1. トップ
  2. おでかけ
  3. 【六本木】泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅳ 不変/普遍の造形 住友コレクション中国青銅器名品選

【六本木】泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅳ 不変/普遍の造形 住友コレクション中国青銅器名品選

  • 2023.2.4

六本木の泉屋博古館東京では「泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅳ 不変/普遍の造形 —住友コレクション中国青銅器名品選―」展が2月26日(日)まで開催されています。

出典:リビング東京Web
3000年前の中国青銅器の造形美

約3000年前日本では、縄文時代が終わりにさしかかった頃、中国大陸では殷や周といった古代王朝が栄えており高度な青銅器文化が発達していました。神々に捧げるまつりのための器が発達し、当時貴重であった青銅が使用されていました。

出典:リビング東京Web

ホール内展示スペース夔神鼓(きじんこ)殷後期(前12世紀)泉屋博古館蔵

青銅器は、絵画や彫刻と比較すると美術品としては馴染みが薄い印象をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、会場で住友コレクションの青銅器を実際に鑑賞して見ると完成度の高さに驚きを感じます。作品の造形や文様が3000年前の古代のものとは思えない位緻密なのです。

出典:リビング東京Web

展示風景

円渦文敦(えんかもんたい)は、穀物を盛る器です。とてもユニークな形状です。三脚のついた器で半球状の蓋は逆さに置いたときにも安定するように作られています。洗練されたデザインですね。

出典:リビング東京Web

円渦文敦(えんかもんたい)戦国前期(前5世紀)泉屋博古館蔵

青銅器の製造方法はいまだに解明されていない部分もありますが、外側と内側の鋳型を作り、その間に青銅を流し込むという工程です。細やかな文様が全体に施された薄作りの器からは、鋳型を造るための高度な技術があったことがうかがえます。

器の内側に鋳込まれた文字は金文と呼ばれ、現在の私たちが使用している漢字の直接の祖先にあたる文字です。展覧会のキャプションには釈文・現代語訳もありますので是非注目してみて下さい。

出典:リビング東京Web

展示風景

予備知識がなくても大丈夫

中国青銅器についての予備知識が無くても、種類・用途・文様・モチーフ・金文・鑑賞の歴史など、さまざまな角度から丁寧な解説の表示があります。青銅器年表を参考にする事で造形美の変遷について理解が深まるかと思います。

出典:リビング東京Web

虎卣(こゆう)は、卣(ゆう)と呼ばれる酒器で、酒や酒に香りづけをするための香草の煮汁を入れたとも言われています。虎が人を抱えている形をしていますが頭部上には鹿、虎、夔龍(きりゅう※古代中国神話の怪物)等、様々な動物や獣が装飾されています。形状、文様を360度鑑賞できる展示ですので充分見応えがあります。

出典:リビング東京Web

虎卣(こゆう)殷後期(前11世紀)泉屋博古館蔵

デジタルコンテンツ

今展では3D計測を用いたデジタルコンテンツの展示もあります。新しい鑑賞スタイルで青銅器に関する知識が深められ、新たな魅力も発見できそうな展覧会です。

出典:リビング東京Web

※デジタル画像は特別に許可を得て撮影しています。

儀式の際に酒や水を注ぐために用いられた兕觥(じこう)という器です。器全体にゾウ、ウサギ等動物モチーフとした装飾がされており、細やかな文様にも注目です。

出典:リビング東京Web

展示風景 虎鴞兕觥(こきょうじこう)西周後期(前9-8世紀)他 泉屋博古館蔵

殷周時代の動物型の酒器、「犠尊(ぎそん)」をもとに、北宋時代に模倣して製作されたものです。まるでキャラクターグッズの様に可愛らしい形ですね。

出典:リビング東京Web

金銀錯獣形尊(きんぎんさくじゅうけいそん)北宋 (10-12世紀)泉屋博古館蔵

住友家十五代当主住友春翠は、煎茶席の床飾りとして青銅器を購入したのがコレクション収集のきっかけでした。「中国青銅器鑑賞の歴史」を紹介するコーナーでは、床飾りをイメージした設えの展示もあります。

出典:リビング東京Web

展示風景

「港区青銅器サミット2023」と「港区内3館をめぐる 中国古代青銅器デジタルスタンプラリー」

今回の展覧会で、港区の中には中国古代青銅器の名品が大集結しています。これを記念して、中国古代青銅器を所蔵、展示している根津美術館・松岡美術館との連携イベント「港区青銅器サミット2023」(開催終了)と「港区内3館をめぐる 中国古代青銅器デジタルスタンプラリー」が2月5日(日)まで開催されています。

出典:リビング東京Web

デジタルスタンプラリーでは2月5日(日)までに3館でスタンプを獲得すると、こちらの鴟鴞尊(しきょうそん)の3D画像がスマホから閲覧できます。

出典:リビング東京Web

鴟鴞尊(しきょうそん)殷後期(前13-12世紀)泉屋博古館蔵

専用アプリからダウンロードすると画面に鴟鴞尊(しきょうそん)が現れます。愛らしい姿ですね。3Dで見ると青銅器がより身近に感じられますね。

出典:リビング東京Web

スマホからダウンロードしたデジタル3D画像

鑑賞前は青銅器については難解なイメージがありましたが、丁寧な解説の表示を読みながら鑑賞することで理解が深まり、新たな魅力も感じられました。3000年前の作品ですが青銅器の文様、文字を通して古代の人々からのメッセージが伝わってくるような印象を受けました。国内では希少な中国青銅器の入門書も刊行されていますので興味のある方は購入することができます。 デジタルスタンプラリーといったイベントもありますのでこの機会に港区周辺の美術館も併せて青銅器を鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

元記事で読む
の記事をもっとみる