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欧州で「戦力外」となった元G大阪ファン・ウィジョは、韓国で復活を果たすことができるのか

  • 2023.2.7
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韓国Kリーグ1(1部)のFCソウルに6カ月間という短期契約でレンタル加入した韓国代表FWファン・ウィジョ(30)が、2月6日、仁川(インチョン)国際空港を通じて日本・鹿児島での2次キャンプに出発したチームに合流した。

空港に到着し、クラブ関係者と会った彼の表情はときめきと緊張が入り混じっていた。

昨年8月、フランス2部降格のボルドーを退団してイングランド・プレミアリーグのノッティンガム・フォレストに移籍したファン・ウィジョは、契約とともに同じクラブオーナーのいるギリシャのオリンピアコスへレンタル移籍した。しかし、ギリシャでは出場機会を得られず、公式戦12試合出場の無得点に終わった。

恩師との再会、同僚の助言…ファン・ウィジョKリーグ復帰の要因は?

このため、早々にオリンピアコスでのレンタル生活を終えることになったが、かといってレンタル元のフォレストに復帰しても公式戦出場は不可能だった。

というのも、国際サッカー連盟(FIFA)の規定では、選手は1シーズンで最大3チームまで選手登録ができるものの、公式戦出場ができるのは2チームのみと定められているからだ。

ただ、秋春制の欧州と日程が異なるリーグであればプレーが可能なため、自然に春秋制でシーズンを実施するリーグから関心が集まった。韓国Kリーグのほか、米メジャーリーグサッカー(MLS)、さらにはかつてガンバ大阪時代に経験した日本のJリーグなどがそれだ。

そのなかで、FCソウルは最も積極的にファン・ウィジョと接触したチームだった。

ファン・ウィジョは空港で報道陣の取材に応じた際、「アメリカなど複数からオファーがあったのは事実です。たくさん悩みました。しかし、(慣れたKリーグにいる)FCソウルに来ることが、再び欧州に出て良い姿を見せるきっかけになると考えました」と伝えた。

ファン・ウィジョ

Kリーグ復帰に際し、昨年に自身のようにFCソウルで短期レンタル生活を過ごしたオリンピアコスの同僚MFファン・インボム(26)に助言を求めた。ファン・インボムは昨年、ロシアのウクライナ侵攻の影響でプレーの場を探していた当時、FCソウルに3カ月間という短期契約でレンタル加入し、現在のオリンピアコスを通じて欧州に再進出した経緯がある。

また、セルティックやプレミアリーグで活躍した欧州組の先輩であり、現在はFCソウルで選手生活の黄昏期を過ごすMFキ・ソンヨン(34)が、ファン・ウィジョに先に電話をかけてきたという。「ソンヨンさんが(自分のような状況で)経験した部分や感じた点を話してくれました。機会があればFCソウルに来てほしいと言っていました」と彼は笑う。

キ・ソンヨンは、ファン・ウィジョが欧州でのキャリアに問題が生じただけに、無理にまた別の海外リーグに挑戦するより、韓国国内で安定した生活を送りながら、徐々にフォームを引き上げることを望んだ。

加えて、現在のFCソウルを率いるのは、ファン・ウィジョが2013年に城南一和天馬(ソンナム・イルファ・チョンマ/現・城南FC)でプロデビューした当時に指揮を執ったアン・イクス監督だ。

5日にFCソウルが公開した映像を見ると、アン監督は久しぶりに再会したファン・ウィジョを見て心から喜んでいる様子だった。「ルーキー時代を思い出しました。6カ月間、ルーキーの気持ちでプレーしなければならないと思っています」とファン・ウィジョは話した。

ファン・ウィジョが背負う責任

ファン・ウィジョと名誉回復を狙うFCソウル、そしてアン監督の三者は、それぞれが「Win-Win-Win」の関係となれるだろうか。

当初、ファン・ウィジョがKリーグ復帰を打診した際、FCソウル以外にも一部チームが関心を持っていた。

しかし、短期レンタルはリスクが伴う。春秋制を敷くリーグでは、夏に短期レンタルで合流するのであれば、シーズン後半に向けて戦力増強効果が期待できる。だが、シーズンが始まる冬に合流し、前半戦折り返しとなる夏に去ってしまうのであればまったく別の話だ。

ファン・ウィジョのようなスター選手が自身の技量を発揮できたとしても、後半戦は彼の代替者を確保できるかが不確実であり、場合によってはチームの戦力ダウンとなりかねない。つまり、ファン・ウィジョは単純なパフォーマンス以上の価値をチームにもたらさなければならないのだ。

ファン・ウィジョの合流に際し、アン監督は「ウィジョが持つプロフェッショナリズム、国家代表としての献身と犠牲に対する考えが、チームに良いメッセージをもたらすだろう」と述べた。

また、かつて2019年にFC東京でプレーした韓国代表で、FCソウルのキャプテンを務めるMFナ・サンホ(26)は、「自分たちが(昨季)多くのゴールを決められなかった部分を、ウィジョさんが埋めてくれると思います」と、直ちに攻撃陣に自信をもたらしてくれると期待した。それとともに、「ヒョン(兄さん)、6カ月で二桁得点はしていきましょう」と冗談交じりに述べた。

さまざまなリスクを背負うなか、指揮官とチームメイトからも期待を一身に受けるファン・ウィジョ。いつにも増して大きな責任感を抱くなか、FCソウルのファン・サポーターの前で活躍を披露することはできるだろうか。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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