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「参考になります」より「勉強になります」。品のある人の素敵な言いかえ

  • 2023.2.3

品と余裕がある素敵な人には、誰もが憧れるもの。どうしたら素敵な人だと思ってもらえる? その大きなポイントの一つが、「言葉遣い」だ。

キャリアコンサルタントの横田真由子さんは、かつてケリングジャパン(旧GUCCI JAPAN)の販売員として、数々のVIPを接客した経験の持ち主。一流のお客さんから、エレガントな振る舞い方や言葉遣いを学んだという。横田さんの著書『一流のお客様に学んだ気づかい 大人女子の小さなマナー帖』(大和書房)から、「きちんとした人に見える言葉遣い」のポイントをご紹介しよう。

品のある人は、言葉選びがうまい

横田さんは、普段の何気ない言葉をもっと素敵にする言いかえ表現を、いくつか紹介している。まず、言葉から品格を感じさせるポイントは謙譲表現だ。へりくだって相手を高める言葉には、奥ゆかしさや謙虚さがある。たとえば、こんな言い方ができると相手を敬う気持ちがより伝わる。

お酒を断るとき
△「飲めません」→◎「不調法なもので」

何か教えてもらったとき
△「参考になります」→◎「勉強になります」

失礼を詫びるとき
△「失礼しました」→◎「ご無礼いたしました」

他にも、印象を柔らかくするこんな言いかえも。「~してください」「~しましょう」という語尾は、丁寧に言っても一方的な押しつけになり、威圧的に感じさせてしまうことがある。そこで言いかえたいのが、「~してくださいますか?」「~してみませんか?」という疑問形だ。相手にとっては「YES・NOの判断は私に委ねられている」と感じられ、すっと受け取りやすくなる。

また、「頑張ってください」という言葉にも言いかえの余地がある。相手を思って言ったつもりでも、人によっては突き放されたように感じることも。「心から応援しています」「ベストを尽くせますように」といった言葉のほうが、より気持ちが伝わる。

このように、言葉には多くのバリエーションがあり、その中から適切なものを選ぶのはとても難しい。だからこそ、言葉選びがうまい人は、品があって素敵な人だと思われるのだ。横田さんは、相手を思いやる気持ちを持って接すれば「言葉選びは人格のように磨かれていく」と言っている。

オウム返しは、相手の言葉を受け止めるサイン

コミュニケーションのテクニックの一つに、相手の言葉をそのまま復唱する「オウム返し」がある。横田さんは、オウム返しの大事さを知ったという、販売員時代のこんな経験談を紹介している。

ある日の店内でのことです。色とりどりの財布が並ぶショーケースを、熱心にのぞき込むお客様がいらっしゃいました。私は、ゆっくりと近づき、「気になるものがございましたら、お出しいたします。お手に取ってご覧くださいませ」と声を掛けました。
お客様は、「このブルーの、見せてください」とおっしゃいました。
その財布は、「セルリアンブルー」という鮮やかな色で、ショーケースの中でも一番目立ち、南国の海の色のようにキラキラと輝いていました。
私も、この色が気になっていたので、思わず、「はい、このセルリアンブルーですね」と答えてしまったのです。
お客様の輝いていた顔は、少し曇ったように見えましたが続けて、「セルリアンブルーっていうのね。勉強になるわ」と微笑みました。

暗に「これはブルーではありません」と、相手の言葉を否定するような言い方になってしまったことに気づいた横田さん。「はい。このブルーですね」と復唱し、色のことについて聞かれたら「セルリアンブルーという色のようで鮮やかですね」と答えればよかったと反省したそうだ。

相手から出てきた言葉を、そのままオウムのように返すことは、「あなたの言葉を、ちゃんと受け止めていますよ」というメッセージになるのだと思います。

勝手に別の言葉に変換すると、「ちょっと違う」「気持ちをわかってくれない」と感じさせてしまう恐れがある。場合によっては「上から目線」と捉えられることも。オウム返しは、相手の言葉をそのまま受け止める"受容のスキル"であり、大事なコミュニケーションマナーなのだ。特に初対面やまだお互いをよく知らない相手には、オウム返しで先入観なく接することが重要ではないかと横田さんは言う。

『一流のお客様に学んだ気づかい 大人女子の小さなマナー帖』では、言葉遣いの他にも、身だしなみ・持ち物・振る舞いかた・気づかいのテーマで、品と余裕のある人になるポイントを紹介している。

■横田真由子さんプロフィール
よこた・まゆこ/ミニマムリッチⓇコンサルタント、オフィスファーレ代表。株式会社ケリングジャパン(旧GUCCI JAPAN)の販売スタッフとして、著名人やVIP顧客の接客に従事する。VIP顧客の物選びに女性としての優雅な生き方を学び、独自の「大人エレガンス」を実践する契機となる。2004年、英語の「DO」と同義語のイタリア語「fare」を屋号に、「オフィスファーレ」を設立。ものをただ使い捨てるのではなく、選んだものを大切に手入れしながら愛し抜く姿勢に真の豊かさを感じ、「上質なものを少しだけ持つ人生」=「ミニマムリッチⓇライフ」を提唱し、セミナー、講演、執筆活動を行う。著書に『本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる』『本当に必要なことはすべて「ひとりの時間」が教えてくれる』(クロスメディア・パブリッシング)、『品格のある女性はスカート丈が美しい』(大和出版)などがある。

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