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寝落ち必須のテクニック、「メンタルウォーク」とは?

  • 2023.2.8
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イギリスの神経科学者で睡眠研究の第一人者であるマシュー・ウォーカーが、確実に不眠症に効くイメージワークを一般向けの科学ポッドキャストで披露した。

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自然の映像、森の香り、波の音……。私たちが持つ様々な感覚がメンタルウォークの世界を広げてくれる。photography : Getty Images

深く眠りたいのに、横になると思考が止まらない。最近はそんなことが続いている。CBD入りのハーブティー、ラベンダーの香りがする安眠用のフレグランスミスト、眠りに導くとされるホワイトノイズ。どれを試しても一日の出来事を振り返り続けてしまうし、次々に湧いてくる考えを黙らせることができない。

残念なことに羊の数を数えても解決はしなさそうだ。「あれは迷信です。眠るどころか寝落ちるまでの時間を延ばしてしまうだけですよ」と神経科学の教授であり心理学者のマシュー・ウォーカーは言う。『睡眠こそ最強の解決策である』の著者でもある彼は2022年12月8日、一般向け科学ポッドキャストZoe Science&Nutritionにゲストとして招かれ、彼が推奨するイメージワークを解説した。

散歩にでかけよう。

これはメンタルウォークというメソッド。「よく知っている散歩道を思い浮かべてください。森の中の散歩道、山登りした時や海辺を歩いた時に通った道などです。それをしっかりイメージしてみてください」とウォーカー教授は説明する。

より高い効果を得るためには細部までイメージすることが重要だそうだ。「玄関のドアを開け、階段を下り、散歩に出かけるところから始めます。イメージが鮮明に立ち上がるまで、集中してください」。このルールをちゃんと守れば「数分後には寝落ちているでしょう。気付いたら翌朝、アラームで起こされている状態になっていますよ」

なぜそこまでの効果を期待できるのだろう。メンタルウォークは自然の中の散歩と同じ効果が得られるからだと、不安症の専門家である心理療法士のタニア・テイラーはStylist誌のインタビューで答えている。「脳の知的な部分は自分が安全な場所にいることを分かっていますが、ホルモンや神経伝達物質をコントロールする領域はまったく理解していません。ですから自分の想像力を働かせることによって、心を落ち着かせ、リラックスさせるホルモンの分泌を促すわけです」

前もっての準備が大事。

森や海辺の散歩道が思いつかない場合はどうしたらいいのだろう。ウォーカーもテイラーも昼間にアイデアを探しにいくことをすすめる。バカンスの写真をアルバムで見たり、実際に散歩に出てみたりするのがいいだろう。その場合、寝床でイメージできるように細部にまで注意を向けよう。

催眠療法士でもあるタニア・テイラーさんはツールを使うことも提案している。睡眠導入の催眠オーディオをダウンロードしたり、布団に入る前に心が落ち着く風景の写真を見たり、波や雨などの自然の音を聞いてもいいだろう。これらを用いることで睡眠に没入しやすくなる。

強迫観念にとらわれない。

寝付けないかもしれないという不安に襲われると、実際に眠れなくなってしまう可能性がある。そしてそれが何日も続く可能性があるので注意が必要だ。「眠れないかもしれないという強迫観念は、過覚醒症状にさらなるストレスを加えてしまいます。“できないかもしれない”という不安に支配されるからです。慢性的な不眠症は大抵そのように始まります」とボルドー大学病院センターの睡眠専門医オリヴィエ・コストは以前に掲載された記事で説明している。

もし引き続き寝付けないならば、マシュー・ウォーカー教授は一度起き上がることをすすめる。その時、スマホやテレビなどのスクリーンは避けよう。教授は規則的な睡眠リズム、すなわち毎日同じ時間に起きて寝ることが非常に重要だと強調する。週末も含めてだ。アルコールとカフェインは中途錯覚の原因となり、睡眠が途切れ途切れになってしまう可能性がある。就寝前の3時間は控えよう。強い光も同様だ。布団に着く1時間前から明かりを50%減らしてみよう。完全に暗くしてもいいとウォーカー教授は言う。「暗闇がいかに眠気を誘うか、驚くかもしれませんよ。」

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