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三日坊主の原因は、高過ぎる目標のせいかも? 30日で習慣を定着させるメソッド

  • 2023.2.5

習慣にしたいことが見つかり、いざ始めてみたものの、最初はいいけれど、途中で挫折…。そんな経験をしたことがある人は多いはず。アン子の英語勉強法を例に、今度こそ脱・三日坊主! 習慣化コンサルタント・古川武士さんが脱・三日坊主の習慣化メソッドを教えてくれました。

“いつもどおり”を求める習性を利用して習慣化。

習慣は、継続するからこそ「習慣」といえるのであって、自分を変えるうえでも日々続けることが不可欠に。それがわかっていても、なぜ三日坊主になりがちなのか。習慣化メソッドを知る前に、そもそも人には習慣が定着しにくい特性があると理解しよう。

「人間には、環境の変化に振り回されないため、心身を一定に保つ機能が備わっています。例えば、体温の維持はその一つ。人間にとって、いつも通りは心地よく、変化は脅威なのです。そのため新しい習慣が身につきにくく、いつものルーティンに戻ってしまうと私は考えています」(古川さん)

三日坊主になるのは、むしろ体が自分を守ろうと正しく機能しているということ。強力な特性だけれど、それを逆手にとって定着させるように体系づけたのが、古川さん考案の習慣化メソッド。

「新しい習慣を、体に“いつもどおり”と認識させるのです。習慣の内容にもよりますが、おおよそ30日継続できれば、習慣としてインプット可能。そこまで続けるのが難しいのですが、このメソッドでは、それまでに起こり得る抵抗への対策を、3つの段階に分けて示しています。メソッドどおりに行えば、誰でも習慣化できるはず。定着したら、あとは歯磨きのように特別な意志なく、ラクに続けられるようになるでしょう」

キホンの心得とは?

30日続けると習慣が定着する。
やり始めてからやめたくなる「反発期」、イレギュラーな予定に振り回されて継続が難しくなる「不安定期」、習慣に飽きてくる「倦怠期」という3段階の抵抗を経て、30日ほどで定着する。これは勉強や日記、片付けなど行動習慣に関わることで、ダイエットなど身体習慣や、ポジティブシンキングなど思考習慣は、もう少しかかる場合もある。

ハードルを下げてでも毎日やる!
習慣は、毎日やるからこそ身につくもの。週に2~3回など不定期でやると、体が覚えにくい。仕事などの兼ね合いで毎日やるのが難しい場合もあると思うが、例えばランニングなら5分のウォーキングに変えるなど、とにかく毎日続けること。

例えば、英語の勉強を習慣にするなら…。

アン子 32歳・メーカー勤務。大学は英文科卒。社会人になって英語はご無沙汰に。昨年のブルーノ・マーズの来日公演に感激し、学び直しを決意。

【反発期1日~7日】とにかく続けること!

物足りないくらいの習慣から始めよう。

気合十分で始めながらも、簡単にやめたくなるのがこの期間。

「私が習慣化のコンサルをしている150名のクライアントさんに、過去の挫折経験を聞いたところ、42%の人が最初の7日間で挫折したと答えています。これは『反発期』『不安定期』『倦怠期』のうち最も高い数値で、そのことからも一番の難所といえるでしょう」

ここを乗り切る秘訣は、とにかく続けられるように、習慣のハードルを低く設定すること。

「最初から高い目標を設定してしまうと、いつものラクな習慣に戻そうという力が大きく働き、挫折の原因に。まずは物足りないくらいに小さな習慣から、徐々に慣らしていきましょう。あとは、簡単に記録しておくことも大切です」

Point 1:“ベビーステップ”で始める。

ベビーステップ、つまり小さな習慣から始めること。やり方としては、時間を5分、10分と短めに。または、読書なら1ページ、ランニングならまずはウォーキングなど、内容を軽くするのもOK。アン子の場合は英語の勉強で、英文科を出てはいるけれど、10年近く英語から離れているし、ベビーステップとのことで英単語1個覚えることからスタート。

Point 2:シンプルに記録する。

習慣の実績を「」で記したり、「本1ページ」など数値や内容を書いたりと、面倒と感じない程度に簡単に記録しよう。「なんとなく」がなくなり、日々の行動のチェックや振り返りができるうえ、成果を実感すればモチベーションもアップ。記録ツールはLINEユーザーならKeepメモが便利。身近に使えて、記録した日にちや時間が表示されるのも。

【不安定期8日~21日】続ける“仕組み”を作ろう。

習慣のハードルを上げ、継続のための一工夫を。

8日目以降は、新しい習慣をやることに慣れてきたタイミング。

「反発期はいわばウォーミングアップのような期間なので、習慣のハードルを物足りないほど下げた状態でスタートしましたが、本来はもっと高い目標を持っているはず。ここでそちらにシフトするのです。いつまでもベビーステップでは達成感を得られませんし、自分を変えるところまでいくには道のりが遠い。ただ、ハードルを上げるとそれなりに時間や負荷がかかるので、習慣にムラができたり、サボったりしがちになります」

そこで不安定期に行いたいのが、続ける“仕組み”づくり。

「やる時間などをパターン化する。また、例外ルールを設けて計画に柔軟性を持たせるのも有効です」

Point 1:習慣のハードルを上げる。

ベビーステップの次は、達成感や自分の成長を促すため、例えば読書なら1ページから1章、ウォーキングから本来の目的のランニングにシフトするなど、習慣のハードルをアップ。アン子は学生時代から英文法に苦手意識があったので、単語1個から、英文法の参考書を30分読むことに。

Point 2:習慣をパターン化する。
パターン化とは、習慣を一定の時間や場所、やり方で行うこと。習慣は無意識レベルで生活に組み込まれているものなので、サボりたくなるこの時期こそ、意識的に生活に組み込み、定着を促そう。公私の予定に振り回されないパターンを見つけるのがコツで、アン子は家でテレビを見ていることが多い夜9時から30分を英語学習に設定。

Point 3:例外ルールを設ける。

毎日続けようと思っても、気分が落ち込んでいるなど、やる気にならない日も出てくるはず。ただ、やっぱり習慣は毎日続けてこそ定着するもの。「こんな日はベビーステップに戻してOK」と無理なくできる範囲の例外ルールを設けておこう。アン子は会食でお酒を飲んだ日を例外ルールに。

【倦怠期22日~30日】習慣に変化をつけよう。

視点をずらして、モチベーションアップ。

不安定期を乗り越えると、次は習慣に飽きてくるという。

「やる気がなくなったり、やっていることに意味を感じづらくなったり、マンネリ化して物足りなさを感じたり。習慣として定着する直前の、最後の抵抗の時期といえます。挫折の可能性がまだ残っているので、上手に乗り切るための工夫が必要です」

ポイントは、習慣に新鮮さを感じるようにすること。

「まずは、身につけようとする習慣はそのままに、環境を変えるなど変化をつけましょう。また、次の習慣を計画するのも有効です。少し飽きがきている習慣が単なる通過点と感じられ、『次はあの習慣化が待っている!』とモチベーションのアップにも繋がります」

Point 1:習慣にアレンジを加える。

アレンジの加え方としては、習慣の内容を変える、あるいは環境を変えるなど。アン子の場合、いつもは家で英文法の参考書を読んでいるので、場所をカフェに移したり、参考書を替えてみたり。また、ご褒美的なアレンジもおすすめで、例えば英語圏の映画を英語の字幕で観るなど。逆に、友だちに習慣化を公言するなど、危機感を煽るようなアレンジでも。

Point 2:次の習慣を計画する。

「倦怠期」になると、その時にやっている習慣に、何かプラスするともっと効果が上がるのではという気づきが出てくるそう。例えばアン子なら、英語の勉強には集中力が必要。そのための手段として、次の習慣に写経を計画するなど。この時点ではプランを立てるのみ。1つの習慣化が完了していない時から欲張って始めると、挫折の原因になるので注意。

古川武士さん 習慣化コンサルタント。「習慣化コンサルティング」代表取締役。習慣化講座、個人コンサルなどを行う。著書に『30日で人生を変える「続ける」習慣』(日本実業出版社)ほか。

※『anan』2023年2月8日号より。イラスト・福田玲子 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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