復費として予想外の高額請求をされた経験をした人もいるかもしれません。先に説明したとおり、原状回復義務といっても、何もかもを借りた当初の状態に戻さなくてはならないというわけではありません。通常の使用での損耗や経年変化については貸主の負担なのです。よって、例えば壁紙をわざと破ったりしていないのに張替え費用を請求されたり、通常使用していれば付く傷の補修費用などは借主が支払う必要はありません。

■退去時のトラブルへの対処法

貸主から予想外に高額な請求をされてしまった場合、どう対処すればよいのでしょうか。

まずは請求明細をよく確認し、その中に本来支払う必要がない項目があったら、貸主に確認してみましょう。私が過去に扱ったトラブルでは、貸主に確認したところ、その項目については貸主負担であることを認めて減額してくれた事例があります。

貸主に言っても全く取り合ってくれない場合、まずは国民生活センターに相談してみるとよいでしょう。それでも貸主とのトラブルが解決しないならば、弁護士に依頼して代理人として交渉してもらうという対処法もあります。

■退去する時には請求明細の内容をきちんと確認しよう

賃貸借契約を結んだ物件から退去する時のトラブルについては、誰もが経験する可能性があります。退去時は、まず貸主からの請求明細を確認しましょう。すべてが借主の負担となるわけではありませんので、おかしいと感じたら第三者に相談してみることをおすすめします。

文・幸谷泰造
弁護士。東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻、成蹊大学法科大学院卒業。ソニー(株)の知的財産部で国内外の特許関連業務を担当。その後、弁護士として特許訴訟や無効審判等の係争業務をはじめ、技術系企業の契約関連業務、知的財産デューディリジェンス、知的財産コンサルティングなど、知的財産やIT関連法務に数多く従事。

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