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「普通の言い方」が場の雰囲気を悪くする。提案がすんなり通る「ちょい足しことば」とは?

  • 2023.2.3

話し合いが進まないときや、なかなか結論が出ない会議。良かれと思って提案したのにムッとされてしまい、微妙な雰囲気に.....なんて経験はないだろうか。

自分の意見や考えを伝えるとき、まして反論するときは、誰しも緊張するもの。言い方やタイミングによっては誤解されてしまうこともある。場の雰囲気を悪くすることなく、上手に伝えるにはどうすればよいのだろうか。

元TBSアナウンサーで、「ことばによる自己表現」をテーマに人材育成の場で活躍している今井登茂子さんの最新刊『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)から、上手な提案の仕方を見ていこう。

「提案」が「押しつけ」にならないために

たとえば仕事の分担について話し合いをしているときに、こんな風に言われたとしたら、どう感じるだろうか?

「〇〇さんが選んで、私が発注しますか?」

たとえそれが妥当な案だったとしても、あるいは「どちらでもいい」と思っていたとしても、こう言われると「なんであなたが勝手に決めるの?」とムッとするかもしれない。

では、こんな言い方ならどうだろう?

たとえば
〇〇さんが選んで、私が発注をする
というのはいかがですか?

同じことを言われても、受け入れやすいのではないだろうか。

この「たとえば~というのはいかがですか?」こそ、あなたの品格を上げる「ちょい足しことば」だ。ほんのひとこと加えるだけで生まれる、大きな効果とは? 本書から見ていこう。

~以下、第6章より一部抜粋~

人は相手に決められることを好まない

会議や議論の場において「こんな意見や考えもありますよ」と提案する際に、あなたの決めつけや押しつけと受け取られると、場がピリッと緊張してしまいます。
「たとえば」ということばは、自分が述べているのは、あくまで一つの意見や案であって、相手の選択肢を増やすのに役立ててもらったり、この提案をさらに広げたり、アレンジしたりしてもらえたら、という柔軟性があることを示します。
さらに「いかがですか?」と問いかけることで、ボールを相手に渡します。
自分のアイデアを採用してほしいときであっても、こうした表現のほうが、相手も受け入れやすいし、検討しようかという気持ちになり、ほかの人が意見を出しやすい提案になります。

~以上、本文より引用~

ほかにも、「ちょっと別の角度から考えてみたのですが」「ひとつご提案なのですが」といった前置きをつけ足すのもおすすめだ。

一方、相手の案に同意を示すときにも「ちょい足しことば」は有効だ。

「そうですね。ではその方法で行きましょうか。」

「そうですね。では〇〇さんがおっしゃるようにその方法で行きましょうか」

「〇〇さんがおっしゃるように」は、相手の意見を尊重し、同意を示す「ちょい足しことば」だ。周囲の人に誰のアイデアであるかを強調する意図もあり、発案者を称えることにもつながる。

<話し合いを円滑に進めるために、もっとも大切なのは、相手の意見を尊重すること。「〇〇さんのおっしゃるように」とさりげなく会話に入れることで、それが先方に伝わるのです。(本文より)>

こんな風に、「ちょい足しことば」にはお互いに対する気づかいや敬意をより能動的に、しかしさりげなく示す効果がある。

<ぴりりとする議論の場であっても、お誘いを断る場面でも、気づかいや敬意が伝われば、相手は自分が尊重され、ないがしろにされていないことがわかってホッとします。すると、あなたも安心して話すことができますね。(本文より)>

「とっさ」の会話に本心が表れる

本書ではほかにも、「共感・感想」「依頼・相談」「謝罪」など、シーンに合わせた100の「ちょい足し」フレーズを紹介している。ビジネスシーンはもちろん、親戚や友人、夫婦など、さまざまな人間関係に応用できる。

<会話は常に「とっさ」です。だからこそ無意識に心のなかを見せてしまっています。
(中略)
「ちょい足しことば」は、そんなとっさの場面で思わず出てくるあなたの会話スタイルを磨き、コミュニケーションの「品」を高める強力な武器となってくれます。(「はじめに」より)>

ふだん使っている表現を変えるのは難しいが、「ちょっと足す」だけならハードルが低い。とっさに「ちょい足しことば」が出てくるよう心がけているうちに、相手を尊重する気持ちや敬意が自然と伝わるようになるはずだ。

『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』今井登茂子 著

■今井 登茂子さんプロフィール
いまい・ともこ/東京生まれ。立教大学文学部卒業後、TBSテレビに入社。アナウンサーとして音楽番組から報道、スポーツ番組と第一線で活躍。1988年、放送貢献者に贈られる「ゴールデンマイク」賞を受賞。退社後「ことばによる自己表現」の重要性を広めることを目指し、人材教育を行う株式会社TJコミュニケーションズ「とも子塾」を設立、企業や団体の人材育成に携わる。『できる大人が使っている 社会人用語ハンドブック』(サンマーク出版)、『誰とでもラクに話せるコツ101――しんどいシーンをすべて解決!』(高橋書店)など著書多数。

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