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【独占】映画館に行く理由とは? 『バビロン』デイミアン・チャゼル監督がキャメロン監督につづき持論を展開

  • 2023.2.2

映画を映画館で観る理由とは? 『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のジェームズ・キャメロン監督の映画論が映画ファンのあいだで共感を集めるなか、『バビロン』のデイミアン・チャゼル監督もフロントロウ編集部との取材で持論を展開した。(フロントロウ編集部)

映画館に行くのは設備だけが理由ではない

ストリーミング配信で映画が観られる現代において、映画館で映画を鑑賞する理由とは? スクリーンの大きさや音響の違いはありふれた理由だが、ジェームズ・キャメロン監督は先日、米NPRで「自宅でも、それなりに大きな薄型テレビときちんとした音響システムで部屋の反対側から適切な距離で座って『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を観れば、良い体験ができるはずです」と語ったあと、映画を映画館で観るべき本当の理由をこう述べた。

「映画館に行くということは、スクリーンの大きさや音響システムの完成度よりも、マルチタスクをしないという決断が重要なのです。私は、それが人々が見逃している重要な部分だと思います。全神経を集中させるという契約を芸術作品と結んでいるのです。家にいるときは、そうではない。家で映画を見るときは、映画館で見るときほどには泣かないものです。感情の深みが(映画館の時ほど)ないのです」

画像1: 映画館に行くのは設備だけが理由ではない

1月の第80回ゴールデン・グローブ賞のレッドカーペットでも米Varietyの記者を相手に、「家に座って映画を観るのはもう十分だ」と笑いながら、映画館での鑑賞への強い思いを見せていたキャメロン監督。この発言は瞬く間に映画ファンの間で議論となり、この発言を伝えたフロントロウ編集部のツイートも多くの映画好きが引用して盛り上がっていた。

画像2: 映画館に行くのは設備だけが理由ではない

そしてフロントロウ編集部では今回、映画『ラ・ラ・ランド』で最年少となる32歳でアカデミー賞監督賞を受賞したデイミアン・チャゼル監督に“映画館で映画を観る理由とは”という質問をぶつけてみた。

画像3: 映画館に行くのは設備だけが理由ではない

デイミアン・チャゼル監督、映画鑑賞と原始人の生活を比較して分析

約15年間の構想の末に2月10日に全国公開される映画『バビロン』で、ブラッド・ピットやマーゴット・ロビーという豪華キャストを集め、サイレント映画からトーキー映画に移ろうとするハリウッドを舞台にした群像劇を描くデイミアン・チャゼル監督。本作に対しては、監督の深いシネマ愛がにじみ出ているというコメントが多く聞かれているが、そんなシネフィルのチャゼル監督はまず、「私は、キャメロン監督に全面的に賛成します」と言って、キャメロン監督の意見にこう反応した。

画像: 映画『バビロン』のメイキングより。デイミアン・チャゼル監督と、出演者のブラッド・ピットとディエゴ・カルバ。
映画『バビロン』のメイキングより。デイミアン・チャゼル監督と、出演者のブラッド・ピットとディエゴ・カルバ。

「映画館での体験を、大きなスクリーンやサウンドシステムという概念に縮小しがちですよね。しかし本当は、もっと根本的なことなのです。映画というアート作品に支配権を委ねることなのです。映画は時間の中に存在する芸術作品ですから、その時間が中断されることなく、(映画が)支配者になる。真っ暗な部屋の中に入り、映画という夢の中に身を委ねるのです」

キャメロン監督の考えにそう同調したチャゼル監督は、続けて、「その考えに付け足すとしたら、他の人、とくに他人と一緒にその体験をするという点も重要だと思っています」とコメント。

「それこそ、原始的な行動じゃないですか。原始時代には、みんなで火を囲んで誰かの話を聞くという集団的な側面があったと私は想像します。その時、それぞれは自分の時間を物語にゆだねている。(映画では)それは1時間半かもしれないですし、3時間かもしれない。映画館での映画鑑賞とは、自分の時間を明け渡してほかの観客と共に旅に出るということなのです」

画像: 映画『バビロン』は3時間9分。総勢250名のキャスト、セリフのある役だけで100名以上のビッグスケール作品。
映画『バビロン』は3時間9分。総勢250名のキャスト、セリフのある役だけで100名以上のビッグスケール作品。

そう持論を展開したチャゼル監督。ただ、自分の映画を映画館に観に行ったか?という質問には、笑いながら「自分の映画を観るのが苦手なんですよね。すごく苦手で。LAプレミアでは観ましたが、もうあれ以上は無理です」と、ちょっぴり繊細な一面をのぞかせた。(フロントロウ編集部)

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