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赤ちゃんと2人きり、給料ほぼなし…それでも「遠距離婚」を選んだ夫婦の“決断”

  • 2023.2.4
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「遠距離婚」「週末婚」を選んだ夫婦の事情とは…
「遠距離婚」「週末婚」を選んだ夫婦の事情とは…

単身赴任とは異なる、意図的に“一緒に暮らさない”「遠距離婚」や「週末婚」をしているカップルの話を耳にするようになりました。子どもがいないケース、いるケースの両者があります。今回は、子どもがいながら遠距離婚、週末婚を選んでいる夫婦をご紹介します。

お互いの夢のために「遠距離婚」を選んだ夫婦

大学で講師を務める真澄さん(33歳、仮名)と国雄さん(38歳、同)には3歳の子どもがいます。子どもが生まれる前、夫婦一緒に生活をしていた当時、会社員だった国雄さんはある職人になる夢が諦めきれず、弟子入りする先を探していました。そんな中、真澄さんの妊娠が分かったのとほぼ同時期に、弟子入り先が見つかります。

夫が会社員をしながら「職人になりたい」という夢を持っていたこと、受け入れ先を探し、節約・貯金して頑張っていたことを知っていた真澄さんは、送り出すことを決意しました。もちろん不安は拭えません。

宮城県への弟子入り期間中、給料はほぼ出ないため、国雄さんの生活だけで精いっぱいの状況です。帰宅するときは新幹線でなくバスを使うなど、節約は続きます。

「それでも妻は、『赤ちゃんの桜(仮名)と私の2人なんだから、お金はかからないし大丈夫』って言ってくれたんです。本当にありがたいです。弟子入りして丸3年。ようやく職人らしいことができてきたかなと思っています。早く一人前になって、妻と子どもに恩返ししたいです。子育てを任せっきりにしているのは、申し訳ないと思っています。

妻も、今の大学での仕事に誇りを持って続けていますし、家族3人が一緒に暮らせるのはいつになるか分かりません。それでも毎日、連絡を取り合っていますし、月に一度は会います。お互いを思いやる気持ちがあれば、それで充分だと僕は思います。一度の人生ですから、お互いのやりたいことを尊重し合う気持ちが一番大切なのではないでしょうか」

真澄さんは、小さな子どもの保育園の送り迎えから、大学での仕事、おそらく授業の準備など、並べたらきりがないほどやることが多かったと思います。それでも夫の夢を応援する、自立した妻だと感じます。

金継ぎ職人を目指す、農業のために地方へ移住する、民宿を始める……。こうしたさまざまな夫側の夢を「わがまま」「ジコチュー」「家族のことを考えていない」と斬り捨てる妻の話が圧倒的に多いので、真澄さんの事例は印象的でした。

子育ての価値観が違う2人が選んだ「週末婚」

葵さん(40歳、仮名)と宗弥さん(40歳、同)には3歳と7歳の子どもがいます。長男が5歳になった頃から、2人は「週末婚」をスタートさせました。理由は、子育てに関する価値観の違いです。

葵さんは自然派で、子どもには布おむつを使い、オーガニックな物を食べさせ、テレビやゲームなどにはなるべく触れさせたくありません。しかし、宗弥さんは全く逆。スナック菓子やファストフードも食べたければ食べればいいし、ゲームだって今の時代、プログラミングを学ぶにはいいツールなのだから、やらせればいいという考え方です。

それまではお互いのことを認め合う2人でしたが、子育てに関する価値観がこうも違うと、一緒に暮らすのは困難極まりないもの。何度も話し合いを重ねましたが平行線が続き、交わることがありません。

そこで、葵さんが「自分の見ていない範囲でそれをするのは構わない」と切り出しました。家の中では、葵さん流の子育てをし、宗弥さんと子どもが2人で出掛けたときにはファストフードを食べたり、ゲームをしたりすることにしたのです。

とはいえ一緒に暮らしているので、ゲームや、宗弥さんが買ってきたお菓子などは同じ空間にあります。すると、やはり子どもはやりたくなるし、食べたくもなるもの。「パパと一緒のときはいいのに、ママがいたらダメ」という状況を子どもが理解することはできず、ギクシャクした状態に。葵さんと宗弥さんの言い合いも増えました。

このままでは子どもが不安定になってしまう。2人は話し合いの末、週末婚をすることを決めます。

「彼の言い分も分かる。でも、自分の考えを曲げられないんです。自分の信じた子育てをせずに後悔したくない。『パパと一緒に暮らさない』と知ったらショックを受けるかな…と心配したのですが、逆に子どもは週末、パパのところへ泊まりに行ったらゲームができる、スナック菓子が食べられると喜んで、すんなり状況を受け入れてくれました。

上の子は7歳なので、どうしてこういう状況なのかということを改めて話しました。ちゃんと理解してくれたかは分かりませんが、自分たちのためにそれを選択してくれているんだと思ってくれたようです。

夫が言うように、これからの時代、プログラミングは必須だと思いますし、そのためのツールとしてのゲームが最適であることも理解しています。そして、世界中どこに行っても食べられるジャンクフードに触れずに成長することが、いいことなのかどうかも分かりません。友達をなくすかもしれないし。

そう考えると、日常的ではなく、週末にそれを子どもたちが体験するのはいいことかも、と思えるようになりました。別居ですが、夫の基地があるというイメージです。平日も一緒に夜ご飯を食べますし、そのまま泊まっていくときもあります。今の形が私たちの家族の在り方なんです。うちの両親には理解してもらえませんが、言い争いはなくなり、仲良くなっていっている感じです」

週末婚も、妻側の経済的自立がなければ実現しません。子どもが小さなうちは、何かあったら行ける距離の方が安心だと思います。子どもの気持ちは、大人に理解できるものではないので、そこには細心の気遣いを。

それぞれのご家族は共に、お互いを尊重し、思いやった結果の形です。我慢し続けて一緒にいる仮面夫婦の悩みを抱えている人には、参考になるのではないでしょうか。「家族はこうでなければならない」という定義はいったん頭の中から追い出し、自分たちで徹底的に話し合って決める――。自分たちなりの“幸せな夫婦”をつくり上げていただければと思います。

「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美

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