1. トップ
  2. お仕事
  3. 【調査】校庭がスケートリンクに!北海道の冬の風物詩…どうやって作っているの?

【調査】校庭がスケートリンクに!北海道の冬の風物詩…どうやって作っているの?

  • 2023.2.6
  • 231 views

子どもたちの笑顔を、地道な作業が支えていました。

視聴者からの疑問や悩みを調査するHBC報道部の「もんすけ調査隊」。

今回の依頼人は、静岡県在住。
「進学した息子が道東に住んでいて、小学校でスケートリンクを作ったと聞きました。どんなふうに作っているのか気になります。調べてください」

校庭がスケートリンクに。
冬の北海道の風物詩の一つです。

特に道東はスケート王国とも言われ、数多くのスケート選手が、オリンピックでも活躍しています。

しかし、最近は、少子化やリンクの作り手の減少で、校庭にスケートリンクを作る学校も減っているそう。

依頼人は「息子はボランティアで行っていたみたいなんですけど、枠を作る手伝いをしてきたと聞いて、どんなものなんだろうと思った」と話します。

雪や寒さには、あまり縁のない地域で育ったという依頼人。

そもそも校庭のスケートリンクは、どんな方法で作るのか?
水をまくだけでできるのか?

謎を解明するため、調査員は、毎年スケートリンクを作るという帯広の大正小学校に向かいました。

Sitakke

雪が積もる直前の12月3日、あたりがまだ暗い、午前6時前…

一体、どうしたのか?

小学校には、似つかわしくない重機が、グラウンドを走り回っています。

Sitakke

これは「鎮圧」と呼ばれるリンクを作る前の作業。
霜柱などで、デコボコになったグラウンドをならし、滑らかなリンクを作るための、大切な準備です。

運転しているのは、斎藤一成さんら、PTAのメンバー。
斎藤さんたちは、ここ大正小学校の卒業生で、今は、農業を行っています。
だから、こんな重機を扱うことができるのです。

Sitakke

斎藤さんは、「冬休みや土日に、ちょっと学校に来て、すぐ滑れるような環境を整えてあげられる限りは続けていければなと思いますね」と話します。
ほかのPTA役員も、「綺麗なピカピカなリンクを作りたいです今年も。鏡のような」と意気込みます。

鎮圧作業は雪が降るまで続けられ、雪が校庭を覆う頃になると…

Sitakke

再びグラウンドには重機の姿がありました。
今度は「雪ふみ」という作業です。

雪ふみというのは、雪を踏み固め、水の受け皿を作るための作業のこと。
これを行わないと、グラウンドに水をまいても地面に染み込んでしまい、きれいなリンクが作れないのです。

Sitakke

これで完成…ではありません。

PTA会長は、「いやまだ今日の雪が足りないので、また明日雪が降る予報なので、その後も踏み固めて下地ができるかなっていう感じですね」といいます。

雪ふみの目安は、厚さ10㎝くらい。
やっと水を撒く下地が完成です。

Sitakke

PTAの皆さんが、ここまで3週間ほど作業を続け、ようやく「水をまく」ところまで
たどり着きました。

ここからリンクを作るには、さらに、400トンの水を数回に分けてまかないと完成しないのです。

Sitakke

ちなみに400トンの水は、一般的な学校のプール1杯分に相当します。

これは、1月4日現在のグラウンド。
年末から水まきを始め、この日までに、180トンほどの水がまかれた状態です。

Sitakke

一見完成したように見えますが、凹凸のないリンクにするには、最後の仕上げが必要。
深夜1時近くになると、まいた水もたちまち凍る、気温マイナス20℃。

鎮圧作業から33日、ようやく、きれいなスケートリンクが完成しました。

Sitakke

斎藤さんは、「いいリンクができていると思う。スケートが好きな子、嫌いな子がいるとは思うんですけど、みんなが経験できるのは小中学生のうちだけなんで。うまい下手関係なくみんな経験してほしいですね」と話していました。

1月17日には…早速スケートを楽しむ児童たちの姿が!

Sitakke

1周220メートルの見事なスケートリンクが、小学校に誕生しました。

大正小学校の髙山亮司校長先生は、「寝る間を惜しんで献身的なリンク造成をしていただきまして、大変感謝しているところです。普段子供たちの成長の様子をはっきりと見ることはできませんが、このリンクに関しては日に日に上手になる様子が見えて、非常に幸せを感じます」と話します。

小さい頃からスケートに慣れ親しんでいる児童たち、自由自在にリンクを滑ります。
もしかしたら、未来のオリンピック選手が登場するかもしれません。

Sitakke

今年で卒業する6年生たちは「夜も疲れている中で作ってくれている」「すごくきれいで滑りやすいです」「今までの中で、一番いいような気がする」などと話していました。

調査結果は、「校庭のスケートリンクは、PTAの人たちが子どもたちへの愛情を込めて、1か月かけてつくる」でした。

校庭に作られるスケートリンクのことを地元では「陸(おか)リンク」とも呼んでいますが、今シーズンは、こんな日程でつくられました。
・鎮圧 12月3日~20日(期間内の土日に複数回)
・雪ふみ 12月21日~26日(雪が積もった日)
・水撒き 12月27日~1月4日 (1日20~40トン水を撒く)

帯広市内の小学校、26校のうち、PTA手づくりのスケートリンクは、5校。
一方、業者に任せているのは、21校で、実は、外部に任せている学校の方が多いんです。

Sitakke

長野オリンピック・金メダリスト、帯広出身の清水宏保さんは、陸(おか)リンクの重要性について「子どもたちが、温度や風の影響を受けやすい屋外の『陸リンク』ですべることは、将来、世界と戦える選手に育つ可能性がある。オリンピック選手の養成には必要」と話していました。

文:HBC報道部・もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部IKU編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は放送時(2023年1月26日)の情報に基づきます。

元記事で読む
の記事をもっとみる