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『ブラックパンサー』チームは主演俳優の死にどう対応した?白紙の可能性から制作続行を決意するまで

  • 2023.2.4
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マーベル・スタジオやディズニーは、MCU映画『ブラックパンサー』で主演を務めたチャドウィック・ボーズマンの死をどう乗り越えた?マーベルのプロデューサーであるネイト・ムーア氏が、主演俳優の死という悲劇を乗り越え、一時は白紙になる可能性も浮上したという続編『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が完成するまでの経緯を明らかにした。(フロントロウ編集部)

大腸がんにより43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマン

2020年8月にステージ4の結腸がんによって43歳の若さで亡くなった俳優のチャドウィック・ボーズマン。チャドウィックは2016年にステージ3の大腸がんと診断され、以来、化学療法などを受けながら仕事を行なっていたが、その事実は家族やごくわずかな関係者のみにしか知らされていなかったため、彼が亡くなったというニュースは世界中の多くの人々に衝撃を与えた。

画像: 大腸がんにより43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマン

チャドウィックが闘病していたことは、主演していたマーベル映画『ブラックパンサー』のキャストや制作陣にも伝えられておらず、シリーズのプロデューサーを務めたネイト・ムーア氏も、彼が亡くなったと聞いたときには、すぐには状況を理解できなかったと認めている。

先日、米Deadlineとのインタビューに応じたネイト氏は、チャドウィックの訃報が伝えられたときのことを次のように振り返っている。「ルームランナーでランニングをしていた時に電話を受けたのですが、『ちょっと待った。何が起きたって?』という感じでした。電話をしながら、感情として経験するのではなく、ひとつの考えとして頭のなかで整理していました」

最初は、『だから、あれや、あれや、あれが起こったのか』と、“今思えば”という記憶をさかのぼったというムーア氏だが、「友人」を亡くしたという事実に気付き、次第に感情が込み上げてきたという。「その後で感情が込み上げてきて、『これからどうすればいい?』と考えました。『そもそもこの作品を作るべきなのだろうか?』と。主演俳優を失ったというだけでなく、私にとっては2つの作品を一緒に作った友人を失ったということでもあったので、感情を入れることなく反応するにはどうすればいいのか、分かりませんでした」。

チャドウィック・ボーズマンの代役はそもそもアイディアになかった

ティ・チャラ役にチャドウィックの代役を立てないという決定は、早い段階で正式に発表されていた事実だが、ムーア氏は「キャスティングし直すという考えは一度も浮かびませんでした」と、代役を立てる考えはそもそもなかったと語っている。

「レティーシャ(・ライト/シュリ役)やアンジェラ(・バセット/ラモンダ役)、ルピタ(・ニョンゴ/ナキア役)に、『やあ、これが新しいティ・チャラだよ』などと言う場面は想像できなかったのです。私たちも人間ですから、信じられるものにして、感情を込められるものにしなければいけませんから」。

画像: チャドウィック・ボーズマンの代役はそもそもアイディアになかった

ディズニーの傘下にあるマーベルだが、続編の制作の是非を検討していたときには、ディズニーから続編は絶対に作ってほしいという注文はなかったという。「ディズニーから『絶対にこの作品は作ってください。方法を考えてください』と言われたことはありません」と明かしたムーア氏だが、もし作るのであれば“マーベルの責任”でとも言われたとして、「『もし作る必要性を感じないようでしたら、作らないでください。皆さんがこの作品を作りたくないのであれば、私たちのためにという理由でこの作品を作らないでください』と言われました」とも明かした。

チャドウィックの妻シモーネ・ボーズマンと一緒に制作を進めた

最終的に、続編の制作の決定権は、マーベル・スタジオのCEOであるケヴィン・ファイギ氏と、ムーア氏に委ねられることに。2人は、チャドウィックの家族の意思を尊重するために彼の妻であるシモーネ・ボーズマンに確認すると、シモーネからは「チャドはきっと映画を作ることを私たちに望むと思います」と返ってきたという。

画像: チャドウィックの妻シモーネ・ボーズマンと一緒に制作を進めた

続編の制作を決めた後も、事あるごとにシモーネの意思を確認するようにしたとネイト氏。「すべての過程において、私たちはシモーネの了承を得ながら進めました。『ああ、それはやらないでください』とご家族から言われるようなことは、いかなる過程においてもやりたくなかったので。それから同時に、キャラクターたちにも、人々が経験したようなことを経験して偲んでもらって、それが浄化のようになればと思いました」と米Deadlineに語って、チャドウィックの家族も納得できるものを作ることを最優先にしたと明かした。

(フロントロウ編集部)

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