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語る音楽家、語られる音楽家:坂東祐大→フランソワ=グザヴィエ・ロト

  • 2023.2.2
フランソワ=グザヴィエ・ロト_イラスト

坂東祐大が語る音楽家、フランソワ=グザヴィエ・ロト

今回紹介したいのは、レ・シエクルというフランスのオーケストラ。主にパリで活動する音楽家を中心に結成されたオーケストラです。音楽監督兼指揮者はフランソワ=グザヴィエ・ロト。父も著名なオルガニストで、彼自身ももともとはフルートを勉強していたそう(演奏をとても聴いてみたかった!)。

そんなロトを中心に集まったオーケストラがひときわ話題をさらったのが、ストラヴィンスキーの代表作、『春の祭典』の演奏。1913年のシャンゼリゼ劇場での初演にて大スキャンダルを巻き起こした作品ですが、彼らはなんと100年後となる2013年に当時の楽器を集め(弦楽器を除く!)1913年5月29日初演時の音の再現に挑戦。eBayなども楽器収集のために使ったとか。

フランソワ=グザヴィエ・ロト_イラスト

クラシック音楽の演奏というのは作曲家が楽譜に書いたものを演奏家が解釈し演奏するのが基本ルール。演奏を重ねるにつれて解釈が複層的に積み重なり、伝承され、それらが慣例となるのです。また楽器も機能性の追求のためにアップデートされていることが多い。

それらを見直し、ある作品を演奏する際、歴史的にふさわしい楽器や演奏様式を用いるべきだという思想をHIP(歴史的知識に基づく演奏)と言ったりしますが、これらは主にバッハなどの時代の作品に対して行われることが多く、まさかストラヴィンスキーのような近現代の作曲家でアプローチがとられるとは思いもよりませんでした。

私のような現代音楽で活動している作曲家であれば、『春の祭典』は隅から隅まで知っているのですが、「そういう音だったのか」という発見の連続で、何度も聴き返しています。クラシック音楽への探究心、また見事にキュレーションされた曲目と瑞々しい演奏に感心するばかり。最後の来日は2018年。近いうちに来日してくれないものか、非常に待ち遠しいです。

坂東祐大が選ぶ3枚

『バレエ・リュス』ジャケット
『春の祭典』や『火の鳥』を収録したロト&レ・シエクル『バレエ・リュス』。
『Pelléas et Mélisande』ジャケット
ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』を取り上げた最新作。
『ダフニスとクロエ』ジャケット
ラヴェル『ダフニスとクロエ』のライナーには、弦楽器以外の使用楽器などのデータが収録されている。

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坂東祐大

ばんどう・ゆうた/作曲家。東京藝術大学音楽学部卒業。2022年10月に行われた初の個展『耳と、目と、毒を使って』の映像が公開中。

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フランソワ=グザヴィエ・ロト

1971年パリ生まれ。パリ音楽院在学中にフルート奏者から指揮者に転向。2000年にドナテッラ・フリック国際指揮者コンクールで優勝。03年にレ・シエクルを結成。その後もロンドン交響楽団などに客演。

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