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スタイリスト・岡尾美代子と訪れる、北欧の路面電車が走る土佐の街

  • 2023.2.7
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スタイリスト・岡尾美代子

ごめん、ごめん。いいの、いいの

後免行きの電車と、伊野行きの電車がごっつんことぶつかりました。後免行きの電車は「ごめん、ごめん」と言いました。伊野行きの電車は「いいの、いいの」と言いました。……これ、私が子供の頃に好きだった、高知の路面電車の(しかもかなりローカルな)お話です。

ただこれだけの話なのに、電車同士の会話がおもしろくて、従姉のお姉さんに「えーっ、またあの話をするの」と嫌がられながらも、繰り返し話してもらった記憶があります。そう、高知市内には東西南北を十字に走る路面電車があって、その東西の終点の駅が「後免町」と「伊野」という、なんともユニークな名前なのです。

高知県の「とでん」の路面電車外観
左がいわゆる「とでん」の路面電車のデザイン。赤は590形。
元シュツットガルト市電の車両の運転席
ドイツ、元シュツットガルト市電の車両の運転席。計器がカワユス。
元リスボン市電の車内
長いつり革が目を引く、これはポルトガルの元リスボン市電の車内。
元オスロ市電の電車外観
はりまや橋交差点を走る、元オスロ市電の電車。うわっ、水玉だ!
高知県の江ノ口川
市内を流れる江ノ口川。この川に架かる橋の上にも停留所がある。
シュツットガルトの街の路線図
一度取材で行ったことのあるシュツットガルトの街の路線図を発見。

その高知の街を外国の電車が走っていると聞いたのはかれこれ何年前になるのかな。市内に住む妹がその頃の高知の最新情報として教えてくれたのだけど、それを聞いても「どうして外国の電車?」という疑問はまったく浮かばず、土佐っ子は変わったことが好きだから、なんて勝手な解釈をしていたのですが、本当のところはどうなの?と、今回「とでん」こと土佐電気鉄道株式会社に伺ってみることに。

高知県の金魚電車外観
車庫から出る「金魚電車」(と呼ばれているそう)。口がね、あるの。
高知県の金魚電車に描かれたイラスト
「金魚電車」にはいろんなイラストが描かれてる。旗持つクマとか。
元グラーツ市電の外観
元グラーツ市電。すっかり街に馴染んでる、ってか馴染み過ぎ?
電車の降車ボタン
これは車掌さん用の降車ボタン。なんて書いてあるんだろう?
元ポルトガルの電車の外観
車庫に停留中の電車の外側はスーパーマーケットの広告なのだそう。
ポルトガルの電車の運転台
上と同じポルトガルの電車の運転台。「電車でGO!」な気持ち。

「“世界の電車”計画は、平成元(1989)年に社長のアイデアで始まったものです。というのも、当時はマイカーブームで、世間では電車の線路を邪魔だと見る風潮もあり、ここでひとつ“路面電車ここにあり!”という機運を盛り上げるために企画されたんです」。ふうむ、土佐の人はロマンがあるというか、考えることがまっこと大きいきねえ(なぜか急に土佐弁)と、妙に納得する私。

現在「とでん」が所有する外国の電車は4台。で、実際に街中を走っているのは、オーストリアの元グラーツ市電と、ノルウェーの元オスロ市電の2台なんだそう。

では早速、街を走る電車に会いに行ってまいります。ゴ〜。

電車の外観
高知のおまち(繁華街の意味)の〈ルイ・ヴィトン〉の前も通る〜。
元オーストリアの電車内
オーストリアの電車の窓には白いカーテンが。なんだか家みたい。
電車の外観
いよいよ登場!「ごめん」行き電車〜っ。もうすぐ終点ってとこ。
「とでん」のシンボル「ごめん」の行き先表示板
「とでん」のシンボル「ごめん」の行き先表示板。“ん”の字がいい。
土佐土産「ごめんせんべい」
土佐土産「ごめんせんべい」。販売者は〈ちんちん電車が好きな会〉。
スタイリスト・岡尾美代子
取材にかこつけて記念撮影。正直、かなり楽しかったです(てへ)。

profile

岡尾美代子

おかお・みよこ/スタイリスト。高知県生まれ。09年4月仲間と小さなデリ〈LONG TRACK FOODS〉をオープン。著書に『おやすみ モーフィ 岡尾美代子の毛布ABC』など。ちなみに早く他界した母方の祖父は路面電車の運転士だったそう。

Instagram:@miyokookao

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