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鞠を思う「蹴鞠のこころ葉」。花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」 Vol.69

  • 2023.2.9
出典 andpremium.jp

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

出典 andpremium.jp

鞠を思う「蹴鞠のこころ葉」。

平安の装束を身にまとい、華やかな王朝文化を今に伝える行事が京都にはいくつもある。サッカーのルーツとされる蹴鞠もそのひとつ。蹴鞠が中国から日本へと伝わったのは今から1400年も前のこと。鞠足と呼ばれる参加者が円になって鹿革の鞠を蹴るもので、蹴る姿の美しさや蹴られた鞠の音を楽しんだのだ。平安時代になると宮中や公家の間で盛んになり、清少納言も『枕草子』に「あそびわざは、こゆみ(小弓)、ご(碁)。さまあしけれど、 まりもをかし」と記し、みっともないけれど蹴鞠もおもしろいと伝えている。
『みたて』が仕立てたのは「蹴鞠のこころ葉」。蹴鞠を行う鞠庭には砂が敷かれ、四隅には北東に桜、北西に松、南東に柳、南西に楓の、式木と呼ばれる木が立てられる。鞠が遠くへ飛ぶのを防ぐ式木。それぞれの枝に和紙で仕立てた葉や花を添え、鞠庭を描いた。そこに鞠は置かれなくとも蹴鞠を思わせるあしらいだ。
千年以上の時を経て、現在では白峯神宮や下鴨神社などに奉納される蹴鞠。なかでも蹴鞠の公卿宗家・飛鳥井家の邸宅跡地に創建された白峯神宮は、鞠の神様・精大明神を祀る神社。4月14日の春季例大祭、7月の精大明神例祭には蹴鞠が奉納され、賑わいを見せている。

photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2021年5月号より。

花屋 みたて

和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。

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