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北国で新年を祝う。

  • 2023.2.4
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パリから日本へ飛んで、今日は番外編をお届けしたいと思います。

今年は、実に3年ぶりに日本でお正月を過ごすことができました。やっぱり日本のお正月はいいなあ……、おせちを作る手を動かしながら、あらためて古くから伝わる意味や習わしを考えてみると、これは“祈りの料理”だなあ、と感じました。家族の幸せや安寧の願いを込めて一つ一つ折り重ねていくハレの家庭料理。故郷に戻れなかった日々の分も合わせて、これは親孝行!と思いながら盛り付けていきました。

 

(左上から時計回りに)宇部蒲鉾、鯛の昆布〆、スモークサーモンと酢レンコン、梅酢と甘酢漬けの花レンコン、紅白うずら卵のピクルス、鶏胸肉のファルシー、ホタテ貝のスモーク、昆布蒲鉾、焼き豚

数の子、イクラの醤油漬け、海老の酒いり、酒蒸しあわび、大根なますとラディッシュにイクラ添え、毛蟹の甲羅に蟹味噌や身を詰めたもの

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牛乳羊羹、栗きんとん、田作り(小魚、クルミ、クコの実、白ごま)、鶏ささみのスモーク、黒豆、紅白菊花かぶ、八幡巻き、中華風ゴマダレの酢ゴボウ、煮しめ、ハム入り昆布巻き、ブランデー入り金柑煮、きんぴらごぼう

祝い酒として用意したのは、日本最北の醸造所、北海道増毛町の銘酒“国稀”(くにまれ)。暑寒別岳連峰から湧き出る超軟水で仕込まれている酒は、とにかく北海道の海の幸に合うので進む進む……調子に乗って飲みすぎました。

久々に家族が揃った元旦、これは奇跡です。コロナ以前は、毎年当然のことのように集っていたのが、この度は有難さひとしお。実は“有ることが難しい”ことだったのですね……こんな文字も心に沁み入ります。また来年も奇跡が起きますように!と祈りつつ、今年もおいしいものを作っていきたいと思います。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

Sachiyo Harada/料理クリエイター長い間モードの仕事に携わった後、2003年に渡仏。料理学校でフランス料理のCAP(職業適性国家資格)を取得。 パリで日本料理教室やデモンストレーション、東京でフランス料理教室を開催。フランスの料理専門誌や料理本で、レシピ&スタイリングを担当。16年春、ベジタリアン向けの料理本『LA CUISINE VEGETARIENNE』をフランス全土と海外県、ベルギー、スイス、イギリスなどのヨーロッパ各地で発売。この連載をまとめた『パリのマルシェを歩く』(CCCメディアハウス刊)が発売中。近著に『LE B.A.-BA DE LA CUISINE “Ramen”』(Edition Marabout Hachette社 刊)がある。Instagram : @haradasachiyo

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